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第8話(過去編)
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「私はユシェナート侯爵家長女、レイシア・ユシェナートと申します。」
「公爵家当主、ゼムウェガ・ルーズフィルトです。」
ルーズフィルト公爵様は、相手が自分より下位の貴族だろうが誰だろうと、敬語を使う丁寧な方だ。ただし舐められるような人柄という訳ではなく、寧ろその逆で、『この人には逆らってはいけない』という圧を感じる。国王陛下が側に置く理由も頷けた。
「それで、今日はどのようなご用で?」
「はい。公爵様に、ご協力していただきたい事があってまいりました。」
「協力…ですか。」
「失礼ながら…ルーズフィルト公爵様は、王太子殿下を次期国王にするつもりはないとお考えになられている……。違いますか?」
「…違いますよ。私は宰相として陛下のご意思に従うので……」
「これを。」
私はルーズフィルト公爵様の不審な動きについてまとめた書類を見せる。不審と言っても、普通に見れば何も思わない程度だ。だが行動を1つの目的に結びつけ、視点を変えると見えてくるものがある。それが『王太子の王位継承権を無効化する』というものだった。正確に言うと『エイルス殿下を次期国王にする』、だろうが…。
しかし国王陛下に気付かれないようにしている為か、どれも失敗に終わっている。最終的にヴィアルスを……というわけでもないようだ。
それだけ国王陛下が壁になっているのだろう。
「……まさか気付く人が現れるとは…。」
「ある種のメッセージ……でもあったのですか?」
「その通りです。しかし私の動きの意味に気付くとは、相当彼を恨んでいるのですね。」
「それは……違うと言えば嘘になりますね。」
私はルーズフィルト公爵様なら信頼に値すると感じ、今後の計画を話した。セレス姉様との関係から、王太子ヴィアルスを国王にさせない為に動いていることも全て。
「なるほど…。確かにあの一件で、王太子殿下が王に本当に相応しいのかと疑問を持つ者が増えた気がします。まぁレイシアさんのような方は初めて会いましたが…。」
「……褒め言葉でしょうか…?」
「ええ、褒め言葉ですよ。」
「ありがとうございます…?」
褒められている気がしない。
それはそうと、やはりセレス姉様への一件でヴィアルスに対して疑念を持つ者が増えているようだ。今は『王として相応しいのか』という疑いの目で見られているとのこと。
当然の反応だろう。証言のみで人を罪人にするような者を、自らが仕えるに値すると思う方が難しいというものだ。例外はいるが……。
「しかし、エリーユア公もやり手ですね。私は以前、セレスティナさんの友人を調べたのですが、一切情報がなくて驚きましたよ。レイシアさんも協力したのですか?」
「はい。情報操作は少人数では難しいですし、関係者なので少しでもお手伝い出来ればと。」
「そうでしたか。……レイシアさん。」
急に改まり、向き直って私の眼を見るルーズフィルト公爵様。
「私は貴女に協力しましょう。意味は違えど目的は一致しているのですから──
「公爵家当主、ゼムウェガ・ルーズフィルトです。」
ルーズフィルト公爵様は、相手が自分より下位の貴族だろうが誰だろうと、敬語を使う丁寧な方だ。ただし舐められるような人柄という訳ではなく、寧ろその逆で、『この人には逆らってはいけない』という圧を感じる。国王陛下が側に置く理由も頷けた。
「それで、今日はどのようなご用で?」
「はい。公爵様に、ご協力していただきたい事があってまいりました。」
「協力…ですか。」
「失礼ながら…ルーズフィルト公爵様は、王太子殿下を次期国王にするつもりはないとお考えになられている……。違いますか?」
「…違いますよ。私は宰相として陛下のご意思に従うので……」
「これを。」
私はルーズフィルト公爵様の不審な動きについてまとめた書類を見せる。不審と言っても、普通に見れば何も思わない程度だ。だが行動を1つの目的に結びつけ、視点を変えると見えてくるものがある。それが『王太子の王位継承権を無効化する』というものだった。正確に言うと『エイルス殿下を次期国王にする』、だろうが…。
しかし国王陛下に気付かれないようにしている為か、どれも失敗に終わっている。最終的にヴィアルスを……というわけでもないようだ。
それだけ国王陛下が壁になっているのだろう。
「……まさか気付く人が現れるとは…。」
「ある種のメッセージ……でもあったのですか?」
「その通りです。しかし私の動きの意味に気付くとは、相当彼を恨んでいるのですね。」
「それは……違うと言えば嘘になりますね。」
私はルーズフィルト公爵様なら信頼に値すると感じ、今後の計画を話した。セレス姉様との関係から、王太子ヴィアルスを国王にさせない為に動いていることも全て。
「なるほど…。確かにあの一件で、王太子殿下が王に本当に相応しいのかと疑問を持つ者が増えた気がします。まぁレイシアさんのような方は初めて会いましたが…。」
「……褒め言葉でしょうか…?」
「ええ、褒め言葉ですよ。」
「ありがとうございます…?」
褒められている気がしない。
それはそうと、やはりセレス姉様への一件でヴィアルスに対して疑念を持つ者が増えているようだ。今は『王として相応しいのか』という疑いの目で見られているとのこと。
当然の反応だろう。証言のみで人を罪人にするような者を、自らが仕えるに値すると思う方が難しいというものだ。例外はいるが……。
「しかし、エリーユア公もやり手ですね。私は以前、セレスティナさんの友人を調べたのですが、一切情報がなくて驚きましたよ。レイシアさんも協力したのですか?」
「はい。情報操作は少人数では難しいですし、関係者なので少しでもお手伝い出来ればと。」
「そうでしたか。……レイシアさん。」
急に改まり、向き直って私の眼を見るルーズフィルト公爵様。
「私は貴女に協力しましょう。意味は違えど目的は一致しているのですから──
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