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3章 異魔眼と瞬滅
第29話 企み
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バジュス・ルドゥーリズ侯爵の監視を初めて4日目。
バジュスが怪しげな者達と会い、計画を詰める日だ。
朝食を取り、いつも通り監視を始めた。
黒服の者達と話し合っているようだ。
『さて、前回の続きをしよう。前にも話した通り、今回は少し危険が伴うだろう。』
『ああ。だがこれが成功しなければ、我々の願望が叶う日は遠ざかることだろう。』
『そうだな。では計画についてだが、先ずは穏便に交渉からしよう。弱みは握っている。』
『ほう?交渉からとは、珍しいな。てっきり、いつも通り殺るのかと思ってたぜ。』
『いくらお前達が強いと言えど、相手を侮っていると痛い目を見るぞ?
それに、あの女をこちら側に引き入れた場合、得しかないという訳だ。ただし、交渉を拒否したのならば、無理矢理にでも従わせよう。最悪、殺すことになるだろうがな。お前達は近くに待機し、いつもの合図で突入してくるといい。』
『了解。結局脅すのかよ。まぁいつもの事だ。それで、いつ実行するんだ?』
『私は今夜と考えているが……どうだ?』
『まだ朝だしな。準備する時間は十分にある。』
『ああ。構わないさ。』
その後のバジュスは、 特に目立った行動をしなかった。
資料をまとめ、夜までは自身の屋敷で過ごしていた。
「さて、誰を脅しに行くのかしら?女と言っていたけれど……。」
「まさかリアラを狙っているんじゃ…。」
「有り得なくもないわね。以前招待された時も、私を取り込もうとしていたようだし。」
「警戒をするに超したことはないな。」
「ええ。」
午後7時。あたりは日も落ち、真っ暗になっていた。
バジュス1時間前に行動を開始していた。
「まさか、本当に来るとわね…。」
「気が抜けないな。」
嫌な予感ほど、当たるものだ。
監視対象が向かう先は……
──今私達がいる第三王女邸…
「居ないふり……は良い手とは思えないわね。仕方ない、待ちましょうか。」
確実にこちらに向かってきている。
下手に動くよりも、待っていた方が良いと私達は考えた。
監視していることに、 気付かれる可能性があるからだ。
少しして、勢いよく扉が叩かれる。
「リアラ様、ディジェガです!緊急のご報告が!」
「入りなさい。」
「はっ!」
ディジェガとは、この第三王女邸を守っている騎士団の団長だ。
私は厚く信頼していた。
そんな彼が緊急と言うのだ。
しかし、その内容は言われずとも知っている事だった。
「失礼致します。」
「要件は?」
ミアスが鋭く聞く。
まだ子供だというのに、大人にも負けない威圧感があった。
騎士団長であるディジェガですら、少し驚く程だった。
「ミアス、控えなさい。訪問者達に悟られる訳には行かないのだから。」
私はミアスにのみ聞こえる声で警告する。
それを聞いたミアスは、小声ですまないと言い、いつもの調子に戻る。
「失礼致しました。それでディジェガ殿、どうされたのですか?」
「はっ!正門にて、バジュス・ルドゥーリズ侯爵が訪問なされました。如何なさいましょう?」
「応接室へと通しなさい。私も直ぐに向かうわ。」
「承知しました!失礼致します。」
ディジェガが部屋から出て行った後、私は支度を済ませ応接室へと向かう。
無論ミアスも一緒だ。
「お待たせしたわ、ルドゥーリズ侯爵。」
「リアラ王女殿下。急な訪問、誠に申し訳ありません。」
「気にしていないわ。でも今は休暇中だと、噂では聞いたのだけれど。」
「その通りでございます。国王陛下より、1週間の休暇を頂いております。ですが、どうしてもリアラ殿下とお話ししたい事がありまして…。」
「そうなのね。そんなに重要な事なのかしら?」
「ええ。それはとても。」
「分かったわ。内容を聞きましょうか。」
そうして、黒い交渉が始まったのだった。
バジュスが怪しげな者達と会い、計画を詰める日だ。
朝食を取り、いつも通り監視を始めた。
黒服の者達と話し合っているようだ。
『さて、前回の続きをしよう。前にも話した通り、今回は少し危険が伴うだろう。』
『ああ。だがこれが成功しなければ、我々の願望が叶う日は遠ざかることだろう。』
『そうだな。では計画についてだが、先ずは穏便に交渉からしよう。弱みは握っている。』
『ほう?交渉からとは、珍しいな。てっきり、いつも通り殺るのかと思ってたぜ。』
『いくらお前達が強いと言えど、相手を侮っていると痛い目を見るぞ?
それに、あの女をこちら側に引き入れた場合、得しかないという訳だ。ただし、交渉を拒否したのならば、無理矢理にでも従わせよう。最悪、殺すことになるだろうがな。お前達は近くに待機し、いつもの合図で突入してくるといい。』
『了解。結局脅すのかよ。まぁいつもの事だ。それで、いつ実行するんだ?』
『私は今夜と考えているが……どうだ?』
『まだ朝だしな。準備する時間は十分にある。』
『ああ。構わないさ。』
その後のバジュスは、 特に目立った行動をしなかった。
資料をまとめ、夜までは自身の屋敷で過ごしていた。
「さて、誰を脅しに行くのかしら?女と言っていたけれど……。」
「まさかリアラを狙っているんじゃ…。」
「有り得なくもないわね。以前招待された時も、私を取り込もうとしていたようだし。」
「警戒をするに超したことはないな。」
「ええ。」
午後7時。あたりは日も落ち、真っ暗になっていた。
バジュス1時間前に行動を開始していた。
「まさか、本当に来るとわね…。」
「気が抜けないな。」
嫌な予感ほど、当たるものだ。
監視対象が向かう先は……
──今私達がいる第三王女邸…
「居ないふり……は良い手とは思えないわね。仕方ない、待ちましょうか。」
確実にこちらに向かってきている。
下手に動くよりも、待っていた方が良いと私達は考えた。
監視していることに、 気付かれる可能性があるからだ。
少しして、勢いよく扉が叩かれる。
「リアラ様、ディジェガです!緊急のご報告が!」
「入りなさい。」
「はっ!」
ディジェガとは、この第三王女邸を守っている騎士団の団長だ。
私は厚く信頼していた。
そんな彼が緊急と言うのだ。
しかし、その内容は言われずとも知っている事だった。
「失礼致します。」
「要件は?」
ミアスが鋭く聞く。
まだ子供だというのに、大人にも負けない威圧感があった。
騎士団長であるディジェガですら、少し驚く程だった。
「ミアス、控えなさい。訪問者達に悟られる訳には行かないのだから。」
私はミアスにのみ聞こえる声で警告する。
それを聞いたミアスは、小声ですまないと言い、いつもの調子に戻る。
「失礼致しました。それでディジェガ殿、どうされたのですか?」
「はっ!正門にて、バジュス・ルドゥーリズ侯爵が訪問なされました。如何なさいましょう?」
「応接室へと通しなさい。私も直ぐに向かうわ。」
「承知しました!失礼致します。」
ディジェガが部屋から出て行った後、私は支度を済ませ応接室へと向かう。
無論ミアスも一緒だ。
「お待たせしたわ、ルドゥーリズ侯爵。」
「リアラ王女殿下。急な訪問、誠に申し訳ありません。」
「気にしていないわ。でも今は休暇中だと、噂では聞いたのだけれど。」
「その通りでございます。国王陛下より、1週間の休暇を頂いております。ですが、どうしてもリアラ殿下とお話ししたい事がありまして…。」
「そうなのね。そんなに重要な事なのかしら?」
「ええ。それはとても。」
「分かったわ。内容を聞きましょうか。」
そうして、黒い交渉が始まったのだった。
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