転生魔法伝記〜魔法を極めたいと思いますが、それを邪魔する者は排除しておきます〜

凛 伊緒

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5章 王都上空決戦

第64話 少しばかりの本気

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「早速始めてもらおう。ただし、危険だと判断すれば俺が止める。いいな?」


ギルドマスター・ガイジスの言葉に、私とミアス、そして『疾風の連撃』の全員が頷く。
闘技場には、観戦するために続々と冒険者が客席に入ってきていた。


「では……始めッ!」


声と同時に、ミアスが仕掛ける。
一瞬で間合いを詰め、剣を振るったのだ。
しかし流石はAランク冒険者パーティーといったところだろうか。
素早く散り、剣を易々と避けた。
ミアスはすぐさま私の所に戻り、警戒をする。


「1人くらい当たると思ったんだがな。」

「手を抜きすぎよ。彼らはAランク冒険者なのだから、普通に強いわ。」

「知っているさ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



【『疾風の連撃』視点】


「何よっ、今の速さ!」

「落ち着け。俺達よりは遅い。それに見てみろ。」

「すぐに王女の所に戻ったな。」

「ああ。おそらく王女さんは近距離戦が苦手なんだろう。」

「なるほどね。ミアスが前衛、王女さまは後衛専門、といったところかしらね。」


『疾風の連撃』のパーティーメンバーはこうだ。
リーダー兼 大剣使い「ゼフ」
盾使いの防御役「ベルド」
弓使い「エディス」
魔法使い「シーラ」と「シーレ」

シーラとシーレは双子であり、魔法攻撃と支援魔法を交代で行っている。
とてもバランスの取れたパーティーだ。
そしてその全員が素早く動くことが出来る。
魔法によってより速く動き、相手を撹乱する。
それこそが、このパーティーが『疾風の連撃』と呼ばれる所以であった。


「なら、いつも通りでいいわよね?」

「僕達の速さに驚くだろうな。」

「でも殺してはダメよ?」

「分かっているよ。なぁリーダー?」

「ああ。しかし本気で戦ってくれとギルマスから言われている。あの2人、相当強いんだろう。」

「マジかよ…。ま、僕はいつものように弓で誘導するさ。」

「俺も主に魔法を防御しよう。」

「私達は支援魔法を3人にかけるようにするわ。」

「でも軽い攻撃魔法なら撃つからね。」

「了解だ。じゃ行くぞ、お前ら!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



【『リアラ&ミアス』視点】


「……何か気合いが入ったみたいよ。」

「そのようだな。俺達も気合いを入れるか?」

「駄目よ。魔力量を見る限り、私達より弱いわ。」

「隠している可能性もあるぞ。」

「それは無理ね。私の『眼』からは逃れられない。」


魔法具体『魔刃眼ブレードアイ』には、魔力を切る以外にあらゆるものの鑑定も出来る。
そしてそれはどれほど隠していても意味をなさないのだ。


「『魔力乱』ならば、彼女達であれば数分で戻せるでしょう。でも『魔刃眼』を使えばどの程度で戻すことが出来るのかしら…。」

「試すなよ?手練で1日かかるんだろう?」

「ええそうね。乱すだけであれば、手練の魔法使いなら数分。逆に言い方は悪いけれど、弱い者なら1週間戻るのにかかるわ。切ってしまえば、弱い者は1ヶ月かもね。最悪死んでしまうし。」

「恐ろしいこと言うなよな。っと、動き出したな。」

「あら、中々早いのね。」

「そう言いつつ、追えてるじゃないか。」

「それはミアスも同じでしょう?」

「まぁな。」

「最悪結界で防いでしまうから、遠慮せずに行くといいわ。」

「……味方で良かったよ。」


そう言い残し、ミアスは素早く動き回る相手の方へと向かって行った。
私は時折飛んでくる魔法や弓矢を、魔法をぶつけて相殺する。
そんなことを続けて、3分が経過した。
真面目に相手をするのが面倒になってくる。
そこでミアスに目線で合図を送った。
すると私から少し離れる。


「ほんの少しだけ、本気を見せましょうか。……『煙幕スモーク』。」


その瞬間、爆発した後のような煙が発生した。


「「「な、何が起こったんだ!?」」」


観客は驚きの声を上げている。
そして煙が無くなり、視界が良くなると同時に、静まり返った。
何故なら、そこに立っていたのは私とミアスのみだったからだ。
『疾風の連撃』の5人は気絶していた。


「しょ、勝者 リアラ&ミアス!」


ガイジスが驚いた顔をしつつも、結果を告げる。
おそらく、彼には見えていただろう。
私達が何をしたのかを。


「冒険者達に実力を見せるのはまだ早いわ。分かる人にだけ知ることが出来る……、それで十分よ。」

「まさか思い通りに行くとは思わなかったけどな。」

「いいじゃない。楽なのが一番なのだから。」

「…それもそうか。」


気絶した5人を起こし、ガイジスとリリィと共に冒険者ギルドへと戻った。
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