【完結】私ですか？ただの令嬢です。

茶会の誘い

両親を救ってから、1年が経った。
私は今7歳だ。
今日は父に呼ばれていた。


(何だろう？話があるって言われたけど。)


部屋の前に着き、扉をノックした。
中から声が聞こえてくる。


「入って来なさい。」

「失礼します。……お父様、お話とは何でしょうか？」


疑問をそのまま聞いてみた。


「ああ、それなんだがな。お茶会の誘いが入った。主催者は王家の方だ。断る事は出来ないから、当然行ってもらうぞ。」

「承知しました。それで、主催者の方の名前を伺っても…？」

「第2王子、ディルジア殿下だ。」

「……そうですか。」


私の考えていた事が当たった。
この第2王子ディルジアこそ、前世の乙女ゲームにいる5人の攻略対象の1人だ。


「殿下もリフィと同じ7歳だ。王家の者は7歳になると、主催者側として初のお茶会を開く。社交界勉強の一環とされているらしい。」


父が言った事は事実だ。
貴族達が大勢集まり、主催者の王子に挨拶をする。
このお茶会で、悪役令嬢ヴァリフィアは第2王子ディルジアを狙うようになる。


「年子の第3王子、レイジア殿下も来るそうだぞ。」

「そうなのです…ね……ん？」

(えっ、ちょ！いきなり2人出てくるの？！
ゲームの過去編ではディルジアの茶会をしてから、翌年にレイジアの茶会が行われるはず！)


驚きのあまり、思わず言葉がおかしくなってしまった。


「どうかしたか？」

「いいえ、何も。そのお茶会、喜んで参加致します。」

「ああ、そうしてくれ。」


そうして私は、父の部屋を出た。


(まずい、実にまずい！1人ならまだしも、もうこの時点で2人の対応を考えなくてはいけないなんて！)


だがお茶会までは5日もあった。


(う～ん…。まぁ深く考える必要も無いか。あの2人に構わなければいいだけよね。挨拶だけして、後は関わらないようにしようっと。)


意味があるのかないのかは分からないが、あっさりと対策が済んだのだった。