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3章 異魔眼と瞬滅
第33話 魔法技術
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《瞬間移動》で第三王女邸へと戻ってきた私とミアスの2人は、応接室に居た。
「無事、暗部の協力も取り付けられたわね。」
「ああ。お前が何故、俺達にとってあまり役に立たない暗部の協力を…と思っていたが、やっと分かった。
奴は暗部が自分を調査している気付くはず。だがそれは目眩しであり、本当は俺達が奴に気付かれないために用意した盾……という事だろう?」
「その通りよ。ずっと考えていたのね。言えば教えてあげたのに。」
「何でも答えを聞いていては、成長出来ないからな。」
「真面目ね…。さて、魔力の残滓を調べてあの魔法使いが向かった先を追う事が出来れば良いのだけれど。」
「ほぼ不可能に思えるんだが?」
「それはどうでしょう。」
そう言い、私は魔法陣を展開する。
「《時空間魔法》指定範囲──【魔法】──《時戻り》!!!」
「時戻り?!《時空間魔法》の効果範囲を魔法のみに指定して使うとは……。」
「全体的に戻してしまうと魔力消費が勿体ないと思ってね。」
「確かにそうだが、《時空間魔法》は扱うだけでも困難とされている魔法だ。使用できる者は、世界で数人しかいない。さらに細かく範囲指定して使うとなると、かなり緻密な魔力制御技術が必要となる。恐らくだが、リアラ以外には出来ないだろうな。」
「そうかしら?イメージ次第で出来ると思うのだけれど。」
そう言われ、ミアスは呆れ混じりの溜息をこぼした。
《時戻り》は過去に起きた事象を再出現させる魔法だ。
効果範囲は使用した魔力量によって異なる。
例えだが、一部屋分の魔力を使用した場合、その部屋で起きた事が繰り返される。
人どうしの会話や発動した魔法など、全てた。
それを魔法のみ時を戻すとなると、魔力操作がかなり必要となる。
《時戻り》はそれ自体に干渉出来ない為、見ている事しか出来ない。
しかし、戻った時間でその場に居た者が魔法を発動していた場合、その者の魔力が残る。
5分程度と短い時間だが、その魔力の残滓であれば《時戻り》の際に回収する事が出来るのだ。
「《時戻り》は干渉する事が出来ない魔法なのに、魔力の残滓にだけは干渉出来る…。おかしな事よね。」
「確かにな。だが、魔法を使って時を戻しているんだから、魔力に干渉する事くらいは出来ても納得する。」
「それもそうね。」
順調に魔力残滓の回収は終わり、解析を始めた。
「すごく複雑なのだけれど……。」
「並大抵では解析不可能だな。恐らく解析に時間をかけさせるつもりなんだろう。」
そう言いながらも、私達は半日で解析を終了させた。
普通の魔法使いならば、2人で3日はかかるものだ。
「後はこの魔力に反応するように、広く《指定探知》をかければ見つかるわね。」
「ああ。それと、《魔力隠蔽》をかけておかないとな。」
「そうね。探知している事がバレてしまえば、意味が無いもの。」
私達はより慎重に動くのだった。
「無事、暗部の協力も取り付けられたわね。」
「ああ。お前が何故、俺達にとってあまり役に立たない暗部の協力を…と思っていたが、やっと分かった。
奴は暗部が自分を調査している気付くはず。だがそれは目眩しであり、本当は俺達が奴に気付かれないために用意した盾……という事だろう?」
「その通りよ。ずっと考えていたのね。言えば教えてあげたのに。」
「何でも答えを聞いていては、成長出来ないからな。」
「真面目ね…。さて、魔力の残滓を調べてあの魔法使いが向かった先を追う事が出来れば良いのだけれど。」
「ほぼ不可能に思えるんだが?」
「それはどうでしょう。」
そう言い、私は魔法陣を展開する。
「《時空間魔法》指定範囲──【魔法】──《時戻り》!!!」
「時戻り?!《時空間魔法》の効果範囲を魔法のみに指定して使うとは……。」
「全体的に戻してしまうと魔力消費が勿体ないと思ってね。」
「確かにそうだが、《時空間魔法》は扱うだけでも困難とされている魔法だ。使用できる者は、世界で数人しかいない。さらに細かく範囲指定して使うとなると、かなり緻密な魔力制御技術が必要となる。恐らくだが、リアラ以外には出来ないだろうな。」
「そうかしら?イメージ次第で出来ると思うのだけれど。」
そう言われ、ミアスは呆れ混じりの溜息をこぼした。
《時戻り》は過去に起きた事象を再出現させる魔法だ。
効果範囲は使用した魔力量によって異なる。
例えだが、一部屋分の魔力を使用した場合、その部屋で起きた事が繰り返される。
人どうしの会話や発動した魔法など、全てた。
それを魔法のみ時を戻すとなると、魔力操作がかなり必要となる。
《時戻り》はそれ自体に干渉出来ない為、見ている事しか出来ない。
しかし、戻った時間でその場に居た者が魔法を発動していた場合、その者の魔力が残る。
5分程度と短い時間だが、その魔力の残滓であれば《時戻り》の際に回収する事が出来るのだ。
「《時戻り》は干渉する事が出来ない魔法なのに、魔力の残滓にだけは干渉出来る…。おかしな事よね。」
「確かにな。だが、魔法を使って時を戻しているんだから、魔力に干渉する事くらいは出来ても納得する。」
「それもそうね。」
順調に魔力残滓の回収は終わり、解析を始めた。
「すごく複雑なのだけれど……。」
「並大抵では解析不可能だな。恐らく解析に時間をかけさせるつもりなんだろう。」
そう言いながらも、私達は半日で解析を終了させた。
普通の魔法使いならば、2人で3日はかかるものだ。
「後はこの魔力に反応するように、広く《指定探知》をかければ見つかるわね。」
「ああ。それと、《魔力隠蔽》をかけておかないとな。」
「そうね。探知している事がバレてしまえば、意味が無いもの。」
私達はより慎重に動くのだった。
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