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第18話(王太子視点)
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「どういう事だ!何故私に仕事が回ってきている!?」
「そ、そう申されましても…。普段はレイシア様が殿下のお仕事を行っておりましたので……。」
朝、してもらわなければならない事があると王城の者に言われ、書斎へ行くと大量の書類があった。
内容を確認すると、全て王太子の仕事関係の書類だ。こんなもの、1年以上は見ていない。いつもはミフェラの姉である『あの女』が他人の手を借りて片付けていたものだろう。
婚約者ではなくなった為、仕事を任せるわけにはいかないのだという。
「今は婚約者でなくても、元婚約者だ。外部に情報が漏れないよう監視を付けて働かせれば良いだろう!」
「そ、それは……」
「私の命令が聞けないとでも?」
「い…いえ!そういうわけでは…。ただ、宰相のルーズフィルト公爵様が、王族或いは未来の王家に関わる者でなければならないと……。」
宰相ルーズフィルト公爵、あの人は何を考えているのか読めない。私の最も苦手な人だ。
だが父上が絶対の信頼を寄せている為、彼の言葉であれば私も無視は出来ない。
となれば、元婚約者に仕事をさせることは無理だろう。しかしそれが無理なら……
「ならばミフェラに全て任せれば良いだろう!レイシアより優秀な彼女であれば、昼までには終わるはずだ!」
「は、はいっ!!」
私の机に置かれた書類の山を、持ってきた者達が慌てて再度違う場所へと運んでいく。数分の内に、机の上は何も無くなった。
彼らからもミフェラのことは聞いた事がある。姉のあの女はよく、
『妹のミフェラから助言を貰いながら仕事を行っています。あの子には沢山助けてもらっているのですよ。』
と言っていたそうだ。ミフェラからも仕事の相談を受けたことがあると聞いた。つまりは、ミフェラが全て仕事をしていたと言っても過言ではない。彼女ならば問題なく仕事を終わらせられるだろう。
「はぁ…。全く、何故私に持ってくるんだ。今まで通り婚約者に渡すべきだと、考えられないのか?そんな無能しか居ないのか、この王国は!」
怒りが込み上げてくる。だが心を落ち着かせ、ミフェラに任せておけば大丈夫だと考え直した。
だが……
「ヴィアルス様!何なのですか、この書類は!」
「そ、そう申されましても…。普段はレイシア様が殿下のお仕事を行っておりましたので……。」
朝、してもらわなければならない事があると王城の者に言われ、書斎へ行くと大量の書類があった。
内容を確認すると、全て王太子の仕事関係の書類だ。こんなもの、1年以上は見ていない。いつもはミフェラの姉である『あの女』が他人の手を借りて片付けていたものだろう。
婚約者ではなくなった為、仕事を任せるわけにはいかないのだという。
「今は婚約者でなくても、元婚約者だ。外部に情報が漏れないよう監視を付けて働かせれば良いだろう!」
「そ、それは……」
「私の命令が聞けないとでも?」
「い…いえ!そういうわけでは…。ただ、宰相のルーズフィルト公爵様が、王族或いは未来の王家に関わる者でなければならないと……。」
宰相ルーズフィルト公爵、あの人は何を考えているのか読めない。私の最も苦手な人だ。
だが父上が絶対の信頼を寄せている為、彼の言葉であれば私も無視は出来ない。
となれば、元婚約者に仕事をさせることは無理だろう。しかしそれが無理なら……
「ならばミフェラに全て任せれば良いだろう!レイシアより優秀な彼女であれば、昼までには終わるはずだ!」
「は、はいっ!!」
私の机に置かれた書類の山を、持ってきた者達が慌てて再度違う場所へと運んでいく。数分の内に、机の上は何も無くなった。
彼らからもミフェラのことは聞いた事がある。姉のあの女はよく、
『妹のミフェラから助言を貰いながら仕事を行っています。あの子には沢山助けてもらっているのですよ。』
と言っていたそうだ。ミフェラからも仕事の相談を受けたことがあると聞いた。つまりは、ミフェラが全て仕事をしていたと言っても過言ではない。彼女ならば問題なく仕事を終わらせられるだろう。
「はぁ…。全く、何故私に持ってくるんだ。今まで通り婚約者に渡すべきだと、考えられないのか?そんな無能しか居ないのか、この王国は!」
怒りが込み上げてくる。だが心を落ち着かせ、ミフェラに任せておけば大丈夫だと考え直した。
だが……
「ヴィアルス様!何なのですか、この書類は!」
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