26 / 34
26話 罪
しおりを挟む
スレードル侯爵が味方に付いた後、一日一貴族を相手に、残りの四家と対談した。
ゼーファ様は貴族の意図を読み取り、これまでの行い等を十分に吟味してから、味方にするかの結論を出した。結果、三家がゼーファ様の下に加わり、一家はヴィーレが警戒の合図をしたが為に、丁重に断った。理由をヴィーレに聞いたところ、悪意が感じ取れたとの事。その貴族について調べてみると、公には中立としているものの、裏ではジルファー側に付いている貴族だと判明したのだ。
そうして慌ただしかった日々が一段落つき、ゼーファ様の執務室にて書類整理などの仕事の手伝いをしていた。
ギルドマスターのエデスラードから特に連絡もないので、私が出向かなければならないような高難易度の依頼は無いようだ。そこでゼーファ様の手伝いをすることにしたのだ。
ゼーファ様は、『久しぶりにゆっくりと休みを取るが良い』と言ってくれたが、何か嫌な予感がしていた私は、ゼーファ様の傍を離れるべきではないと判断した。そしてその予感は的中することになる──
「…!」
「…主。気付いた?」
「ええ…。王都の外に、一瞬巨大な魔力反応が現れたわね。これは《悪魔族》……よね。」
影から出てきたヴィーレは、私の言葉に頷いた。
ゼーファ様とリリアナは何の話かと疑問の表情を浮かべている。
「誰かが王都の外で、《悪魔族》を召喚したわ。」
「何じゃと!?……もしや、3日前にヴィーレが言っていたことと、関係しているのか…?」
「そうだろうね。」
ヴィーレは3日前、ジルファーに関する情報を掴んでいた。ジルファーが金にものを言わせて魔法使いをかき集め、何やら企んでいる……と。
召喚魔法を使うのではという予想はしていたが、私やヴィーレがいる限り問題は無いと判断し、そのまま泳がせていたのだ。
ゼーファ様は、ジルファーが集めた魔法使い達が強力な魔物などを召喚し、私をゼーファ様から引き離す計画だろうと考えており、ヴィーレはその通りだと肯定していた。私が討伐でゼーファ様から離れた隙に……とでも考えていたのだろう。
「この気配は……。」
「…ヴィーレ?」
「ねぇ主、ボク単独で行ってきてもいいかな。王女サマの傍には、主が居た方が良いでしょ?」
「……それもそうね。なら、《悪魔族》については任せるわ。」
ヴィーレは頷いてから私の影へと入り、直ぐに影から気配が消えた。影で近くまで移動したのだろう。
私は魔力を抑え、恰も王城から消えたかのように見せかける。ジルファーに対し、私が《悪魔族》の討伐に出向いたのだと思わせる為だ。
ヴィーレ自ら一人で行くと言ったことには、何か意味があったはず。私の予想に過ぎないが、おそらく知り合いの魔力反応に酷似していたのだろう。私やヴィーレだからこそ魔力を感じ取れたが、新人のAランク冒険者程度ならば、この魔力が分からなかったかもしれない。
「い、いくらヴィーレが強いとはいえ、《悪魔族》を一人で相手するのは無理があるのではないか…?」
「心配しなくても大丈夫よ。正直に言うと彼女、私より強いから。」
「なっ……ははは、妙に納得できてしまう。普段は無邪気なただの少女のように見えるのだが…。人は見かけによらぬとは、このことじゃな。毒入りだと見抜いたり、国王陛下すら掴んでいなさそうな情報を掴んでいたり…。思い返せば、普通ではないことばかりじゃな。」
「彼女に関しては規格外だもの…。何故私を主と認めているのかすら、疑問に思っているくらいよ。」
「…一つ訊くが、先日の《上位悪魔》を討伐したのは……。」
「それは紛れもなく私よ。《上位悪魔》程度に遅れを取るようでは、Sランク冒険者になんてなれないわ。」
「…それもそう……そうなのか?」
「ええ。《上位悪魔》如き、Sランク冒険者なら倒せるわ。」
「単独で討伐できるのはお主だけでは…。」
本当に、ヴィーレは何故私に従っているのだろうか。考えてみれば、その理由を一度も聞いたことがない。何の理由も無くということはないのだろうが、これまで聞く必要性を感じなかったが故に、気になってはいるが何も言わなかったのだ。
今更ヴィーレに問うことに意味はあるのだろうか…。
そんなことを考えていた時だった。勢いよく執務室の扉が開かれ、ジルファーとその護衛もとい騎士が数名入って来た。
「姉上……いいや罪人ゼーファ・アンドレイズ!貴様を今この場で拘束し、処刑するッ!貴様は冒険者リエラを利用し、王国に召喚魔法にて《悪魔族》を呼び出し、災いをもたらした!」
「……何の話じゃ?」
「とぼけても無駄だ!私は知っているんだ…ぞ……。」
そこまで言って、ようやく私の存在に気付いたらしい。
ジルファーは驚きを通り越して、固まっている。
「な…ぜ、貴様がここに居る…?魔力反応では確かに……。」
「Sランク冒険者にとって、魔力を完全に抑え込むことなど容易です。Aランク冒険者でも可能でしょう。──それで、私が何か?『召喚魔法』などと聞こえたけれど、私はここに居るわよ?」
「ッ……。」
「妾とて、これ以上は見過ごせぬ。既に事が起きてしまっている以上、ジルファー…、お主を捕らえなければならん。」
複雑な気持ちのはずだが、ゼーファ様は相手に感情を悟らせない完璧なポーカーフェイスを保っている。
一方のジルファーは、必死に言い訳を考えているのが見て取れた。
「私はただ……本当に姉上が命じて召喚魔法を使わせたのかと……。」
「この期に及んで悪あがきするつもりか?強大な魔力を感じ取れたのは、リエラのような強者のみ。さらには何故《悪魔族》と分かった?召喚魔法を使用した魔法使いから連絡が取れるよう、予め魔道具を手渡していたからであろう。」
「なっ…!…そ、そうだ、リエラ!貴様は討伐に行かなくてもいいのか!?こんな所に居ては、主である姉上の大切な民が皆殺しにされてしまうぞ!」
「問題無いわ。私の信頼できる知り合いが向かったもの。」
そう言い、私はジルファー含め入ってきた騎士全てを闇魔法にて拘束した。
リリアナに国王陛下への報告を任せ、十数分後には陛下の手配した騎士が執務室へと到着した。私は拘束を解き、彼らにジルファーと騎士達を引き渡す。
その際、ジルファーはずっと暴れていた。『私は悪くない!嵌められただけだ!』、『拘束を解け!』などと言っては、こちらを睨む。まるで駄々を捏ねる子供を見ているかのようだった。
「今頃、ヴィーレはどうしているかしら。」
「心配なのか?」
「心配してはいないけれど、やり過ぎないかと思ってね…。」
その後、ジルファーの命令に逆らえなかったと認められた騎士達は、軽い罰のみで釈放されたそうだ。当然ジルファーは牢に入ったままである。
これでゼーファ様が王となることが、確定したも同然となった。存外、呆気ないものだ。ゼーファ様は、自分だけを狙うのならばジルファーの行いに目を瞑っただろう。しかし今回は民を巻き込んだ。王位継承争いに民をも巻き込むなど、許されざることだ。何より冒険者以外の戦う力を持たない民達は、間違いなく犠牲となる。さすがのゼーファ様も、それだけは見過ごせなかった様子。
私の目的は殆ど達成された。後はジルファーの行く末を見守るのみ。
本音を言えば、少し清々している。闇魔法使いというだけで私との婚約を破棄し、さらには冤罪までかけたのだ。その後も自己利益の為だけに行動し、ゼーファ様を殺害しようとしていた。あのような最低男には、この王国からご退場願いたいくらいだ。
「後で彼の惨めな顔を、拝みに行かないといけないわね。」
「何か言ったか?」
「いいえ、何も…。」
ゼーファ様は貴族の意図を読み取り、これまでの行い等を十分に吟味してから、味方にするかの結論を出した。結果、三家がゼーファ様の下に加わり、一家はヴィーレが警戒の合図をしたが為に、丁重に断った。理由をヴィーレに聞いたところ、悪意が感じ取れたとの事。その貴族について調べてみると、公には中立としているものの、裏ではジルファー側に付いている貴族だと判明したのだ。
そうして慌ただしかった日々が一段落つき、ゼーファ様の執務室にて書類整理などの仕事の手伝いをしていた。
ギルドマスターのエデスラードから特に連絡もないので、私が出向かなければならないような高難易度の依頼は無いようだ。そこでゼーファ様の手伝いをすることにしたのだ。
ゼーファ様は、『久しぶりにゆっくりと休みを取るが良い』と言ってくれたが、何か嫌な予感がしていた私は、ゼーファ様の傍を離れるべきではないと判断した。そしてその予感は的中することになる──
「…!」
「…主。気付いた?」
「ええ…。王都の外に、一瞬巨大な魔力反応が現れたわね。これは《悪魔族》……よね。」
影から出てきたヴィーレは、私の言葉に頷いた。
ゼーファ様とリリアナは何の話かと疑問の表情を浮かべている。
「誰かが王都の外で、《悪魔族》を召喚したわ。」
「何じゃと!?……もしや、3日前にヴィーレが言っていたことと、関係しているのか…?」
「そうだろうね。」
ヴィーレは3日前、ジルファーに関する情報を掴んでいた。ジルファーが金にものを言わせて魔法使いをかき集め、何やら企んでいる……と。
召喚魔法を使うのではという予想はしていたが、私やヴィーレがいる限り問題は無いと判断し、そのまま泳がせていたのだ。
ゼーファ様は、ジルファーが集めた魔法使い達が強力な魔物などを召喚し、私をゼーファ様から引き離す計画だろうと考えており、ヴィーレはその通りだと肯定していた。私が討伐でゼーファ様から離れた隙に……とでも考えていたのだろう。
「この気配は……。」
「…ヴィーレ?」
「ねぇ主、ボク単独で行ってきてもいいかな。王女サマの傍には、主が居た方が良いでしょ?」
「……それもそうね。なら、《悪魔族》については任せるわ。」
ヴィーレは頷いてから私の影へと入り、直ぐに影から気配が消えた。影で近くまで移動したのだろう。
私は魔力を抑え、恰も王城から消えたかのように見せかける。ジルファーに対し、私が《悪魔族》の討伐に出向いたのだと思わせる為だ。
ヴィーレ自ら一人で行くと言ったことには、何か意味があったはず。私の予想に過ぎないが、おそらく知り合いの魔力反応に酷似していたのだろう。私やヴィーレだからこそ魔力を感じ取れたが、新人のAランク冒険者程度ならば、この魔力が分からなかったかもしれない。
「い、いくらヴィーレが強いとはいえ、《悪魔族》を一人で相手するのは無理があるのではないか…?」
「心配しなくても大丈夫よ。正直に言うと彼女、私より強いから。」
「なっ……ははは、妙に納得できてしまう。普段は無邪気なただの少女のように見えるのだが…。人は見かけによらぬとは、このことじゃな。毒入りだと見抜いたり、国王陛下すら掴んでいなさそうな情報を掴んでいたり…。思い返せば、普通ではないことばかりじゃな。」
「彼女に関しては規格外だもの…。何故私を主と認めているのかすら、疑問に思っているくらいよ。」
「…一つ訊くが、先日の《上位悪魔》を討伐したのは……。」
「それは紛れもなく私よ。《上位悪魔》程度に遅れを取るようでは、Sランク冒険者になんてなれないわ。」
「…それもそう……そうなのか?」
「ええ。《上位悪魔》如き、Sランク冒険者なら倒せるわ。」
「単独で討伐できるのはお主だけでは…。」
本当に、ヴィーレは何故私に従っているのだろうか。考えてみれば、その理由を一度も聞いたことがない。何の理由も無くということはないのだろうが、これまで聞く必要性を感じなかったが故に、気になってはいるが何も言わなかったのだ。
今更ヴィーレに問うことに意味はあるのだろうか…。
そんなことを考えていた時だった。勢いよく執務室の扉が開かれ、ジルファーとその護衛もとい騎士が数名入って来た。
「姉上……いいや罪人ゼーファ・アンドレイズ!貴様を今この場で拘束し、処刑するッ!貴様は冒険者リエラを利用し、王国に召喚魔法にて《悪魔族》を呼び出し、災いをもたらした!」
「……何の話じゃ?」
「とぼけても無駄だ!私は知っているんだ…ぞ……。」
そこまで言って、ようやく私の存在に気付いたらしい。
ジルファーは驚きを通り越して、固まっている。
「な…ぜ、貴様がここに居る…?魔力反応では確かに……。」
「Sランク冒険者にとって、魔力を完全に抑え込むことなど容易です。Aランク冒険者でも可能でしょう。──それで、私が何か?『召喚魔法』などと聞こえたけれど、私はここに居るわよ?」
「ッ……。」
「妾とて、これ以上は見過ごせぬ。既に事が起きてしまっている以上、ジルファー…、お主を捕らえなければならん。」
複雑な気持ちのはずだが、ゼーファ様は相手に感情を悟らせない完璧なポーカーフェイスを保っている。
一方のジルファーは、必死に言い訳を考えているのが見て取れた。
「私はただ……本当に姉上が命じて召喚魔法を使わせたのかと……。」
「この期に及んで悪あがきするつもりか?強大な魔力を感じ取れたのは、リエラのような強者のみ。さらには何故《悪魔族》と分かった?召喚魔法を使用した魔法使いから連絡が取れるよう、予め魔道具を手渡していたからであろう。」
「なっ…!…そ、そうだ、リエラ!貴様は討伐に行かなくてもいいのか!?こんな所に居ては、主である姉上の大切な民が皆殺しにされてしまうぞ!」
「問題無いわ。私の信頼できる知り合いが向かったもの。」
そう言い、私はジルファー含め入ってきた騎士全てを闇魔法にて拘束した。
リリアナに国王陛下への報告を任せ、十数分後には陛下の手配した騎士が執務室へと到着した。私は拘束を解き、彼らにジルファーと騎士達を引き渡す。
その際、ジルファーはずっと暴れていた。『私は悪くない!嵌められただけだ!』、『拘束を解け!』などと言っては、こちらを睨む。まるで駄々を捏ねる子供を見ているかのようだった。
「今頃、ヴィーレはどうしているかしら。」
「心配なのか?」
「心配してはいないけれど、やり過ぎないかと思ってね…。」
その後、ジルファーの命令に逆らえなかったと認められた騎士達は、軽い罰のみで釈放されたそうだ。当然ジルファーは牢に入ったままである。
これでゼーファ様が王となることが、確定したも同然となった。存外、呆気ないものだ。ゼーファ様は、自分だけを狙うのならばジルファーの行いに目を瞑っただろう。しかし今回は民を巻き込んだ。王位継承争いに民をも巻き込むなど、許されざることだ。何より冒険者以外の戦う力を持たない民達は、間違いなく犠牲となる。さすがのゼーファ様も、それだけは見過ごせなかった様子。
私の目的は殆ど達成された。後はジルファーの行く末を見守るのみ。
本音を言えば、少し清々している。闇魔法使いというだけで私との婚約を破棄し、さらには冤罪までかけたのだ。その後も自己利益の為だけに行動し、ゼーファ様を殺害しようとしていた。あのような最低男には、この王国からご退場願いたいくらいだ。
「後で彼の惨めな顔を、拝みに行かないといけないわね。」
「何か言ったか?」
「いいえ、何も…。」
57
お気に入りに追加
189
あなたにおすすめの小説
子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。
さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。
忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。
「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」
気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、
「信じられない!離縁よ!離縁!」
深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。
結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
【完結】婚約者が好きなのです
maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。
でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。
冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。
彼の幼馴染だ。
そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。
私はどうすればいいのだろうか。
全34話(番外編含む)
※他サイトにも投稿しております
※1話〜4話までは文字数多めです
注)感想欄は全話読んでから閲覧ください(汗)
姉の所為で全てを失いそうです。だから、その前に全て終わらせようと思います。もちろん断罪ショーで。
しげむろ ゆうき
恋愛
姉の策略により、なんでも私の所為にされてしまう。そしてみんなからどんどんと信用を失っていくが、唯一、私が得意としてるもので信じてくれなかった人達と姉を断罪する話。
全12話
【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。
彩華(あやはな)
恋愛
最後に見たのは恋人の手をとる婚約者の姿。私はそれを見ながら階段から落ちた。
目を覚ましたわたしは変わった。見舞いにも来ない両親にー。婚約者にもー。わたしは私の為に彼らをやり込める。わたしは・・・私の為に、笑う。
悪役令嬢は高らかに笑う。
アズやっこ
恋愛
エドワード第一王子の婚約者に選ばれたのは公爵令嬢の私、シャーロット。
エドワード王子を慕う公爵令嬢からは靴を隠されたり色々地味な嫌がらせをされ、エドワード王子からは男爵令嬢に、なぜ嫌がらせをした!と言われる。
たまたま決まっただけで望んで婚約者になったわけでもないのに。
男爵令嬢に教えてもらった。
この世界は乙女ゲームの世界みたい。
なら、私が乙女ゲームの世界を作ってあげるわ。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ ゆるい設定です。(話し方など)
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる