転生魔法伝記〜魔法を極めたいと思いますが、それを邪魔する者は排除しておきます〜

凛 伊緒

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4章 災厄日

第48話 力の差

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「本日は、ご招待いただきありがとうございます。」

「ようこそ、来てくれて嬉しいわ。とりあえず移動しましょう。」


私は指を鳴らす。
瞬間移動テレポートで異空間へと移動したのだ。


「ここは…?」

「私が創った異空間よ。」

「い、異空間…!?」

「驚くのも無理ないわ。生物が入っても問題のない異空間を創るなんてことは、誰にも出来ないでしょうから。」

「ええ…と、隣の方は?」

「何度かお会いしておりましたが、自己紹介はまだでしたね。私はリアラ・フィールア王女殿下の執事且つ護衛の、ミアスと申します。」

「ミアスは、4歳の時から私と共にいてくれているのよ。」

「つまり、幼なじみでもある…と。」

「その通りよ。時々、私の魔法研究にも付き合ってもらっているわ。」

「はい。殿下にはいつも驚かされます…。それにしても、空間魔法の頂点とも言える異空間を創るとは。」

「ふふっ、空間魔法の頂点ね……。確かに、異空間を生み出すということは、小さな別世界を創ると言っても過言ではないわね。」

「その……ここへ転移した意味は…?」

「昨日も言った通り、貴方と手合わせがしたいのよ。」

「……。」


しかし、ダナトは何も言わない。
緊張しているようだ。
お茶会の際に仕掛けたのはそちらのはずなのだが。


「その前に一つ、お聞きしても?」

「……何故リアラ殿下が心を読める事を知っているのか、でしょうか。」

「…そうよ。それを聞く為にも、私は貴方を招待したの。この事については、ミアス以外知らないはず。」

「……。」

「さらには、心を読まれないよう結界まで張ることが出来る……。何故なのかしら?」

「お答え…出来ません。」

「そう。ならいいわ。」

「えっ……?」

「貴方の口から聞かなくても、問題ないもの。」


私はダナトが張っていたあらゆる結界を、魔刃眼ブレードアイにて一瞬で破壊する。
ダナトは驚いたのも束の間、すぐに結界を張り直そうとする。
しかし、私は結界魔法を彼の周囲に展開した。
その効果は……


「これは…!」

「察しの通り、魔法の使用不可にする結界よ。」


そう言って、ダナトの心を読む。
私達の予想は的中した。


「やっぱりね……。」

「……。」

「貴方も心が読めたのね。私と同じく、生まれつきの魔眼。」

「…昔は心に結界を張るなど、考えてもいませんでした。そんな時、殿下とお会いしたのです。」


ダナトは諦めがついたかのように、話し出した。

様々な人の心を読んでいたが、私に挨拶をした際、唯一心が読めなかったようだ。
それから長い時間をかけて心に結界を張れるようになり、私が自分と同じ魔眼を持っているのではという推測を、お茶会で確かめた。
そして今に至る。


「リアラ殿下、私からも一つお尋ねしてもよろしいでしょうか。」

「ええ。」

「先程、何の予備動作もなく私の全ての結界を破壊しましたが……。」


口に指を当て、それ以上の言葉を遮る。
ダナトは口を噤んだ。


「聞かない方が良い事もあると、覚えておいてほしいわね。それと、ミアスも心に結界を張ることが出来るわよ。私とミアスの結界は、貴方では解除することも破壊することも出来ない。詮索はやめることね。」

「……リアラ殿下とミアス様には、何もしないと誓います。やはり、二つ名を持つおふた方には何事も通用しませんね…。」

「それはそうと、手合わせして下さらない?」

「遠慮させていただきます。確実に私が負けますから…。」

「そう…残念ね。」


私は指を鳴らし、異空間から王城の来客室へと転移した。
着いた途端、ミアスはすぐに茶と菓子を用意する為に動く。


「今度は……。」

「ここは来客室よ。雑談でもしましょう。王城まで来てくれたのだから、先程の話だけでは物足りないわ。」

「殿下、ダナト様。こちらをどうぞ。」

「ありがとう、ミアス。ミアスも座って。3人でお話しましょう?」

「……ご命令とあらば。」

「じゃあ命令するわ。」

「承知しました。失礼致します。」


そう言ってミアスも会話に加わる。
その後1時間ほど雑談をし、ダナトは帰っていった。
私とミアスは自室へと戻る。


「面白い人だったわね。」

「ああ、話していて楽しかったよ。」

「そういえば。」

「どうかしたか?」

「ミアス、明日を楽しみにしていて。」

「…?」

「ふふっ。さて、夕食の時間よ。食事を済ませたら、今日は早めに寝ましょう。」

「そうだな。」


明日が何なのか、全く見当がつかないミアスなのだった。
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