【完結】無能に何か用ですか？

第4話

「婚約の破棄……ですか…。」


困惑し、少し悲しんでいるように見えていることだろう。
私は続きの言葉を待つ。


「そうだ！お前は仕事を他人の力ばかり借りてやっていたそうではないか。ろくに仕事も出来ない無能は、私の妻に相応しくない！」
「…っ……。」
「泣いても無駄だぞ？」


泣いてなどいない。笑いを堪えているだけだ。
それにヴィアルスは『無能』という言葉が私にお似合いだと思っている様子。この言葉は使えそうだ。時が来れば使ってみよう。
それはそうと、話を進めなければ。


「…この事を陛下はご存知なのですか？」
「パーティーが終わり次第報告する。それと、ミフェラを新たな婚約者にする！」


ヴィアルスがそう宣言すると、より会場がざわついた。周囲を見渡すと、そこにルーズフィルト公爵様の姿は無かった。既に動いているようだ。
確認が出来たので、私はこの辺りで去るとしよう。


「……承知致しました。お幸せに。では失礼致します…。 」


一礼し、私は堂々とした態度で会場を出た。ヴィアルスとミフェラは私が取り乱す姿を期待していただろうが、2人を喜ばせる義理などない。
私は会場の外で待っていたメアを連れ、とある場所へと向かった──