56 / 94
4章 災厄日
第54話 災厄日
しおりを挟む
魔物が森から押し寄せてくる。
第二王子ヴィルガは突撃の合図を出そうとしたのだが、ミアスに止められた。
「ミアス、なぜ止める?!早く討伐しなければ被害が……!」
「ご心配には及びません。殿下が巻き込まれては主人に叱られてしまいますので、少しお待ち下さい。」
「……?」
「3…2…1…0。」
「なぁっ!?」
0のタイミングで、罠が順に発動していく。
とんでもない破壊力である。
その上、魔物が罠の上に一番多く乗っている時を狙って、発動されていた。
ミアスはこれがリアラの本気なのだと、肌で感じた。
森全体の様子を把握し、仕掛けた罠に干渉して発動させていく。
それがいかに凄いのか、ミアスのみが理解できたのだ。
「これは……。」
「以前、リアラ王女殿下と共に設置した魔法による罠です。」
「罠?!」
「はい。発動権限はリアラ殿下にありますので、状況を見て順に発動しているようです。」
「状況を……見る?つまり、この森全体を見ているということか。」
「おっしゃる通りにございます。おそらく……。」
そういうと、ミアスは空を見上げる。
ヴィルガもつられて空を見ると、人が1人、浮かんでいた。
「なっ!あれは……。」
「リアラ……殿下…。」
浮遊魔法にて浮かぶリアラがいたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「浮遊魔法は全体が見えるから良いわね。これなら、罠をスイッチのように発動させられるわ。……あら?ミアス、私に気付いたようね。つられてお兄様も。まぁ見ているから何ということはないのだけれど。──さて、始めましょうか。」
全ての罠の発動を終えると、私はミアスに合図を送った。
ミアスは頷くと、ヴィルガに『突撃しても構わない』と伝えたようだ。
私は彼らが魔物に気を取られている隙に、殲滅を開始する。
「森から王国側に出た魔物は任せるとして……。その他の方角から出た魔物を殲滅しましょうか。手始めに……対魔物、『魔殲滅の光弓』!」
その瞬間、光の弓が魔物を消滅させていく。
森を囲むように降り注ぎ、一瞬で数が減った。
それでもなお、魔物は湧いて出てくる。
「森から出る魔物はいなくなったでしょうけれど、今も増え続けているところを見る限り、時間の問題ね。周囲の魔力を調整してはいけないから、地道に倒すしかないのが面倒ね。」
倒しても倒してもキリがなく、半日が経ってもその勢いは収まらなかった。
討伐隊は疲弊しており、今の状態を保っていることが不思議なほどだ。
援軍も来たが、さほど状況は変わっていないように思える。
「はぁ……面倒ね。【聞こえるかしら、ミアス。】」
「わっ!?」
「【声に出さない!これは『念話』よ。思ったことを頭で念じれば私に届くわ。】」
「ふむ……【こうですか……?】」
「【ええ、聞こえているわよ。私とミアス以外聞こえないから、周りは気にしなくていいわよ。】」
「【了解だ。それで、どうしたんだ?】」
「【1つ頼みがあるの。そちらで一発、爆発系の魔法を放ってくれないかしら。彼らに見られないよう、目眩しのために……ね。】」
「【……あれを使うのか?】」
「【そうよ。だから頼んだわ。】」
「【分かった。】」
その瞬間、ミアスは目立つように爆発系の魔法を放った。
それに合わせ、私は『魔刃眼』にて魔物全てを葬った。
その後、徐々に魔物の勢いが収まり、被害がなく『災厄日』を乗り切ることができたのだった。
第二王子ヴィルガは突撃の合図を出そうとしたのだが、ミアスに止められた。
「ミアス、なぜ止める?!早く討伐しなければ被害が……!」
「ご心配には及びません。殿下が巻き込まれては主人に叱られてしまいますので、少しお待ち下さい。」
「……?」
「3…2…1…0。」
「なぁっ!?」
0のタイミングで、罠が順に発動していく。
とんでもない破壊力である。
その上、魔物が罠の上に一番多く乗っている時を狙って、発動されていた。
ミアスはこれがリアラの本気なのだと、肌で感じた。
森全体の様子を把握し、仕掛けた罠に干渉して発動させていく。
それがいかに凄いのか、ミアスのみが理解できたのだ。
「これは……。」
「以前、リアラ王女殿下と共に設置した魔法による罠です。」
「罠?!」
「はい。発動権限はリアラ殿下にありますので、状況を見て順に発動しているようです。」
「状況を……見る?つまり、この森全体を見ているということか。」
「おっしゃる通りにございます。おそらく……。」
そういうと、ミアスは空を見上げる。
ヴィルガもつられて空を見ると、人が1人、浮かんでいた。
「なっ!あれは……。」
「リアラ……殿下…。」
浮遊魔法にて浮かぶリアラがいたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「浮遊魔法は全体が見えるから良いわね。これなら、罠をスイッチのように発動させられるわ。……あら?ミアス、私に気付いたようね。つられてお兄様も。まぁ見ているから何ということはないのだけれど。──さて、始めましょうか。」
全ての罠の発動を終えると、私はミアスに合図を送った。
ミアスは頷くと、ヴィルガに『突撃しても構わない』と伝えたようだ。
私は彼らが魔物に気を取られている隙に、殲滅を開始する。
「森から王国側に出た魔物は任せるとして……。その他の方角から出た魔物を殲滅しましょうか。手始めに……対魔物、『魔殲滅の光弓』!」
その瞬間、光の弓が魔物を消滅させていく。
森を囲むように降り注ぎ、一瞬で数が減った。
それでもなお、魔物は湧いて出てくる。
「森から出る魔物はいなくなったでしょうけれど、今も増え続けているところを見る限り、時間の問題ね。周囲の魔力を調整してはいけないから、地道に倒すしかないのが面倒ね。」
倒しても倒してもキリがなく、半日が経ってもその勢いは収まらなかった。
討伐隊は疲弊しており、今の状態を保っていることが不思議なほどだ。
援軍も来たが、さほど状況は変わっていないように思える。
「はぁ……面倒ね。【聞こえるかしら、ミアス。】」
「わっ!?」
「【声に出さない!これは『念話』よ。思ったことを頭で念じれば私に届くわ。】」
「ふむ……【こうですか……?】」
「【ええ、聞こえているわよ。私とミアス以外聞こえないから、周りは気にしなくていいわよ。】」
「【了解だ。それで、どうしたんだ?】」
「【1つ頼みがあるの。そちらで一発、爆発系の魔法を放ってくれないかしら。彼らに見られないよう、目眩しのために……ね。】」
「【……あれを使うのか?】」
「【そうよ。だから頼んだわ。】」
「【分かった。】」
その瞬間、ミアスは目立つように爆発系の魔法を放った。
それに合わせ、私は『魔刃眼』にて魔物全てを葬った。
その後、徐々に魔物の勢いが収まり、被害がなく『災厄日』を乗り切ることができたのだった。
1
お気に入りに追加
212
あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる