転生魔法伝記〜魔法を極めたいと思いますが、それを邪魔する者は排除しておきます〜

凛 伊緒

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5章 王都上空決戦

第71話 旋風氷河

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かなり奥まで歩いてきた。
禍々しい魔力が強く感じ取れるようになってきたということは、中心に近い証拠だろう。
魔物が私達の周囲を埋め尽くしている。


「流石に数が多すぎるわ…!」

「こんなに囲まれたのは初めてだ……。道中もそうだったが、数が異常過ぎる!」


リーゼとガイジスの限界が近付いてきているように見える。
私とミアスはまだまだ平気だが、ミアスも2人が限界だろうと気付いている様子。
戦い方が途中から変わり、2人の負担が最小限になるように動いていた。
私も援護に徹している。


「リアラ!このまま続けると消耗するだけだ!撤退するか!?」

「撤退だけはお断りよ。」


私の言葉に、リーゼとガイジスが「はぁ!?」という顔で振り向いてきた。
戦いの最中に余所見はして欲しくないのだが…。
とはいえ、このまま戦っても埒が明かないのは事実。
さらに魔物は増え続けているように見える。
この辺りで一網打尽にするとしよう。


「リーゼ様、ギルマス。10秒後に私の近くまで下がってください。」

「わ、分かったわ。」「了解だ。」

「ミアスは生き残りの殲滅を任せるわ。」

「了解。」


私は魔法を構築していく。
大規模魔法は久しぶりだった。
どのような結果になるのか、楽しみだ。


「──創作オリジナル魔法……《旋風氷河ワール・グレイシャー》!」


その瞬間、私達を中心とした巨大な旋風が発生し、それはみるみる巨大化していった。
少し青みがかった色の旋風が、魔物を細切れにしている。
そして今度は中心から凍っていき、渦を巻いた広大な氷土が完成した。
とても幻想的な景色が広がっている。


「「「……!?!」」」

「ふぅ。やっぱり制御が難しいわね…。木の上の方が凍りきっていない。これでは空中が隙になって、確実に敵を仕留められないわ……って、皆揃ってどうしたの?」


口を開けて固まっている3人。
何か変なことをしただろうか?
それともこの景色に見惚れているのだろうか?


「信じられないわ……。」

「な、何なんだこれは…。」

「魔法で創られた氷河よ。言ったでしょう?《旋風氷河》と。」

「はぁ……生き残りの殲滅をするも何も、こんな中で生き残った魔物とは戦いたくないな…。」


3人からの視線が痛い。
するとミアスが聞いてきた。


「一体これは何処まで続いているんだ?」

「ここを中心として、大体半径1.5km先くらいまでね。」

「嘘だろ……。」


大規模魔法とはそういうものだろう。
1kmより広くなければ大規模とは呼ばない。
これでも抑えた方だ。
この場所での魔力制御は1.3km程度が限界だが、それは『死魔の森』だからであって、基本的には5km先くらいまでは余裕で出来る。
今回の魔法は、本来ならばもっと遠くまで範囲を広げられるのだ。


「さて、先に進みましょう。」

「それはそうだが……、まさかこの上を歩くのか?」

「そんなわけないわ。上を歩くなんて、馬鹿がすることよ。」

「じゃあどうするん……、………は?」


私は指を鳴らした。
その瞬間、《獄炎ヘル・フレア》が放たれる。
氷を溶かしながら進み、視界が開けて1本の道が出来上がっていく。
しかし《獄炎》は、400m程先で急に消えてしまった。


「……あったわね。あそこだけ《旋風氷河》の影響すら無いわ。」

「禍々しいわね…。」


魔法の影響を全く受けていない『死魔の森』の異変の元凶が、その姿を現した──
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