転生魔法伝記〜魔法を極めたいと思いますが、それを邪魔する者は排除しておきます〜

凛 伊緒

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3章 異魔眼と瞬滅

第16話 王城内の暗躍者

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ルドゥーリズ侯爵家から、私とミアスは王城へと帰ってきていた。

時間は既に22時をまわっていた。
子供なら寝ている時間だ。
だが、私とミアスは当然の様に起きていた。



「さてと、もうそろそろ行きましょうか。」

「そうだね。王城の人々は寝静まる時間だ。丁度良いだろう。」



そう言葉を交わし、 自室を出る。
自身に魔法をかけ、見回りなどに気付かれないよう細心の注意を払いながら向かった先は──



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



リアラが帰った後の、ルドゥーリズ侯爵家。
ルドゥーリズ家の当主、バジュス・ルドゥーリズは自室に居た。



「相変わらず、何を考えているか分からん小娘よ。さらに言えば、我々の意図を全て読んでいるかのような振る舞い……。」



部下達の報告や自身の目で見た王女の言動は、自分に理解出来るものでは無かった。
実際に話した事は無かったが、厄介な相手だと危険視していた。

だからこそ、今回のパーティーで遠回しにでも取り込めればと思っていた。



「何故だ!何故あのような子供ガキが、私の意図を読めるんだ!?」



バジュスは怒りに満ちていた。
最近、部下達に任せた計画が悉く失敗するのだ。
そして失敗する際、必ず近くに居るのはリアラだった。
いつものようにミアスを連れて歩き回り、計画の邪魔をするのだとか。
明るく、何も考えていないかの様に振舞っている彼女だが、計画に関わっている者達からすれば、その行動は不可解に見えた。



(今回の招待状に応じたのも謎だった。多くの貴族達から招待状が来ているはずだが、何故私の所を選んだのか。)



バジュスは引っかかっていた。
計画を邪魔しているのなら、普通は来ないはずだ。
だが、リアラは来た。



(まさか、あの小娘は私が裏で計画し、部下に実行させているという事を知らない…?確かに証拠は残らないようにしている。王には優秀な者だという印象も与えているが……。)



一体どういう事だ…。とバジュスは頭を抱える。

事実、リアラはバジュスが裏で計画の糸を引いているとは知らなかった。
計画の情報は手に入れられたが故に、邪魔をする事は出来た。
だが「計画の発案者は誰なのか」、これが全く分からずにいた。


しかし、リアラがその答えを知るのは、時間の問題なのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



22時過ぎ……国王の自室前に、2つの人影があった。



「ヴィライユ陛下、起きていらっしゃいますか?」

「リアラか。入りたまえ。」

「「失礼致します。」」

「ミアスも居たのだな。」

「はっ。夜分遅く、申し訳ありません。」

「気にしなくていい。それよりも、彼はどうだった?」



単刀直入にヴィライユは聞いてきた。
既に彼についての報告だと、見抜いていのだ。



(流石ですね…。)



心の中でそう思った。
そして、バジュスについての報告をする。



「とても好印象が持てる侯爵でした。」

「そうだろう!彼は優秀な人材だ。真面目で頭もキレる。最近の私のお気に入りだ。」

「そう…ですか。」

「どうした?浮かない顔をして。」

「その…。」



私は言いづらかった。
ヴィライユがこんなにも彼を重宝していたとなると、今回の報告は苦だろうからだ。



「……リアラ、怒らないから言ってみなさい。」

「ですが…聞かない方が、陛下の為かと……。」



ヴィライユは急かしてきた。
こちらの言いたい事を、既に知っているような雰囲気が出ていた。

最初にこの部屋に入った時もそうだった。
報告の内容を、知っているかの様な表情。
不思議な気持ちになった。



「この国の為になる事なのだろう?その報告がどんなものであれ、受け入れる覚悟は既にある。だから申してみよ。」

「はい…。」

「…………。」



ミアスは入った時以来、ずっと無言でいた。
もしミアスだけだったならば、言えなかったかもしれない。

本当はミアスに報告を任せようと思っていた。
だが、「無理!」の一言だけが返ってきた為、私もついて来たのだ。

私が国王の自室に行くと、私とヴィライユ2人の話し合いになるのだが。

私は国王ヴィライユを真っ直ぐ見つめ、思っていた事を口にした。



「陛下、今回ルドゥーリズ侯爵家へと行き、感じた事があります。」

「ふむ。それはなんだ?」

「生意気だと思うかも知れませんが、これは私から、お父様へとしてではなく、国王ヴィライユ・フィールア陛下に向けての、忠告です。」

「……!。…申してみよ。」

「はい。ヴィライユ陛下、ルドゥーリズ侯爵には十分にお気を付けを。」

「何故だ?」

「それは彼が……」



──この国を乗っ取ろうとしているからです──
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