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4章 災厄日
第46話 両想い
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二つ名が授与されたの日から、8年が経った。
私とミアスは15歳となり、成人していた。
(この世界では15歳で成人なのよね。早いものだわ。これで経験上2度目の成人ね。)
窓の外を眺めながら、そんな事を考えていた。
ミアスが私を呼んだ。
「リアラ。今日は昨日も伝えた通り、レイアネス王女殿下と公爵家でのお茶会に向かう予定だよ。」
「ええ、準備は整っているわ。今回の主役は、レーネス姉様ね。」
「そうじゃないと思うが。」
「何故?」
「レイアネス殿下は既に婚約者がおられる。王女の中で、婚約者がいないのはリアラだけだからな。」
「つまり、私の婚約者の座欲しさに寄ってくると?」
「ああ。二つ名持ちの王女なんて、リアラ以外にはいない。それに、リアラは国王陛下のお気に入りだと噂されているのも事実だ。」
「私がお父様のお気に入り?まさか。」
「噂があるのは本当だ。国王陛下がどう思ってるのかは知らないがな。」
「そう……。」
私は国王ヴィライユには魔眼を使った事がなかった。
実の父であり国王でもあるため、恐れ多かったのだ。
噂の真偽が気になったが、使うつもりはない。
一先ずお茶会の準備に取り掛かる。
「準備完了だ。そっちは?」
「問題ないわ。」
「よし、じゃあ行こうか。下で馬車を待たせてある。多分レイアネス殿下はもう乗っていらっしゃると思うよ。」
「分かったわ。」
私とミアスは馬車へと乗り込む。
別の馬車に侍女達が乗っていた。
私の護衛を兼ねているミアスが率先して様々な事を行っている。
王族には1人側近がいる。
幼い時より共に成長していくのだ。
それは必ずしも男であり、護衛だけでなく日々の政務などの手伝いも行っている。
お茶会などでは常に傍で見守り、王族の仕事も手伝う。
そんな側近達の中でもミアスは特段に頭が良く、10歳までは側近の仕事を教える者が付いているのが普通なのだが、ミアスは7歳にして1人で行えるようになった。
さらに、通常ならば予定を決める者が別にいるのだが、それもミアスが仕切っていた。
「レーネス姉様、ご機嫌麗しゅう。」
「リアラっ!久しぶりね。貴女の誕生祭以来かしら?」
「はい。レーネス姉様はお忙しいと聞き及びますが、お身体の方は大丈夫でしょうか。」
「問題ないわよ。心配してくれてありがとう。お茶会、一緒に楽しみましょうね。」
「はい!」
馬車へと乗り込むと、レイアネス第二王女が既に乗っていた。
私がちらっとレイアネス姉様を見ていると、気付いたのか声を掛けてきた。
「リアラ、どうしたのかしら?」
「あの…姉様はいつご結婚なさるのかと…。」
「あら…貴女も気になる年頃かしら?」
「い、いえ!ただ…普通に……。確か、婚約されたのが3年前で、20歳の時でしたか?公爵家の人だと聞き及びましたが…。」
「ふふっ、その通りよ。私はかなり婚約するのが遅かったのよね。ちなみに結婚はもう直ぐする予定。それにしても、リアラには婚約者がいないのよね?」
「はい…。」
「早く決めた方が良いわよ?貴族社会は大変だから。」
「実を言うと、婚約するつもりは無いのですわ…。」
「ええっ!どうして?」
「そういう事に興味がありませんの。」
そう言った瞬間、ミアスは驚いたと同時に少し嬉しかった。
自分は側近であるが為に婚約者にはなれないが、出来ればずっと隣に居たいと思っていた。
結婚してしまえば、隣にいられる時間が減ってしまう。
共に成長してきたミアスにとって、主人であり友でもあるリアラと接する時間が減る事は、耐え難いものがあった。
「それに……私には、ミアスがいますから…。」
「ふふっ…可愛いわね…。側近と…ね。」
レイアネスがミアスを見ると、今の会話は聞こえていなかったらしく、「何か御用ですか?」という顔をしていた。
「ミアス…だったかしら?」
「はい。覚えていて下さり、ありがとうございます。」
「ふふっ。二つ名を授けられている貴方を、知らない方が不思議だわ。それよりも……これからもリアラをよろしくね?」
「っは、はい!勿論にございます!」
何を思ったのか、少し顔が赤くなっていた。
それを見たレイアネスは、確信した。
(あらあら!これは2人とも両想いね。でも側近はあくまでも側近。少し可哀想だけれど、それ以上にはなれない。だけれど、リアラに婚約する気がないのならば、ミアスはずっと側にいる事が出来る。)
側近は男性。
王女に婚約者が出来た場合、側近は離れなければならない。
護衛の時など、特別な用がなければ側にはいられない。
政務などは婚約者の者が行うからだ。
王子ならばそのまま側近として側で仕え続ける。
同じ性別であり、問題がないからだった。
ミアスと離れたくないリアラは、婚約しないという手段を取った。
そうすれば、ミアスが側近として側にい続けられる。
それを見越してのリアラの決断だった。
(ミアスも賢いわね。自分の気持ちが恋心だと分かっていても、分をわきまえている。それも、リアラが気付かないほど、隠しているのね。)
レイアネスは、2人がとても信頼し合っていると分かった。
何故そこまで深い絆のようなものがあるのか、不思議だったのだが、2人が成してきた偉業を思えば当然だと納得出来た。
「リアラ、これからも仲良くね?」
「??どういう意味でしょうか…。」
「いいえ?他意はないわよ。それよりも、もうすぐ着くようね。」
「あ、えっと…そのようですね…。」
私はレイアネス姉様の言葉の意味が全く分からなかったが、今は目の前の面倒なお茶会に集中すべきだと判断した。
私とミアスは15歳となり、成人していた。
(この世界では15歳で成人なのよね。早いものだわ。これで経験上2度目の成人ね。)
窓の外を眺めながら、そんな事を考えていた。
ミアスが私を呼んだ。
「リアラ。今日は昨日も伝えた通り、レイアネス王女殿下と公爵家でのお茶会に向かう予定だよ。」
「ええ、準備は整っているわ。今回の主役は、レーネス姉様ね。」
「そうじゃないと思うが。」
「何故?」
「レイアネス殿下は既に婚約者がおられる。王女の中で、婚約者がいないのはリアラだけだからな。」
「つまり、私の婚約者の座欲しさに寄ってくると?」
「ああ。二つ名持ちの王女なんて、リアラ以外にはいない。それに、リアラは国王陛下のお気に入りだと噂されているのも事実だ。」
「私がお父様のお気に入り?まさか。」
「噂があるのは本当だ。国王陛下がどう思ってるのかは知らないがな。」
「そう……。」
私は国王ヴィライユには魔眼を使った事がなかった。
実の父であり国王でもあるため、恐れ多かったのだ。
噂の真偽が気になったが、使うつもりはない。
一先ずお茶会の準備に取り掛かる。
「準備完了だ。そっちは?」
「問題ないわ。」
「よし、じゃあ行こうか。下で馬車を待たせてある。多分レイアネス殿下はもう乗っていらっしゃると思うよ。」
「分かったわ。」
私とミアスは馬車へと乗り込む。
別の馬車に侍女達が乗っていた。
私の護衛を兼ねているミアスが率先して様々な事を行っている。
王族には1人側近がいる。
幼い時より共に成長していくのだ。
それは必ずしも男であり、護衛だけでなく日々の政務などの手伝いも行っている。
お茶会などでは常に傍で見守り、王族の仕事も手伝う。
そんな側近達の中でもミアスは特段に頭が良く、10歳までは側近の仕事を教える者が付いているのが普通なのだが、ミアスは7歳にして1人で行えるようになった。
さらに、通常ならば予定を決める者が別にいるのだが、それもミアスが仕切っていた。
「レーネス姉様、ご機嫌麗しゅう。」
「リアラっ!久しぶりね。貴女の誕生祭以来かしら?」
「はい。レーネス姉様はお忙しいと聞き及びますが、お身体の方は大丈夫でしょうか。」
「問題ないわよ。心配してくれてありがとう。お茶会、一緒に楽しみましょうね。」
「はい!」
馬車へと乗り込むと、レイアネス第二王女が既に乗っていた。
私がちらっとレイアネス姉様を見ていると、気付いたのか声を掛けてきた。
「リアラ、どうしたのかしら?」
「あの…姉様はいつご結婚なさるのかと…。」
「あら…貴女も気になる年頃かしら?」
「い、いえ!ただ…普通に……。確か、婚約されたのが3年前で、20歳の時でしたか?公爵家の人だと聞き及びましたが…。」
「ふふっ、その通りよ。私はかなり婚約するのが遅かったのよね。ちなみに結婚はもう直ぐする予定。それにしても、リアラには婚約者がいないのよね?」
「はい…。」
「早く決めた方が良いわよ?貴族社会は大変だから。」
「実を言うと、婚約するつもりは無いのですわ…。」
「ええっ!どうして?」
「そういう事に興味がありませんの。」
そう言った瞬間、ミアスは驚いたと同時に少し嬉しかった。
自分は側近であるが為に婚約者にはなれないが、出来ればずっと隣に居たいと思っていた。
結婚してしまえば、隣にいられる時間が減ってしまう。
共に成長してきたミアスにとって、主人であり友でもあるリアラと接する時間が減る事は、耐え難いものがあった。
「それに……私には、ミアスがいますから…。」
「ふふっ…可愛いわね…。側近と…ね。」
レイアネスがミアスを見ると、今の会話は聞こえていなかったらしく、「何か御用ですか?」という顔をしていた。
「ミアス…だったかしら?」
「はい。覚えていて下さり、ありがとうございます。」
「ふふっ。二つ名を授けられている貴方を、知らない方が不思議だわ。それよりも……これからもリアラをよろしくね?」
「っは、はい!勿論にございます!」
何を思ったのか、少し顔が赤くなっていた。
それを見たレイアネスは、確信した。
(あらあら!これは2人とも両想いね。でも側近はあくまでも側近。少し可哀想だけれど、それ以上にはなれない。だけれど、リアラに婚約する気がないのならば、ミアスはずっと側にいる事が出来る。)
側近は男性。
王女に婚約者が出来た場合、側近は離れなければならない。
護衛の時など、特別な用がなければ側にはいられない。
政務などは婚約者の者が行うからだ。
王子ならばそのまま側近として側で仕え続ける。
同じ性別であり、問題がないからだった。
ミアスと離れたくないリアラは、婚約しないという手段を取った。
そうすれば、ミアスが側近として側にい続けられる。
それを見越してのリアラの決断だった。
(ミアスも賢いわね。自分の気持ちが恋心だと分かっていても、分をわきまえている。それも、リアラが気付かないほど、隠しているのね。)
レイアネスは、2人がとても信頼し合っていると分かった。
何故そこまで深い絆のようなものがあるのか、不思議だったのだが、2人が成してきた偉業を思えば当然だと納得出来た。
「リアラ、これからも仲良くね?」
「??どういう意味でしょうか…。」
「いいえ?他意はないわよ。それよりも、もうすぐ着くようね。」
「あ、えっと…そのようですね…。」
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