転生魔法伝記〜魔法を極めたいと思いますが、それを邪魔する者は排除しておきます〜

凛 伊緒

文字の大きさ
上 下
25 / 94
3章 異魔眼と瞬滅

第23話 警戒

しおりを挟む
──バジュスの休暇2日目──


私とミアスは早朝に起き、身支度を始めた。



「さて、きっちりと朝から監視しないとね。」

「ああ。その為に早く起きたんだからな。」

「ふふっ。」

「何が可笑しいんだよ。」

「ミアスがかなりやる気満々なんだもの。珍しくって。」

「当たり前だ。この国に関わる重大任務だぞ。」

「それもそうね。」



2日目の今日は、私の自室からの監視だった。
そして、夕方頃にはバジュスの秘書であるレアルから報告を受ける事になっている。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



バジュスは思った。
これは本当にただの休暇なのではないかと。
屋敷に何者かが侵入した形跡はなく、魔法解除も自身へかけているため、監視されているなどありえない。



(例え監視されているとしたら、誰が?何の為に?いや、心当たりはある。だが…。)



証拠も何も残らないように行動してきた。
表向きは優秀な臣下として、そして裏向きは……。

しかし、最近は見られているような気がしてならない。
表向きに何かした覚えはないが、私の周辺で変化が起き始めたのは何時だっただろうか。
ふとそう思った時に、思い当たる事があった。



「あれは確か数日前。リアラ王女を屋敷に招いた日……か。」



そうだ、とバジュスは思った。
リアラ王女を取り込もうと思い、屋敷に招いた日の後から事が動き出した。
あの日も全て見透かされているように感じた為警戒していたが、まだ子供だと油断していた部分があった。



(だが私は何もしていないはず……。リアラ王女に媚びを売るのは、貴族として当然だ。他に何かあったか?)



思い当たるのはこのくらいしか無かった。



(もし心が読めたとしたら?いや、それはないか。魔法を使った様子はなかった。隣に居たミアスもだ。)



予想は間違っていないのだが、確信が持てなかった。



「警戒するに越したことはない……か。今後は彼女の前で下手な事をしないように気を付けないとな。」



そう思うバジュス。

リアラとミアスが監視魔法で見ているとも知らずに。
リアラに至っては魔眼を使い、魔法を通して心も読んでいたのだった──



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「中々察しが良いわね。」

「陛下が気に入る理由も分かるな。」

「ええ。本当に気を付けないとね。少しでも隙を見せれば、私達が危険になる。」

「その通りだな。気を付けるとしよう。」



そう思った私とミアスだった。


その後、バジュスの監視を続け、気が付くと日が傾き始めていた。



「リアラ、もうすぐレアルさんが来るはずだ。」

「分かったわ。少し片付けておきましょう。」



──5分後──



扉をノックする音がした。



「レアル・ジーガリヌです。リアラ・フィールア王女殿下、いらっしゃいますか?」

「ええ。入っていいわよ。」

「失礼致します。」



そう言いながらバジュスの秘書、レアル・ジーガリヌが入ってきた。

そうして、私はバジュスについての報告を聞くのだった──
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

処理中です...