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第35話(王太子視点)

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何故……こんな事になったのだろうか。
私とミフェラの考えた計画は完璧だったはずだ…。

レイシアを捕らえ、強制的に私達の仕事をさせる。王城の中でも人気の無い場所にある部屋で軟禁状態にしてしまえば、誰にも知られずに平民となったあの女を利用出来る。
そしてやらせた仕事を私とミフェラがしたことにしてしまえば、落ちてしまった貴族達からの信用や評価が戻るのだ。
急に仕事が通常通りに出来るようになれば、はじめは何か裏があるのではと怪しまれるだろうが、時間が経てば気にする者も減っていくはず。
そう思っていたのだが……。


「国家機密を他国に売ろうとしていると思ったから捕らえていたんだ!」
「有り得ないことを仰いますね。レイシアは私の養子、つまりは家族です。他国に行くこと自体、私の許可無しでは不可能なのですよ。」
「そんなことがっ!」


ルーズフィルト公爵の話によると、ユシェナート侯爵がレイシアを追放したそのすぐ後、公爵の養子にしたらしい。優秀な人材を、平民にしておくには勿体ないと言っていた。


「それに国家反逆の疑いがあるのならば、周囲にその事を知らせ、捕らえた後に牢で尋問するべきでしょう。軟禁している時点で、殿下の仰っていることは矛盾するのですよ。」
「っ……。」


公爵の言葉に、私は言い返すことなどできなかった。
しかし本当にあの女は優秀だったのだろうか。……いや、少なくとも無能ではなかったのだろう。だからこそ周囲の協力があれど仕事が行えていた。
レイシアを認めたくはないが、認めざるを得ない状況だ……。
私はきっと、レイシアやルーズフィルト公爵に嵌められたのだろう。だがあの公爵であれば、計画などの証拠は一切残していないはず。
罠にかかってしまっていた自分自身が悪い……と周囲は言うだろうが、どう考えても私は被害者だ。

地下牢に入れられた後、私はあることを思いついた。
レイシアに謝り、許しの言葉を得られれば、ルーズフィルト公爵から父上に上手く言ってくれるはずだ…と。
謝罪するということは、こちらの非を認めるということに他ならない。不本意だが、こんな場所地下牢から出るためにもするしかない。
もしこの私が謝っても『許さない』などと生意気なことを言ってくるのであれば、強制的に言わせれば良い。
そう思っていたのだが……


「……ヴィアルス殿下。謝罪する気持ちが本当におありなのですか?」


私の狙いは、すぐに見破られてしまった。さらには言わないようにと気を付けていた本音まで言ってしまったのだ…。
その後はレイシアに話の主導権を握られ、その流れのまま立ち去って行った。


「クソッ……、早くここから出たいのにどうすればいいんだ…。それにレイシアのあの雰囲気は何なんだ?……どれが本当のレイシアなのか分からない──
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