転生魔法伝記〜魔法を極めたいと思いますが、それを邪魔する者は排除しておきます〜

凛 伊緒

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5章 王都上空決戦

第73話 元凶

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「割れた?何が割れたと言うの?」

「今すぐ王都に戻らないと…!」

「えっ!?」


ミアスとガイジスを呼び戻し、私は浮遊魔法にて全員を浮かす。
ガイジスは驚いているがリーゼとミアスはそうでもない。
精霊族は常に浮いており、ミアスも浮遊魔法は使えるからだろう。
私の焦りようにミアスはただならぬものを感じ取っているようだ。


「悪いけど……少し乱暴に本気を出すわ。」

「「えぇっ?!」」「……。」

本気マジで言ってんのか?!」

「無論よ。リーゼ様、森は破壊しないので許してください。」

「そ、そう…?」


私は周囲の魔力を集める。
自身の魔力を使わずに済み、かつ乱れた魔力ごと魔法に変えて放つのだ。
そうすることで必然的にこの森一帯の魔力は安定する。
つまり一石二鳥ということだ。
少し制御が厄介だったが、全力でコントロールする。
こんな所で立ち止まってはいられないのだから。


「《魔殲滅の光弓シャイニング・アロー》!」


魔物のみに放たれる無数の光の矢。
矢は木々をすり抜け、当たった瞬間に魔物と一緒に消える。


「光の雨ね…。これ、人に当たるとどうなるのかしら。」

「すり抜けますよ。人のみならず魔物以外は全て。」


私は端的に説明し、魔物の殲滅を確認してから魔力の流れも見る。
狙い通り、乱れた魔力は全て安定していた。
王都にそのまま向かおうとしたのだが、ふとリーゼが目に入った。
彼女をどうすべきだろうか。
元住んでいた場所に帰すべきか、このまま王都に連れて行くのか…。
……迷っている暇はないので連れて行こう。


「リーゼ様。申し訳ないのですが、王都までついてきて頂きますね。」

「もとよりそのつもりよ。貴女の国で異変が起きているのなら、私達の森にも影響が出るかもしれないもの。」

「ならば良かったです。」


そう言ってから私は指を鳴らした。
一瞬で王都上空に転移する。
浮遊魔法は発動させたままなので、文字通り上空に浮いている。
眼下に広がる王都の光景に、自分の目を疑いたくなった。

叫び逃げ惑う人々に、所々破壊された建物。
死者も出ているようだ。
さらには王都内を徘徊する魔物共が人々を襲っている。
冒険者や兵士、その他腕に覚えのある者達が応戦している。
だが建物が壊れ、死人が出ている理由は他にあるようだ…。

王城は私が張った強力な結界により無傷だが、王都に張っていた結界は既に割れて無効化されていた。
ふつふつと怒りが込み上げてくる…。


「リ、リアラ!」

「っ!…ごめんなさい。もう大丈夫よ。」


ミアスに名を呼ばれ我に返った。
どうやら怒りのあまり、魔力を放ってしまっていたようだ。


「ミアス、ギルマス。民達の避難誘導と、魔物の殲滅をお願い出来るかしら。」

「無論だ。」「任せろ。」

「私は何をしたらいいの?」

「……手伝ってくださるのですか?」

「貴女には借りがあるもの。」


精霊族の彼女が手伝ってくれるのならば、これ以上なく心強い。
私はリーゼに教会へ向かって欲しいと告げた。
避難所となっているあの場所で、結界を張ってもらうためだ。
それぞれが各場所へ散り、私は空を飛ぶ魔物に対峙する。
すると全力のスピードでこちらに向かってきた。
振り上げられた前足を、軽々と結界にて防ぐ。


「王都が半壊している元凶はあなたよね、『黒魔法の儀式者』ジルディガー。」
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