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3章 異魔眼と瞬滅
第24話 報告と誘い
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「失礼致します。」
そう言って私の自室に入ってきたのは、レアル・ジーガリヌ。
バジュスの秘書だ。
彼女には、バジュスが取り扱う書類の調査を頼んでいた。
「久しぶりね。2週間程前、書類調査を頼んだ以来かしら。」
「はい。お久しぶりで御座います、リアラ王女殿下。」
「立ち話もなんだし、そこに掛けて。ミアス、頼むわ。」
「承知致しました。」
数分して、ミアスは紅茶と菓子を持ってきた。
「どうぞ。」
「ありがとう。私が愛飲している紅茶よ。飲んでみて。」
「ありがとうございます。頂きます。」
「ええ。」
「---美味しい…。香りや味、全てが絶妙なバランスを保っています。このような紅茶は初めてです。」
「そうでしょう!いつ飲んでも美味しいのよね。」
私達は雑談を少ししてから、本題に入った。
「さて、そろそろ報告を聞きましょうか。」
「承知致しました。では先ず、こちらをご覧下さい。」
そう言ってレアルが渡してきたのは、1つの資料だ。
「これは、バジュス侯が国に申請した分です。そしてこちらが実際に仕事として使った額です。」
「ふむ……明らかにおかしいわね。倍以上が何処かへ消えている。レアル殿、心当たりはあるかしら?」
バジュスが不正していたもの……それは言うまでもなく『金銭』だ。
国に申請した分の3分の1程度が、侯爵家として実際に使われていた。
だが残りがどのように使われたのか、一切の記載がなかった。
「そうですね……、金銭は私が受け取るようになっているので、不正していないのはこの目で確認済みです。
しかし、実際に使っていると綺麗に無くなるのです。申請額と使用額が全く違うはずなのですが…。」
「それは気になるわね。」
「はい。そこで考えたのですが、受け取る前に抜かれているのでは無いかと思いまして。」
「……有り得るわね。」
レアルの元へ届けられる前に、何者かが抜き取っているのではないか。
3人はその『何者』かが、バジュスの協力者ではないかと疑った。
「でも、『誰か』分からないと事は進まないわね。」
「はい……。」
申請額と実際に届いた金額が違う事をバジュスは分かっているはずだが、何も言って来ないという事は、そういう事なのだろうと思った。
「他に何かあるかしら?」
「今回の報告は以上です。金銭関係の調査は慎重に行う必要がありましたので……。」
「そうね。調査していると知られてしまえば、最悪暗殺されてしまいかねない。
とくに金銭となると、気を付ける者が多いわね。」
「その通りでございます。」
「ご苦労様。これからも頼むわ。」
「はい。こちらこそよろしくお願い致します。」
そうして、レアルからの報告は終わった。
「3時間後、陛下にご報告に上がろうと思うのだけれど、一緒に来ないかしら?」
「3時間後……ですか。」
「ええ。無理して来いとは言わないわ。普通は寝ている時間だもの。」
そう言ってクスクスと笑う私に、レアルは子供がそんな時間まで起きられるのかという顔をしていた。
とはいえ断る理由はなかったのだろう。
「お供させて頂きます。」
「分かったわ。3時間後、ここに集合して頂戴ね。」
「承知致しました。では失礼します。」
レアルを見送ってから、私達は書類を整理し始めたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
レアルはとても不思議な気持ちだった。
(リアラ王女殿下はまだ7歳だ。なのに私が提出した資料を完全に理解していた。
横にいたミアス殿もそうだ。王女殿下と同じ歳のはずなのだが……。)
普通ならば、7歳の子供が理解出来る内容ではなかった。
分かりやすく説明しなければならないとレアルは思っていたのだが、その必要はなかった。
(王女殿下もミアス殿も神童と言われているが、過大評価だと思っていた。子供にしては色々出来るくらいだと。
でも違った…。
目の前は小さい子供の筈なのだが、まるで頭の切れる大人と話している気分だった。)
レアルは、2人の評価を改めた。
そしてふと思った。
2人が、バジュスの休暇が始まって2日間何を調べていたのか、と。
(これはあと3時間後に分かるわね。さて、陛下への謁見が待ち遠しくなってきたわ。)
そう思うレアルであった。
そう言って私の自室に入ってきたのは、レアル・ジーガリヌ。
バジュスの秘書だ。
彼女には、バジュスが取り扱う書類の調査を頼んでいた。
「久しぶりね。2週間程前、書類調査を頼んだ以来かしら。」
「はい。お久しぶりで御座います、リアラ王女殿下。」
「立ち話もなんだし、そこに掛けて。ミアス、頼むわ。」
「承知致しました。」
数分して、ミアスは紅茶と菓子を持ってきた。
「どうぞ。」
「ありがとう。私が愛飲している紅茶よ。飲んでみて。」
「ありがとうございます。頂きます。」
「ええ。」
「---美味しい…。香りや味、全てが絶妙なバランスを保っています。このような紅茶は初めてです。」
「そうでしょう!いつ飲んでも美味しいのよね。」
私達は雑談を少ししてから、本題に入った。
「さて、そろそろ報告を聞きましょうか。」
「承知致しました。では先ず、こちらをご覧下さい。」
そう言ってレアルが渡してきたのは、1つの資料だ。
「これは、バジュス侯が国に申請した分です。そしてこちらが実際に仕事として使った額です。」
「ふむ……明らかにおかしいわね。倍以上が何処かへ消えている。レアル殿、心当たりはあるかしら?」
バジュスが不正していたもの……それは言うまでもなく『金銭』だ。
国に申請した分の3分の1程度が、侯爵家として実際に使われていた。
だが残りがどのように使われたのか、一切の記載がなかった。
「そうですね……、金銭は私が受け取るようになっているので、不正していないのはこの目で確認済みです。
しかし、実際に使っていると綺麗に無くなるのです。申請額と使用額が全く違うはずなのですが…。」
「それは気になるわね。」
「はい。そこで考えたのですが、受け取る前に抜かれているのでは無いかと思いまして。」
「……有り得るわね。」
レアルの元へ届けられる前に、何者かが抜き取っているのではないか。
3人はその『何者』かが、バジュスの協力者ではないかと疑った。
「でも、『誰か』分からないと事は進まないわね。」
「はい……。」
申請額と実際に届いた金額が違う事をバジュスは分かっているはずだが、何も言って来ないという事は、そういう事なのだろうと思った。
「他に何かあるかしら?」
「今回の報告は以上です。金銭関係の調査は慎重に行う必要がありましたので……。」
「そうね。調査していると知られてしまえば、最悪暗殺されてしまいかねない。
とくに金銭となると、気を付ける者が多いわね。」
「その通りでございます。」
「ご苦労様。これからも頼むわ。」
「はい。こちらこそよろしくお願い致します。」
そうして、レアルからの報告は終わった。
「3時間後、陛下にご報告に上がろうと思うのだけれど、一緒に来ないかしら?」
「3時間後……ですか。」
「ええ。無理して来いとは言わないわ。普通は寝ている時間だもの。」
そう言ってクスクスと笑う私に、レアルは子供がそんな時間まで起きられるのかという顔をしていた。
とはいえ断る理由はなかったのだろう。
「お供させて頂きます。」
「分かったわ。3時間後、ここに集合して頂戴ね。」
「承知致しました。では失礼します。」
レアルを見送ってから、私達は書類を整理し始めたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
レアルはとても不思議な気持ちだった。
(リアラ王女殿下はまだ7歳だ。なのに私が提出した資料を完全に理解していた。
横にいたミアス殿もそうだ。王女殿下と同じ歳のはずなのだが……。)
普通ならば、7歳の子供が理解出来る内容ではなかった。
分かりやすく説明しなければならないとレアルは思っていたのだが、その必要はなかった。
(王女殿下もミアス殿も神童と言われているが、過大評価だと思っていた。子供にしては色々出来るくらいだと。
でも違った…。
目の前は小さい子供の筈なのだが、まるで頭の切れる大人と話している気分だった。)
レアルは、2人の評価を改めた。
そしてふと思った。
2人が、バジュスの休暇が始まって2日間何を調べていたのか、と。
(これはあと3時間後に分かるわね。さて、陛下への謁見が待ち遠しくなってきたわ。)
そう思うレアルであった。
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