転生魔法伝記〜魔法を極めたいと思いますが、それを邪魔する者は排除しておきます〜

凛 伊緒

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4章 災厄日

第49話 贈り物と来客

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「おはよう、ミアス。」

「ああ、おはよう。珍しいな、俺が起こす前に起きるなんて。」

「私だって起きようと思えば一人で起きられるわよ。」

「ははっ。リアラは朝が弱いから、子供さが抜けないんだよ。」

「失礼ね。もう成人しているのだけれど?」

「でも俺より年下だろ?」

「3ヶ月しか変わらないじゃない。酷いわね。」


翌朝。
私は一人で身支度を済ませていた。
ミアスは朝食などを準備している最中だった。


「ミアス。貴方の剣、貸してくれるかしら?」

「分かった。だが何をするんだ?」

「静かに見てて。」

「あ、ああ…。」


私は剣に付与を施していく。
かけた付与は5つ。
普通、剣にはその強度に応じて付与をかけられる数が決まっている。
そして付与術師や魔剣を造っている者でも、3つの付与・(魔剣なら)魔法が限界だ。
しかし、強度を付与魔法であげることにより、かけられる数も増えるのだ。
ミアスの武器の場合、元は2つが限界だが、強度を上げてその他4つの魔法を付与した。


「これは……。」

「私からの誕生日プレゼントよ。今日は貴方の誕生日でしょう?本当は付与を施した剣自体をあげたかったのだけれど、使い慣れている剣の方が良いと思って。かかっている付与を確認してみて。」

「ああ。……強度強化・鋭利化・魔法吸収・結界破壊・風魔法の5つか。強度強化と鋭利化は分かるんだが、その他3つの意味を教えてくれないか?」

「勿論良いわよ。まずは『魔法吸収』。これは相手が放った魔法を、文字通り吸収してくれることよ。そしてそっくりそのまま跳ね返すことも出来るわ。」

「攻撃魔法の無効化ということか。」

「その解釈であっているわ。そして次に『結界破壊』。これも文字通り相手の結界を破壊することが出来るわ。勿論私には通用しないけれどね。」

「……だろうな。」

「最後に『風魔法』ね。これは遠距離攻撃が可能になるの。この付与を発動した状態で剣を振るえば、風刃と同じ効果が現れるわ。」

「つまり、剣を振ったその方向に風刃が放たれるのか。」

「その通りよ。」


既にただの剣が魔剣と化していた。
私の護衛も務めているのだから、これくらいは当然である。
毎年プレゼントを渡しているのだが、いつもは守りを付与した御守り的な物にしている。
ミアスが張っている結界の強度を上げるものや、攻撃魔法の威力を高める付与魔道具だ。
今回はより実戦に適した贈り物にした。
ミアスは剣を嬉しそうに見詰めている。


「喜んでもらえたようで何よりだわ。」

「凄いよ、本当に。俺には勿体ないくらいだ。ありがとう。」

「どういたしまして。これからもよろしくね。」

「勿論だよ。」


剣を鞘に収めるミアス。
そして手が止まっていた朝の仕事に取り掛かる。
手馴れたもので、瞬時に終わらせていく。
こんなにも手際が良いとは、初めて知った。
早起きはしてみるものである。
私が自分で起きる時など、調査をしている場合くらいだ。
その時はミアスは既に起きているので、この様子を見たことはなかった。


「朝食の準備が整ったよ。」

「ええ。ありがとう。今日の予定……?」


その時、扉が叩かれた。
誰かが私の部屋を訪ねたのだ。
許可を出す前に、扉が開かれる。


「リアラ、おはよう。朝早くにごめん。」

「ヴィルガお兄様。おはようございます。いかがなされたのですか?」

「ちょっと相談があって。朝にしか時間がなかったから、朝食を摂らず今来たんだけど…。お邪魔してしまったかな。」

「お気になさらずに。よろしければ、食事しながら話をしませんか?」

「良いのか?」

「勿論です。ミアス。」

「かしこまりました。」


ミアスは朝食をもう一人分頼みに向かった。
ヴィルガは暗い顔をしている。
彼は現在の王太子だ。
職務がある故に、いつも忙しそうにしている。
私と会うことも、誕生祭など以外ではあまりなかった。
朝しか時間が無いというのも納得だ。


「リアラ、内容なんだが……」

「お待ちを、お兄様。ミアスも同席させたいと思うのですが、構いませんか?」

「あ、ああ。そうか、彼も二つ名持ちだったもんな…。」


面倒事になりそうな相談だと思い、ミアスが来てからにしたかったのだ。
内容は察することが出来るのだが……。
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