転生魔法伝記〜魔法を極めたいと思いますが、それを邪魔する者は排除しておきます〜

凛 伊緒

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4章 災厄日

第55話 魔力の使い方

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「ふぅ……。魔物の姿がなくなったな。『災厄日モンスター・テンペスト』を乗り切ったのか?」

「お疲れ様でした、ヴィルガ殿下。先程、リアラ王女殿下が確認をされ、魔物はこれ以上発生しないだろうとのことです。死者や村への被害もありません。」

「そう……か…。それは良かった。しかし、ミアスはいつリアラに会ったんだ?私はミアスがリアラと会っているところを見ていないが…。」

「あっ…ええっと……。実は合図を決めていたのです。」

「合図?」

「終了の合図です。それと、死者や近隣の村への被害がないことは、リアラ殿下からの『連絡蝶フーライ』で知りました。」

「なるほどな。予めいくつか合図を決めておく…か。賢いな。それで、リアラは?」

「もうすぐいらっしゃるかと。今はおそらく…。」


ミアスは一瞬焦った。
これはリアラから念話で知ったことだった。
しかし『念話』で話していることを知られるわけにはいかない。
この世界にはなかった新しい魔法であり、知られては面倒なことになりかねないからだ。
魔法をどう発動するのか教えろなどと言われては、「知らない」としか答えようがない。
事実、使えるのはリアラだけであり、『念話』はリアラが発動させなければ使えなかった。
何とかヴィルガを誤魔化せてよかった。

森の上にはリアラが浮いていた。
長時間魔法を放っていたにも関わらず、上級魔法である浮遊魔法を平然と使っていることに、ミアスは流石だと思った。
ミアスでさえ、魔力がほぼ残っておらず疲れていたのだ。
リアラの魔力量は、底が知れない……。


ーーーーーーーーーーーーーーーー



「魔力が乱れる様子もなし…ね。無事に『災厄日』を乗り切れてよかったわ。……?ミアスの魔力がもうほぼ残っていないわね。仕方ないとはいえ、私の護衛として鍛え直さないといけないかしら?」


私の魔力量は確かに多い。
しかし、魔力が底をついたことがないのは他の理由もあった。
私は周囲の魔力をも利用しているのだ。
そうすることにより、無限とも言える魔力量を使うことが出来る。
この世界の人々は、その場所にある周囲の魔力を利用するという発想がない。
私が転生者であるが故の使い方なのだろう。

『災厄日』の終わりを再度確認し、私はヴィルガの元へと降りる。


「お兄様!」

「リアラ、お疲れ様。」

「お兄様こそ、お疲れ様です。素晴らしい指揮でした。」

「リアラとミアスのおかげだよ。2人が魔物をほとんど殲滅してくれたから、近衛騎士達の士気も上がった。本当にありがとう。」

「そんなことはありませんよ。彼らはよく戦ってくれました。負傷者はいるものの、死者が出なかったのはお兄様の実力でもあります。」

「そう…だろうか。」

「はい。では私は、負傷者の方へと行って参りますね。回復魔法の使い手は少ないですから。」

「ああ、頼む。」

「ミアスはここで、ヴィルガお兄様を守っていて。」

「承知致しました。」


そうして私は、負傷者の治療を行っている所まで向かったのだった。
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