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4章 災厄日
第59話 王女として、一人の人として
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私は、ミアスと共に私の部屋へと戻ってきた。
私に続き、ミアスが入り、扉が閉まる。
それと同時に、部屋にあるソファへと腰掛けた。
「はぁ……疲れたわね…。」
「ああ…本当にな……。お疲れ、リアラ。」
「ミアスこそお疲れ様。今頃、お兄様達はまだ王都近くを凱旋しているところなのでしょうね。」
「だろうな。」
ほぼ歩兵の討伐隊が王都へと着くまで、もう少しかかるだろう。
窓の外を眺めながら、今回の戦いを振り返る。
死人が出なくて本当に良かったと思う。
私は魔法好きな人である前に、一国の王女だ。
民を想い、守る義務がある。
『災厄日』を事前に察知できたにも関わらず、もし死者が出たとなれば、それは私の失態となるだろう。
父ヴィライユは責めないと思うが、それでも私は自分自身を許せない。
「……。」
「どうした?」
「私は……今まで好きなように生きてきたわ。」
「急にどうしたんだよ…?」
「大好きな魔法を極めて、魔物と戦って……。」
「?」
「私が今まで好きなことをだけをして生きてこれたのは、全てお父様をはじめとする家族のおかげなのだと、今回改めて感じたのよ。」
「……そうか。」
「ええ…。民の為とは言え、結局私が望んだものは『自由に魔法の研究ができること』。お父様はそんな私の望みを、ずっと叶えてくれているわ。」
「確かにそうだな……。お茶会でアピールをしてくる貴族はいたが、縁談は今までなかったな。」
「そうなのよね…。」
そろそろ自分で何とかするべきだと感じていた。
王族という立場にも関わらず、成人して婚約者がいないという状況は普通に考えておかしいものだ。
第二王女レイアネスは別として……。
私に関しては、おそらく父が断っていたのだろう。
とはいえ、結婚する気は無い。
ミアスと魔法を研究できるのならば、他は何もいらない。
末の王女だからこそ、あまり重要視されていないということもある。
しかし本来ならば政略結婚などをするはず。
父であり国王でもあるヴィライユが私の意思を尊重してくれているのだ。
本当にありがたい…。
私は考えた。
まずは授かった二つ名を活用し、さらに功績を上げる。
隣には必ずミアスにいてもらうようにし、2人で魔物討伐などを行えば、噂が立つはすだ。
どのような噂になるかは分からないが。
そしてお茶会などには適度に参加し、結婚する気がないということをそれとなく広める。
その他も色々と考えたが、あとは行動あるのみだと思う。
「……ふふっ。」
「急に笑ってどうしたんだ?」
「考えても実行しなきゃ意味がない……か。」
「?…それはそうだろう。」
「私はもう15歳で成人している。これ以上家族に迷惑はかけられないわ。結婚をしなくて済むように、立ち位置を確立しないとね。」
「リアラがそう望むのなら、どんなことでも協力するよ。まぁ俺ができることなんて、限られてるけどな。」
「ありがとう。隣にいてくれるだけで嬉しいわ。どこにも行かないで頂戴ね?」
私は何気なく言った。
すると何故かミアスは、口を半開きにして固まった。
それも一瞬のことで、すぐに目を閉じて少し俯く。
顔を上げると同時に私を真っ直ぐと見た。
「どこにも行かないさ。リアラは俺の主人であり、大せ……。…これ以上は言ってはいけないな。」
ミアスが何を言いたかったのか、私は分かった。
初めてミアスの気持ちを知った。
今まで気が付かなかったなんて、どれほど自分が鈍感なのかと思う。
隠すのが上手いということもあるだろうが、言い訳に過ぎない。
ミアスは『それ以上言えない』が、ギリギリのところまで言い、私に気付いてくれという想いがあったのだと感じた。
……本当に立場をわきまえている。
自分のことは常に後回し。
好きな人がいてもその相手に気持ちさえ伝えられないなど、私は耐えられないだろう。
私には勿体なくて、でもずっと傍にいてほしいと思う人。
王女と側近の関係だが、一人の人としてミアスと一緒に居たい。
「……『どこにも行かない』。その言葉、忘れないわよ。」
私に続き、ミアスが入り、扉が閉まる。
それと同時に、部屋にあるソファへと腰掛けた。
「はぁ……疲れたわね…。」
「ああ…本当にな……。お疲れ、リアラ。」
「ミアスこそお疲れ様。今頃、お兄様達はまだ王都近くを凱旋しているところなのでしょうね。」
「だろうな。」
ほぼ歩兵の討伐隊が王都へと着くまで、もう少しかかるだろう。
窓の外を眺めながら、今回の戦いを振り返る。
死人が出なくて本当に良かったと思う。
私は魔法好きな人である前に、一国の王女だ。
民を想い、守る義務がある。
『災厄日』を事前に察知できたにも関わらず、もし死者が出たとなれば、それは私の失態となるだろう。
父ヴィライユは責めないと思うが、それでも私は自分自身を許せない。
「……。」
「どうした?」
「私は……今まで好きなように生きてきたわ。」
「急にどうしたんだよ…?」
「大好きな魔法を極めて、魔物と戦って……。」
「?」
「私が今まで好きなことをだけをして生きてこれたのは、全てお父様をはじめとする家族のおかげなのだと、今回改めて感じたのよ。」
「……そうか。」
「ええ…。民の為とは言え、結局私が望んだものは『自由に魔法の研究ができること』。お父様はそんな私の望みを、ずっと叶えてくれているわ。」
「確かにそうだな……。お茶会でアピールをしてくる貴族はいたが、縁談は今までなかったな。」
「そうなのよね…。」
そろそろ自分で何とかするべきだと感じていた。
王族という立場にも関わらず、成人して婚約者がいないという状況は普通に考えておかしいものだ。
第二王女レイアネスは別として……。
私に関しては、おそらく父が断っていたのだろう。
とはいえ、結婚する気は無い。
ミアスと魔法を研究できるのならば、他は何もいらない。
末の王女だからこそ、あまり重要視されていないということもある。
しかし本来ならば政略結婚などをするはず。
父であり国王でもあるヴィライユが私の意思を尊重してくれているのだ。
本当にありがたい…。
私は考えた。
まずは授かった二つ名を活用し、さらに功績を上げる。
隣には必ずミアスにいてもらうようにし、2人で魔物討伐などを行えば、噂が立つはすだ。
どのような噂になるかは分からないが。
そしてお茶会などには適度に参加し、結婚する気がないということをそれとなく広める。
その他も色々と考えたが、あとは行動あるのみだと思う。
「……ふふっ。」
「急に笑ってどうしたんだ?」
「考えても実行しなきゃ意味がない……か。」
「?…それはそうだろう。」
「私はもう15歳で成人している。これ以上家族に迷惑はかけられないわ。結婚をしなくて済むように、立ち位置を確立しないとね。」
「リアラがそう望むのなら、どんなことでも協力するよ。まぁ俺ができることなんて、限られてるけどな。」
「ありがとう。隣にいてくれるだけで嬉しいわ。どこにも行かないで頂戴ね?」
私は何気なく言った。
すると何故かミアスは、口を半開きにして固まった。
それも一瞬のことで、すぐに目を閉じて少し俯く。
顔を上げると同時に私を真っ直ぐと見た。
「どこにも行かないさ。リアラは俺の主人であり、大せ……。…これ以上は言ってはいけないな。」
ミアスが何を言いたかったのか、私は分かった。
初めてミアスの気持ちを知った。
今まで気が付かなかったなんて、どれほど自分が鈍感なのかと思う。
隠すのが上手いということもあるだろうが、言い訳に過ぎない。
ミアスは『それ以上言えない』が、ギリギリのところまで言い、私に気付いてくれという想いがあったのだと感じた。
……本当に立場をわきまえている。
自分のことは常に後回し。
好きな人がいてもその相手に気持ちさえ伝えられないなど、私は耐えられないだろう。
私には勿体なくて、でもずっと傍にいてほしいと思う人。
王女と側近の関係だが、一人の人としてミアスと一緒に居たい。
「……『どこにも行かない』。その言葉、忘れないわよ。」
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