【完結】無能に何か用ですか？

第22話

──数日後──


「レーア、私の方は順調に進んでいるわ。次は貴女の番よ。明日辺りが丁度良いはずよ。」
「ええ。ありがとう、お義母様。」


お義母様には社交界にて、とある噂を流してもらった。私の居場所に関する噂だ。
お義父様曰く、ヴィアルスは仕事を押し付ける為に私を探しているとの事。なればこそ、
この噂を聞けば必ず私の元へ来る。


「ふふっ、楽しみね。計画を聞いた時は驚いたけれど、あの王子様に国を任せるのは愚行でしかないのも事実。英明と名高き国王陛下であれは、たとえ私達の計画を知っても正しい判断をしてくれるでしょう。」


国王陛下は何でもこなすことが出来る素晴らしいお方だ。失礼だが、何故息子のヴィアルスはあのような人になったのか……。
まぁそれは今考えるべきではないだろう。周囲の環境によって、人の性格は変わるものなのだから。

私がユシェナート侯爵家を追放された事は、貴族社会にて周知の事実となっている。しかしルーズフィルト公爵家の養女として迎え入れられたことは知られていない。故に、一部の貴族以外は私が平民として過ごしていると思っているのだ。
そこにある噂を流釣り糸を垂らせば、獲物は簡単に食いついてくるだろう。
あとは私が動けば良いだけだ──