転生魔法伝記〜魔法を極めたいと思いますが、それを邪魔する者は排除しておきます〜

凛 伊緒

文字の大きさ
上 下
19 / 94
3章 異魔眼と瞬滅

第17話 新たな任務

しおりを挟む
「ルドゥーリズ侯が…か?いや、…そんなまさか……。」



動揺を隠せない様子のヴィライユ。
1番信頼していた下臣が、国を揺るがしかねない人物だと言われたのだ。
驚くのも無理はない。



「今回のパーティーでの、ルドゥーリズ侯爵の真の狙いは『私』でした。魔法に優れた私やミアスを、取り込もうという計画の一環だった様です。ですが、1番の理由は身分でしょう。」

「まさか……。」

「信じられないかも知れませんが、これは事実です。本当は、陛下も気付いていらしたのでは?」



そう問われると、ヴィライユは黙ってしまった。
思い当たる事があるのだろう。



「以前にも、様々な事を計画していたようです。ですが私が気付き、未然に防いでいたのです。実行犯は取り押さえましたが、計画者は分からずにいました。」

「以前から……か…。」

「今回のパーティーで、誰が主犯かよくわかりました。彼は危険です。ですが優秀な臣下であり、証拠が無い以上、追い出す訳には行きません。」

「そうだな……。」



私は『透視心眼』を使い、ルドゥーリズ侯の心を読んだからこそ、彼の思惑が分かったのだ。
証拠と呼べるものは何も無かった。



「陛下、提案があります。」

「ふむ…、聞かせてみよ。」

「ルドゥーリズ侯に、1週間程の休暇を与えてみてはどうでしょう。彼の、王国への貢献の労いという理由で。」

「……!真意…は……?」

「休暇中、監視を極秘に付けるのです。1週間もの休みがあれば、必ず動きを見せるでしょう。そこで、証拠を掴みます。」

「…良いだろう。その案を採用しよう。」

「ありがとうございます。」



そして私は、もう1つの頼み事を口にした。



「陛下。宜しければ、今回の件をレヴィーアの時と同様、私に一任して頂けないでしょうか?」

「今回のは訳が違う。身内ではなく、ほぼ他人だ。妙な動きをすれば何をされるかわからんぞ。」

「重々承知しております。ですが『暗部』を使っても、気付かれる可能性があります。」



『暗部』とは、隠密行動をとる情報収集のスペシャリストだ。
その存在は、国王とその側近以外は知らない……
はずだった。



「…ッ!。何故その存在を知っている?」



平静を装いながら聞いてくるヴィライユ。
余程、知られていないと思っていたのだろう。



「以前、レヴィーアの事を調べていた時に、私の後を付けている隠密に長けた者が居たようなので、その存在についても調べたのです。」

「まさか気付かれていたとはな…。」

(あの者達でさえ、リアラの前では簡単に見破られてしまうのか。)



ヴィライユは、リアラの底知れなさを改めて感じた。
『暗部』には、この国のトップの実力者達が揃っている。
そんな彼らの存在に気付くということは、国内でリアラに敵う者は居ないという事になる。

調べている対象に、調べられているのだ。
逆探知されていたという事になる。
逆探知は上級魔法に入る、高難易度の魔法だ。
だが、暗部を対象に逆探知を出来る者など居ない。
何故なら、そもそもが探知出来ないよう、魔道具等を纏っているからだ。
それをすり抜けて逆探知するとなると、超級魔法並の技術を要する事になる。



「陛下、如何なさいますか?」



ヴィライユの側近であるマーリルクが聞く。
少し険しい顔をしてから、口を開いた。



「少し気は進まないが、リアラに一任するとしよう。」

「承知致しました。無理を言い、申し訳ありません。」

「気にするな。今回の場合、リアラに任せた方が良いだろう。『暗部』で動くよりも、個人で動く方が、情報が漏れる心配が無い。ミアスと協力し、事にあたるが良い。」

「「はっ。」」

「うむ。頼んだぞ。」

「では、失礼致します。」



こうして、またリアラが調査する事になったのだった。

ふと、ミアスは思った。



(魔法の研究時間がないと、レヴィーアの調査をしていた時に言っていたが、リアラは自分から時間を削りに行っているじゃないか……。)
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。 友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。 マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に…… そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり…… 武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

処理中です...