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27話 青
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※ヴィーレ視点
「あ、いた。」
主の影から魔力反応のあった場所の近くまで移動していたボクは、その魔力を放った者を見つけた。
青髪の長髪を後ろで一つに結い、執事のような格好をしている。
「やっほー、久しぶり。」
「誰かと思えば、ヴィーレじゃないか。」
「ボクが来たって気付いてたクセに。」
「あれだけ分かり易い魔力を放たれてはな。俺にこの場から動くなと威圧していただろ?」
「まぁね。追いかけるの面倒だし。」
ジルファーが集めた魔法使い達によって召喚されたのは、《悪魔族》だ。それも最上位、ボクと同格の存在が召喚された。…いや、彼自ら召喚に応じたという方が正しいだろうね。
ボクらほどの《悪魔族》は、人間のみで召喚できない。圧倒的に魔力が足りないのだから。しかしボクら自身が足りない魔力を補い、この世界に顕現することはできる。つまりこの《悪魔族》も、ボクと同じように目的があって召喚に応じたって訳だ。
「それで、何で出て来たのさ。」
「お前が一人で楽しそうなことをやっていたからな。俺も混ぜてくれよ。」
「その為に来たんだ?」
「丁度良いタイミングで、召喚魔法の反応を感じたからな。お前の主のお望み通り、王国民は殺していないだろ?何なら魔法使い共も生かしておいた。」
「……ボクのお気に入りを横取りしようってワケ?」
「そんなつもりは毛頭ない。ただ俺もあの《異界魂》の一生を、近くで見てみたくなったんだよ。」
《異界魂》とは、この世界に存在しない魂、つまりは異世界の魂がこの世界に迷い込み、その魂を持って生まれた者のことを指す。感情を読み取るだけでなく、魂の色までも視ることができるボクらだからこそ、主が異世界からの転生者だと気付けたんだ。
千年に一度あるかないか程度の確率で異世界の魂がこの世界に迷い込んで来るけど、今回は特殊だった。生前の記憶をはっきりと思い出すことができ、魔法適性は闇。ボクら《悪魔族》と最も相性の良い属性だね。
《異界魂》の者は、殆どが光属性の魔法を操った。そして物語の主人公が如く、周囲にもてはやされていた。
けれど主は真逆。一部の人間には認められているとはいえ、闇魔法使いを理由に婚約破棄され公爵家を追放され…。普通なら病んでいてもおかしくない状況で、特に気にすることもなく自分を貫いていた。本当に格好良いと思ったんだ。
最初は興味本位で召喚に応じて従っていたけど、今では主として認めている。ボクの終わることのない一生に、ちょっとくらい誰かに従っていた時があってもいいよね。
「ボクは主に手を出したり主が困るようなことをしなければ、キミが傍に居てもいいと思うけど……。」
「本当か!?」
「主を守れる者が増えるのは、ボクも望むところだ。でも決めるのは主だよ。ボクに決定権は無い。主が拒否したのなら、直ぐに帰ってよね。あと、主をボクから奪おうとしたら、容赦しないから。」
「おぉ、怖い怖い。いいぜ、俺はあくまでも近くで一生を見届けたいだけだからな。付き従って命令を聞くさ。お前よりは前に出ないようにしてやるよ。」
「ふーん、ならいいけど。」
こうして、ボクは『青』と一緒に主の元へ戻った。
「あ、いた。」
主の影から魔力反応のあった場所の近くまで移動していたボクは、その魔力を放った者を見つけた。
青髪の長髪を後ろで一つに結い、執事のような格好をしている。
「やっほー、久しぶり。」
「誰かと思えば、ヴィーレじゃないか。」
「ボクが来たって気付いてたクセに。」
「あれだけ分かり易い魔力を放たれてはな。俺にこの場から動くなと威圧していただろ?」
「まぁね。追いかけるの面倒だし。」
ジルファーが集めた魔法使い達によって召喚されたのは、《悪魔族》だ。それも最上位、ボクと同格の存在が召喚された。…いや、彼自ら召喚に応じたという方が正しいだろうね。
ボクらほどの《悪魔族》は、人間のみで召喚できない。圧倒的に魔力が足りないのだから。しかしボクら自身が足りない魔力を補い、この世界に顕現することはできる。つまりこの《悪魔族》も、ボクと同じように目的があって召喚に応じたって訳だ。
「それで、何で出て来たのさ。」
「お前が一人で楽しそうなことをやっていたからな。俺も混ぜてくれよ。」
「その為に来たんだ?」
「丁度良いタイミングで、召喚魔法の反応を感じたからな。お前の主のお望み通り、王国民は殺していないだろ?何なら魔法使い共も生かしておいた。」
「……ボクのお気に入りを横取りしようってワケ?」
「そんなつもりは毛頭ない。ただ俺もあの《異界魂》の一生を、近くで見てみたくなったんだよ。」
《異界魂》とは、この世界に存在しない魂、つまりは異世界の魂がこの世界に迷い込み、その魂を持って生まれた者のことを指す。感情を読み取るだけでなく、魂の色までも視ることができるボクらだからこそ、主が異世界からの転生者だと気付けたんだ。
千年に一度あるかないか程度の確率で異世界の魂がこの世界に迷い込んで来るけど、今回は特殊だった。生前の記憶をはっきりと思い出すことができ、魔法適性は闇。ボクら《悪魔族》と最も相性の良い属性だね。
《異界魂》の者は、殆どが光属性の魔法を操った。そして物語の主人公が如く、周囲にもてはやされていた。
けれど主は真逆。一部の人間には認められているとはいえ、闇魔法使いを理由に婚約破棄され公爵家を追放され…。普通なら病んでいてもおかしくない状況で、特に気にすることもなく自分を貫いていた。本当に格好良いと思ったんだ。
最初は興味本位で召喚に応じて従っていたけど、今では主として認めている。ボクの終わることのない一生に、ちょっとくらい誰かに従っていた時があってもいいよね。
「ボクは主に手を出したり主が困るようなことをしなければ、キミが傍に居てもいいと思うけど……。」
「本当か!?」
「主を守れる者が増えるのは、ボクも望むところだ。でも決めるのは主だよ。ボクに決定権は無い。主が拒否したのなら、直ぐに帰ってよね。あと、主をボクから奪おうとしたら、容赦しないから。」
「おぉ、怖い怖い。いいぜ、俺はあくまでも近くで一生を見届けたいだけだからな。付き従って命令を聞くさ。お前よりは前に出ないようにしてやるよ。」
「ふーん、ならいいけど。」
こうして、ボクは『青』と一緒に主の元へ戻った。
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