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4章 災厄日
第47話 読めない
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「レイアネス王女殿下、リアラ王女殿下。ようこそ我が公爵家へ。」
「招待ありがとうございます、シグザレン公爵。」
「ささ、こちらへ。」
お茶会が行われる場所へ、シグザレン公爵自ら私達を案内した。
既に貴族達が集まっており、小さなパーティーのようだ。
用意された座席へと座り、公爵の挨拶でお茶会は始まった。
「はぁ……。」
思わず溜息が出てしまう。
ミアスが予想していた通り、貴族達の狙いは私の婚約者の座らしい。
「私の息子は…」だとか、「リアラ殿下は素晴らしいく……」などなど、うんざりする。
自分の息子自慢や私を褒めて良い印象を与える、大体そのようなところだ。
「リアラ、我慢しろ。相手は貴族だ。敵に回すと面倒だぞ。」
「分かってるわよ。」
2人にしか聞こえない声で会話をする。
私の溜息が聞こえていたようで、ミアスが注意してきた。
「リアラ殿下。私の息子にございます。」
「お久しぶりです、リアラ殿下。誕生祭以来ですね。」
「お久しぶりですね。また会えて嬉しいわ。」
そう言いつつ、彼、ダナト・シグザレンの心の内を読む。
顔は無表情だ。
媚びへつらう様子もなく、笑顔すら作らない。
少し気になった。
(表情は関係ないわね。ポーカーフェイスかしら?まぁ私の魔眼には意味を成さないのだけれど。)
彼の心を読んだ。
しかし……
(……。)
(え…?何も……思っていない?いいえ、そんなはずはないわ。目を凝らしてもう一度読みましょう。──どうして?!何も考えてすらないの!?)
私は表情は変わっていないが、内心焦っていた。
心が読めなかったことなど、今まで一度もない。
何も思いも、考えもしていないのか。
そんなことが有り得るのだろうか。
疑問が増えるばかりだった。
しかし、彼を見ると答えは分かった。
(笑っ……た…?まさか……でも…そんなこと……。)
「ふふっ。」
思わず笑いが漏れてしまった。
ミアスが不思議そうにしている。
「どうなされたのですか?」
「いいえ、何でもないわよ。……貴方、気に入ったわ。今度王城に来て下さらない?一度手合わせしてみたいわ。」
「喜んで、お伺いさせていただきます。」
そして、明日にはダナトが王城へと来ることになった。
シグザレン公爵は、喜びが顔に滲み出ていた。
隣にいるミアスは、何故?という顔をしている。
彼らが去ってから、少し不機嫌そうに私に直接聞いてきた。
「何故王城に招待したんだ?」
「彼、魔眼で心を読めなかったのよ。というより、どうして貴方が苛立っているの?」
「何でもない!…それよりも、彼が何も考えていなかったということは?」
「ないわね。人が何も考えていない時はないわ。常に何かしら考えているものよ。例外はいるかもしれないけれど。」
「じゃあ何だって言うのさ。」
「心が読めないどころか、私を見たまま少し笑ったのよ…。これで、何故招待したのか分かったでしょう?」
「つまり、読まれないように対策をしていた…?」
「ええ。結界を張る、或いは別の手段でね。私も驚いたわ。と言っても、私も心を読まれないように結界を張っているのだから、相手が同じ結界を張っていてもおかしくはないのだけれど。」
「確かにな。だが問題は……」
「そう。何故私が心を読めると知っていたのか…よ。」
「だな。俺以外、知らないはずだが。」
「私が魔眼を持っているのだから、相手も同じ目を持っていてもおかしくはないわ。」
「そう…だな。」
「真実は、明日直接聞けば良いのよ。」
そうして、お茶会は2時間程度で終わった。
私は一つ、疑問が残る。
(私の誕生祭の時には、彼の心を読むことが出来ていた。それよりも前から、会うことは度々あったけれど……その時も問題はなかったはず。何時…?何時私が心を読めると知ったのかしら……?)
もし質問に答えなかったとしても、力ずくで吐かせようと決めた。
秘密を知っている以上、私の敵となり得る者がいるのかもしれないからだ──
「招待ありがとうございます、シグザレン公爵。」
「ささ、こちらへ。」
お茶会が行われる場所へ、シグザレン公爵自ら私達を案内した。
既に貴族達が集まっており、小さなパーティーのようだ。
用意された座席へと座り、公爵の挨拶でお茶会は始まった。
「はぁ……。」
思わず溜息が出てしまう。
ミアスが予想していた通り、貴族達の狙いは私の婚約者の座らしい。
「私の息子は…」だとか、「リアラ殿下は素晴らしいく……」などなど、うんざりする。
自分の息子自慢や私を褒めて良い印象を与える、大体そのようなところだ。
「リアラ、我慢しろ。相手は貴族だ。敵に回すと面倒だぞ。」
「分かってるわよ。」
2人にしか聞こえない声で会話をする。
私の溜息が聞こえていたようで、ミアスが注意してきた。
「リアラ殿下。私の息子にございます。」
「お久しぶりです、リアラ殿下。誕生祭以来ですね。」
「お久しぶりですね。また会えて嬉しいわ。」
そう言いつつ、彼、ダナト・シグザレンの心の内を読む。
顔は無表情だ。
媚びへつらう様子もなく、笑顔すら作らない。
少し気になった。
(表情は関係ないわね。ポーカーフェイスかしら?まぁ私の魔眼には意味を成さないのだけれど。)
彼の心を読んだ。
しかし……
(……。)
(え…?何も……思っていない?いいえ、そんなはずはないわ。目を凝らしてもう一度読みましょう。──どうして?!何も考えてすらないの!?)
私は表情は変わっていないが、内心焦っていた。
心が読めなかったことなど、今まで一度もない。
何も思いも、考えもしていないのか。
そんなことが有り得るのだろうか。
疑問が増えるばかりだった。
しかし、彼を見ると答えは分かった。
(笑っ……た…?まさか……でも…そんなこと……。)
「ふふっ。」
思わず笑いが漏れてしまった。
ミアスが不思議そうにしている。
「どうなされたのですか?」
「いいえ、何でもないわよ。……貴方、気に入ったわ。今度王城に来て下さらない?一度手合わせしてみたいわ。」
「喜んで、お伺いさせていただきます。」
そして、明日にはダナトが王城へと来ることになった。
シグザレン公爵は、喜びが顔に滲み出ていた。
隣にいるミアスは、何故?という顔をしている。
彼らが去ってから、少し不機嫌そうに私に直接聞いてきた。
「何故王城に招待したんだ?」
「彼、魔眼で心を読めなかったのよ。というより、どうして貴方が苛立っているの?」
「何でもない!…それよりも、彼が何も考えていなかったということは?」
「ないわね。人が何も考えていない時はないわ。常に何かしら考えているものよ。例外はいるかもしれないけれど。」
「じゃあ何だって言うのさ。」
「心が読めないどころか、私を見たまま少し笑ったのよ…。これで、何故招待したのか分かったでしょう?」
「つまり、読まれないように対策をしていた…?」
「ええ。結界を張る、或いは別の手段でね。私も驚いたわ。と言っても、私も心を読まれないように結界を張っているのだから、相手が同じ結界を張っていてもおかしくはないのだけれど。」
「確かにな。だが問題は……」
「そう。何故私が心を読めると知っていたのか…よ。」
「だな。俺以外、知らないはずだが。」
「私が魔眼を持っているのだから、相手も同じ目を持っていてもおかしくはないわ。」
「そう…だな。」
「真実は、明日直接聞けば良いのよ。」
そうして、お茶会は2時間程度で終わった。
私は一つ、疑問が残る。
(私の誕生祭の時には、彼の心を読むことが出来ていた。それよりも前から、会うことは度々あったけれど……その時も問題はなかったはず。何時…?何時私が心を読めると知ったのかしら……?)
もし質問に答えなかったとしても、力ずくで吐かせようと決めた。
秘密を知っている以上、私の敵となり得る者がいるのかもしれないからだ──
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