転生魔法伝記〜魔法を極めたいと思いますが、それを邪魔する者は排除しておきます〜

凛 伊緒

文字の大きさ
上 下
65 / 94
5章 王都上空決戦

第63話 初依頼の結果…

しおりを挟む
「帰る前に、一つ依頼を受けていかないかしら。」

「構わないが、何を受けるんだ?」

「そうね……これはどう?」

「蜂型の魔物の討伐か。Dランクの依頼だが、1つ上までならば受けられると言っていたな。」


通常、自分のランクと同じ依頼を受けるべきだが、護衛依頼以外は1つ上のランクの依頼を受けることが出来る。
危険は伴うが、能力値が見合っていれば問題はない。
その判断はギルド職員が行っている。
なのでリリィに依頼の紙を持っていくと……


「Dランクの討伐依頼ですね。場所はこの位置です。こちらから依頼主に連絡しておきますので、合流してください。」

「分かったわ。」


近くまで転移にて移動し、受け取った地図を見ながら進んで行く。
すると50代くらいの男性が私達を待っていた。


「ようこそお越しくださいました。ギルドから連絡があった方々ですね。私はこの村の村長をやっております、リドンと申します。以後お見知りおきを。」

「私はリアラ。こちらはミアスです。」

「なんと!第三王女殿下に、側近のミアス様……高名な御二方だったとは…!お会い出来て光栄です。では早速ですが、依頼者として説明をさせて頂きます。」


私とミアスは、リドンより詳しい魔物の出現場所を聞いた。
そして彼と別れ、2人で進んで行く。
すると羽音が聞こえてきた。
かなりの数だ。


「ねぇミアス……確認されていたのは3匹程度よね…。」

「ああ…。」

「数十匹はいるわよ。」

女王クイーンがいる……ということか。」

「ええ、後方に強力な魔力反応があるわ。Aランクの依頼に引き上げね。」

「こういう場合は撤退すべきだが、今引けば村が危険になるな。」

「そうねぇ。困ったわ。本当に困ったわね~。」

「戦う気満々じゃないか……。まぁ同じ気持ちだが。」


そうして、魔物との戦いが始まった。
ミアスは前衛、私は後衛として魔法で援護をする。
バランスの取れた連携で倒していく。
そしてあっという間に、蜂型の魔物の女王らしき姿を捉えた。
卵のような白い球体が体から透けて見えている。
正直に言うと気持ちが悪い……。


「焼き払っていいかしら……。」

「お好きにどうぞ。でも女王が居たという証拠は無くなるぞ。」

「それもそうね……。ならここは、冷凍してしまいましょう。」

「れいとう?」

「ええ、冷凍よ。氷の芸術品にするわ。──《氷結の波アイスウェーブ》。」


その瞬間、魔物は凍りついた。
波に飲まれ、そのまま氷となって閉じ込められたかのように…。
その後、私とミアスは村長に報告に向かった。
事の顛末を説明すると、驚かれると同時に尊敬された。
依頼完了の印を貰い、ギルドへと転移にて戻る。


「リリィ、依頼完了の報告に来たわ。」

「えぇっ!?もう依頼を達成なされたのですか!?」

「確認、よろしくお願いするわね。」

「は、はい……。本当ですね……リドンさんの印もあります。…って、ええぇっ!!女王が現れた!?それすらも討伐……。」

「これは証拠よ。」


そう言って、異空間収納魔法から《氷結の波》にて凍らせた魔物を取り出す。
 周囲の注目が一気に集まった。


「わわっ!?これをたった2人で…?」

「ええ。」

「ほぼリアラ1人でやったけどな…。」

「あら、ミアスも前衛としてしっかり戦ってくれていたじゃない。」

「ははは…。」

「凄い……本当に凄いです!Aランク相当の魔物を、たったお二人でなんて!」


ざわつきを見せるギルド内。
すると2階からギルドマスターが降りてきた。
何の騒ぎだと言いかけるが、凍った蜂型の魔物を見て固まった。


「ギルドマスター!実は──」


本来の依頼内容や、事の経緯を話すリリィ。
するとガイジスは手を顎に当て、何かを考え始める。
一呼吸おいてから、他の冒険者達にも聞こえる声で言った。


「よし…。リアラとミアスを、Aランク冒険者とする。」

「「「ええぇっっ!?」」」

「だが当然、認めたくないやつもいるだろう。そこで……」

「俺達の出番、ということだなギルマス。」

「ああ、よく分かってるじゃないか。」

「ギルマスと知り合って何年経ってると思ってるんだよ。」


声の方を振り向くと、男女5人組の強そうなパーティーが居た。
話を聞いている限りでは、彼らはきっとAランク冒険者なのだろう。
ということは模擬戦で戦って勝て、と言われる可能性が高い…。


「リアラ、ミアス。こいつらはAランク冒険者、『疾風の連撃』と呼ばれているパーティーだ。」

「呼ばれている…?」

「有名な冒険者パーティーほど、周囲から見合った名前を付けられる。簡単に言えば、二つ名のようなもんだな。」


冒険者ギルドでは、パーティーを登録する際にパーティー名は決めないことになっている。
パーティー全員の名前は用紙に書くのだが、自らパーティー名を名乗らないことに意味があるのだとか。
上位ランクになっていくほどに、名が広まって二つ名が周囲から付けられる。
二つ名で呼ばれることを目標とし、やる気を出させるのが目的なのだろう。
ちなみに私とミアスは2人組のパーティーである。


「なるほど。このパーティー……『疾風の連撃』と戦え……と。」

「そういうことだ。勝てばAランクとして認めよう。しかし人数的に不利だろうから、人数を減らして……」

「その必要はないわ。」

「え…?」

「私とミアスは2人のパーティー。そして彼らは5人で1つのパーティー。同格と示すのならば、数の不利は関係ないでしょう。」

「それはそうだが…。」

「実践経験の差があるという心配なら無用よ。」

「……分かった。ギルドが持つ闘技場へ向かうぞ。」


そうして、『疾風の連撃』の5人と共に闘技場へと向かうのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

処理中です...