転生魔法伝記〜魔法を極めたいと思いますが、それを邪魔する者は排除しておきます〜

凛 伊緒

文字の大きさ
上 下
28 / 94
3章 異魔眼と瞬滅

第26話 本当の……

しおりを挟む
「はぁ~疲れたわぁ。」

「お疲れ様です、リアラ様。」

「お父様と言えど、報告時は国王陛下として接しなければいけないから、仕方ないのだけれど…。」



国王ヴィライユの自室から、瞬間移動テレポートで私の自室まで戻ってきていた。



「明日も監視だけれど、明後日が本命よ。これからも気を引き締めて行きましょう。」

「「はい。」」

「レアル、今日はありがとう。遅くまで付き合わせてごめんなさいね。」

「いえ、私がお供すると言ったのです。お気になさらずに。」



そう言って貰えて有難かった。

レアルを見送り、部屋には私とミアスだけになった。



(そろそろ真実を言っておいてもいいかしら?でもまだ7歳…。いくら頭が冴えていたとしても、子供という事実は変わらない。)



私は迷った。
転生の事を話すかを。
だが、ミアスは私を信頼してくれている。
それに、私に対しての疑問を抱き始めている。
無理に隠し通す必要も無いと思った。



「ミアス。少し、話があるのだけれど。」

「…何だ?改まって。」

「言っておきたい事があるの。」



そう言って、私とミアスは客人用のソファに面と向かって座った。

誰にも聞かれないように、防音の魔法を部屋にかけておいた。
ミアスはどう思うのだろうかと、私は少し緊張した。



「……ふぅ。貴方には、私の本当の事を伝えておこうと思って。」

「……。」

「ずっと疑問に思っていたのでしょう?『リアラは何者なのか』ってね。」

「!!」



ミアスは目を見開いた。
そして、一呼吸置いてから口を開く。



「それは……思っていた。王家の者の筈なのに、何故か王族の方々と気配が違う。魔力の質とか…。」



ミアスは私のことをずっと異質に感じていたようだ。
魔法のイメージが独特であり、王家の者だと言う事実があるにも関わらず、何故か魔力の質、波長が異なっていたというのがより疑問だった様子。



「そう…。」

「何故なんだ?」



ミアスが今まで胸に留めていた疑問を、私にそのまま伝えてきたという印象を受けた。



「その前に、1つ誓って欲しいことがあるの。」

「何だい?」

「私は貴方を信頼している。自身の秘密を打ち明けてもいいと思えるほどに。
だからこそ、これから話す事を絶対に誰にも言わないことを誓って欲しいの。」

「……分かった。必ず、誰にも言わない。俺とお前だけの秘密にする。誓うよ。」

「ありがとう、ミアス。じゃあ言うわね。」

「ああ。」

「私はね……」



──転生者なの──



ミアスは驚きのあまり、固まってしまった。
しかしそれも束の間、直ぐに問い返してきた。



「転生者だって!?でもそんな事、有り得るわけが……。」

「信じてくれなくてもいいわ。でもこれは事実。」



私は前世から今に至るまで、全てをミアスに話した。
魔法のない世界の、日本という国に生まれた、八笠美明という女性だった事。
その世界では『科学』が発展しており、その知識を活かして魔法を作っていた事など、全てだ。



「リアラはその前世とやらで死んで、気が付くとこっちの世界に転生していた…と。」

「そういう事よ。信じてくれるかしら?」

「ああ。その方が、今までの行動に納得がいくからな。それに、前世の記憶があろうと無かろうと、リアラはリアラだろ?」

「ええ……そうね。」

「前世の記憶があるからって、何か変わる訳でもないんだ。それに、例えどんな事があっても、俺はお前について行くと決めているからな。」

「……ありがとう。」



本当に良い側近ともを持てたと思った。
私の秘密を知った上で、私について行くと言ってくれた。
正直嬉しかった。
転生者なんて…と嫌われるかと思っていたから。

ミアスとの信頼関係が、より一層深まった気がした。



「これからもよろしく頼むわ、ミアス。」

「こっちこそ。これからもよろしくな、リアラ。」



そうして、私達は互いを本当の意味で信じ合えるようになったのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

処理中です...