上 下
17 / 46

第16話

しおりを挟む
私とお義父様は、朝食を取りながら今後について話し合った。そして、次のことが決まった。

1.しばらくは公爵家から出ないこと。
これは私の存在・居場所を知られないようにする為だ。

2.長男であるヘクト・ルーズフィルトを手伝うこと。
彼は20歳で私の義兄になる人だ。今は公爵の仕事を任されているらしい。お義父様は宰相としての仕事を、ヘクト様は公爵としての仕事をといったところだ。
お義父様が任せているほど、信頼しているということなのだろう。

2つだけだが、計画が続いている以上はこれが最善だ。
それにしても話の中で驚いたのは、ヘクト様も私の義弟になる1つ下のリラン様も、愛称で呼ばれていないということだ。それならば何故私だけ?と思うが、直感的に聞かない方が良い気がした…。


「ヘクトの書斎はメアに教えています。私はもう王城に向かわなければならないので、こちらのことは頼みましたよ。」
「はい。お気をつけて。」


再度身支度を済ませてから、私はヘクト様の書斎へと向かった。
許可を得て中に入ると、忙しそうに書類と対面している男性が居た。ヘクト様だ。


「よく来てくれたね。昨日の内に会っておこうと思ったんだけど、母上に止められてしまって…。改めて、ヘクト・ルーズフィルトだ。よろしく。」
「レイシアです。こちらこそ、よろしくお願いします。」
「堅苦しいのは無しで良いよ。勿論名前も、ね?」


笑顔の圧を感じる…。流石は親子だ、色んな意味で似ている……。


「えぇと……何とお呼びすれば…?」
「そうだなぁ。リランからはヘクト兄さんって呼ばれてるから、そんな感じで。」
「で、ではヘクト義兄様と……。」
「『様』もなしで。」
「ヘクト義兄さん…?」
「それでいいかな。あ、公式の場以外は敬語は要らないよ。家族だからね。父上は元々あんな感じだけど、慣れてきたら敬語不要って言われると思う。母上も今は我慢してるだろうしね。」


あのお義父様が、敬語不要などと言うことがあるのだろうか…。人は見かけによらないと、改めて確認させられた瞬間だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】ブスと呼ばれるひっつめ髪の眼鏡令嬢は婚約破棄を望みます。

はゆりか
恋愛
幼き頃から決まった婚約者に言われた事を素直に従い、ひっつめ髪に顔が半分隠れた瓶底丸眼鏡を常に着けたアリーネ。 周りからは「ブス」と言われ、外見を笑われ、美しい婚約者とは並んで歩くのも忌わしいと言われていた。 婚約者のバロックはそれはもう見目の美しい青年。 ただ、美しいのはその見た目だけ。 心の汚い婚約者様にこの世の厳しさを教えてあげましょう。 本来の私の姿で…… 前編、中編、後編の短編です。

誰にも信じてもらえなかった公爵令嬢は、もう誰も信じません。

salt
恋愛
王都で罪を犯した悪役令嬢との婚姻を結んだ、東の辺境伯地ディオグーン領を治める、フェイドリンド辺境伯子息、アルバスの懺悔と後悔の記録。 6000文字くらいで摂取するお手軽絶望バッドエンドです。 *なろう・pixivにも掲載しています。

【完結】妹に全部奪われたので、公爵令息は私がもらってもいいですよね。

曽根原ツタ
恋愛
 ルサレテには完璧な妹ペトロニラがいた。彼女は勉強ができて刺繍も上手。美しくて、優しい、皆からの人気者だった。  ある日、ルサレテが公爵令息と話しただけで彼女の嫉妬を買い、階段から突き落とされる。咄嗟にペトロニラの腕を掴んだため、ふたり一緒に転落した。  その後ペトロニラは、階段から突き落とそうとしたのはルサレテだと嘘をつき、婚約者と家族を奪い、意地悪な姉に仕立てた。  ルサレテは、妹に全てを奪われたが、妹が慕う公爵令息を味方にすることを決意して……?  

【完結】猫を被ってる妹に悪役令嬢を押し付けられたお陰で人生180度変わりました。

本田ゆき
恋愛
「お姉様、可愛い妹のお願いです。」 そう妹のユーリに乗せられ、私はまんまと悪役令嬢として世に名前を覚えられ、終いには屋敷を追放されてしまった。 しかし、自由の身になった私に怖いものなんて何もない! もともと好きでもない男と結婚なんてしたくなかったし堅苦しい屋敷も好きでなかった私にとってそれは幸運なことだった!? ※小説家になろうとカクヨムでも掲載しています。 3月20日 HOTランキング8位!? 何だか沢山の人に見て頂いたみたいでありがとうございます!! 感想あんまり返せてないですがちゃんと読んでます! ありがとうございます! 3月21日 HOTランキング5位人気ランキング4位…… イッタイ ナニガ オコッテンダ…… ありがとうございます!!

妹が公爵夫人になりたいようなので、譲ることにします。

夢草 蝶
恋愛
 シスターナが帰宅すると、婚約者と妹のキスシーンに遭遇した。  どうやら、妹はシスターナが公爵夫人になることが気に入らないらしい。  すると、シスターナは快く妹に婚約者の座を譲ると言って──  本編とおまけの二話構成の予定です。

【完結】何でも奪っていく妹が、どこまで奪っていくのか実験してみた

東堂大稀(旧:To-do)
恋愛
 「リシェンヌとの婚約は破棄だ!」  その言葉が響いた瞬間、公爵令嬢リシェンヌと第三王子ヴィクトルとの十年続いた婚約が終わりを告げた。    「新たな婚約者は貴様の妹のロレッタだ!良いな!」  リシェンヌがめまいを覚える中、第三王子はさらに宣言する。  宣言する彼の横には、リシェンヌの二歳下の妹であるロレッタの嬉しそうな姿があった。  「お姉さま。私、ヴィクトル様のことが好きになってしまったの。ごめんなさいね」  まったく悪びれもしないロレッタの声がリシェンヌには呪いのように聞こえた。実の姉の婚約者を奪ったにもかかわらず、歪んだ喜びの表情を隠そうとしない。  その醜い笑みを、リシェンヌは呆然と見つめていた。  まただ……。  リシェンヌは絶望の中で思う。  彼女は妹が生まれた瞬間から、妹に奪われ続けてきたのだった……。 ※全八話 一週間ほどで完結します。

婚約破棄されたから、とりあえず逃げた!

志位斗 茂家波
恋愛
「マテラ・ディア公爵令嬢!!この第1王子ヒース・カックの名において婚約破棄をここに宣言する!!」 私、マテラ・ディアはどうやら婚約破棄を言い渡されたようです。 見れば、王子の隣にいる方にいじめたとかで、冤罪なのに捕まえる気のようですが‥‥‥よし、とりあえず逃げますか。私、転生者でもありますのでこの際この知識も活かしますかね。 マイペースなマテラは国を見捨てて逃げた!! 思い付きであり、1日にまとめて5話だして終了です。テンプレのざまぁのような気もしますが、あっさりとした気持ちでどうぞ読んでみてください。 ちょっと書いてみたくなった婚約破棄物語である。 内容を進めることを重視。誤字指摘があれば報告してくださり次第修正いたします。どうぞ温かい目で見てください。(テンプレもあるけど、斜め上の事も入れてみたい)

平民の娘だから婚約者を譲れって? 別にいいですけど本当によろしいのですか?

和泉 凪紗
恋愛
「お父様。私、アルフレッド様と結婚したいです。お姉様より私の方がお似合いだと思いませんか?」  腹違いの妹のマリアは私の婚約者と結婚したいそうだ。私は平民の娘だから譲るのが当然らしい。  マリアと義母は私のことを『平民の娘』だといつも見下し、嫌がらせばかり。  婚約者には何の思い入れもないので別にいいですけど、本当によろしいのですか?    

処理中です...