転生魔法伝記〜魔法を極めたいと思いますが、それを邪魔する者は排除しておきます〜

凛 伊緒

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4章 災厄日

第54話 災厄日

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魔物が森から押し寄せてくる。
第二王子ヴィルガは突撃の合図を出そうとしたのだが、ミアスに止められた。


「ミアス、なぜ止める?!早く討伐しなければ被害が……!」

「ご心配には及びません。殿下が巻き込まれては主人に叱られてしまいますので、少しお待ち下さい。」

「……?」

「3…2…1…0。」

「なぁっ!?」


0のタイミングで、罠が順に発動していく。
とんでもない破壊力である。
その上、魔物が罠の上に一番多く乗っている時を狙って、発動されていた。
ミアスはこれがリアラの本気なのだと、肌で感じた。
森全体の様子を把握し、仕掛けた罠に干渉して発動させていく。
それがいかに凄いのか、ミアスのみが理解できたのだ。


「これは……。」

「以前、リアラ王女殿下と共に設置した魔法による罠です。」

「罠?!」

「はい。発動権限はリアラ殿下にありますので、状況を見て順に発動しているようです。」

「状況を……見る?つまり、この森全体を見ているということか。」

「おっしゃる通りにございます。おそらく……。」


そういうと、ミアスは空を見上げる。
ヴィルガもつられて空を見ると、人が1人、浮かんでいた。


「なっ!あれは……。」

「リアラ……殿下…。」


浮遊魔法にて浮かぶリアラがいたのだった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーー



「浮遊魔法は全体が見えるから良いわね。これなら、罠をスイッチのように発動させられるわ。……あら?ミアス、私に気付いたようね。つられてお兄様も。まぁ見ているから何ということはないのだけれど。──さて、始めましょうか。」


全ての罠の発動を終えると、私はミアスに合図を送った。
ミアスは頷くと、ヴィルガに『突撃しても構わない』と伝えたようだ。
私は彼らが魔物に気を取られている隙に、殲滅を開始する。


「森から王国側に出た魔物は任せるとして……。その他の方角から出た魔物を殲滅しましょうか。手始めに……対魔物、『魔殲滅の光弓シャイニング・アロー』!」


その瞬間、光の弓が魔物を消滅させていく。
森を囲むように降り注ぎ、一瞬で数が減った。
それでもなお、魔物は湧いて出てくる。


「森から出る魔物はいなくなったでしょうけれど、今も増え続けているところを見る限り、時間の問題ね。周囲の魔力を調整してはいけないから、地道に倒すしかないのが面倒ね。」


倒しても倒してもキリがなく、半日が経ってもその勢いは収まらなかった。
討伐隊は疲弊しており、今の状態を保っていることが不思議なほどだ。
援軍も来たが、さほど状況は変わっていないように思える。


「はぁ……面倒ね。【聞こえるかしら、ミアス。】」

「わっ!?」

「【声に出さない!これは『念話』よ。思ったことを頭で念じれば私に届くわ。】」

「ふむ……【こうですか……?】」

「【ええ、聞こえているわよ。私とミアス以外聞こえないから、周りは気にしなくていいわよ。】」

「【了解だ。それで、どうしたんだ?】」

「【1つ頼みがあるの。そちらで一発、爆発系の魔法を放ってくれないかしら。彼らに見られないよう、目眩しのために……ね。】」

「【……あれを使うのか?】」

「【そうよ。だから頼んだわ。】」

「【分かった。】」

 
その瞬間、ミアスは目立つように爆発系の魔法を放った。
それに合わせ、私は『魔刃眼ブレードアイ』にて魔物全てを葬った。

その後、徐々に魔物の勢いが収まり、被害がなく『災厄日モンスター・ディザスター』を乗り切ることができたのだった。
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