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3章 異魔眼と瞬滅
第15話 侯爵家にて…
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魔眼の事をミアスに話した日の夕暮れ時。
私はルドゥーリズ侯爵家へと向かっていた。
今夜のパーティーに参加する為だ。
沢山の招待状の中から、私自身が選んだ。
「この侯爵家、1度は行ってみたいと思っていたのよね。現当主が頭の切れる人らしくて、父様とよく話をしているのを見かけるわ。どんな人か気になっていて。」
という理由だった。
第三王女だからと言って、政務に関わらない訳では無い。
それぞれの貴族達がどういう者なのか、見ておいて損は無いのだ。
少しして、侯爵家へと着いた。
既にメイドや執事などが待ち構えている。
その中に、一際目立つ長身の男がいた。
ルドゥーリズ侯爵家当主、バジュス・ルドゥーリズだ。
私を見るなり、声を掛けてきた。
「ようこそおいで下さいました、リアラ・フィールア王女殿下。」
「出迎えご苦労様。」
「とんでもございません。お呼び立てしたのでございますから、当然の事で御座います。」
「こちらへどうぞ。」と言いながら、バジュスは私を今夜の会場へと案内した。
私が足を踏み入れるなり、拍手と歓声が上がった。
「何とお美しい。」
「目の色が左右で違いますのね。とても魅力的ですわぁ~。」
「末王女様よね?なのに凛々しくお姉様のようですわぁ。」
など、感想は人それぞれだ。
用意されていた座席へと着くなり、バジュスは私に向かって言った。
「リアラ殿下、お言葉を頂けないでしょうか?」
「ええ。分かったわ。」
バジュスは手を叩き、注目を集めた。
「本日お越し下さったリアラ・フィールア王女殿下より、一言賜ります。皆様お静かにお願い致します。」
その言葉を聞き、会場に集まった者の注目は私へと向く。
静まり返った会場で、私は口を開いた。
「本日、招待頂き感謝致します。貴女方とお話出来ることを、楽しみにしておりましたわ。今晩はよろしくお願いしますね。」
言い終わった途端、大きな拍手が上がった。
そして、パーティーは始まった。
私の前へ、次から次へと貴族たちが挨拶に来る。
それも、私と同い年くらいの息子を連れて。
それぞれが自身の子を自慢し、笑顔を貼り付けて接してくる。
私は魔眼を使って相手の心を読む。
(第三とは言え、王女だ。それに、かなりの実力を持っている。価値はある。)
(末王女だからかは解らないが、陛下からの寵愛を1番に受けていると聞く。損は無い相手だろう。)
と、貴族たちの反応はこんな感じだった。
(私利私欲の為に、私を使わないで欲しいわ。それに、表面上では笑顔で礼儀正しくても、中身は所詮こんなもの。相手をしていて反吐が出るわ。)
と、馬鹿馬鹿しくなる。
(これが第三王女様…。お美しいなぁ。)
(父様は笑顔で愛想良くしていろと言うけれど、正直興味ないんだよな。)
こちらは子供達の反応だ。
面倒だと思う者から、見とれている者。
反応は大人達より様々だった。
(まぁ子供はそんなものよね。家の事情なんて考えてもいない。大人の事情に巻き込まれるなんて、災難よね。まぁ将来的には、関係あるのでしょうけど。)
と私は思った。
30分ほどで貴族達の挨拶が終わった。
するとバジュスが横から声を掛けてきた。
「リアラ殿下。気になる方は居たでしょうか?」
「そうね…。特に居なかったわ。」
「左様で御座いますか…。」
バジュスは残念そうに俯いた。
だが直ぐに立ち直り、
「これから食事と演奏披露があります。どうぞ最後までお楽しみ下さいませ。」
「ええ。演奏、楽しみにしていますわ。」
「はい。最高の演奏を披露しますよ。」
その後、私は食事を取り、演奏披露が始まった。
とても綺麗な音色を、それぞれの楽器が奏でていた。
思わず聞き入ってしまった。
「リアラ殿下。中心に、バイオリンを引いていた者がいるでしょう。」
「居たわね。とてもお上手でしたわ。」
「そうでしょう、そうでしょう。あの者が、我が息子であるズビィルで御座います。私自慢の息子です。」
「そう……あの子が。」
正直驚いてしまった。
まさかとは思っていたが、本当にあの者が息子だったとは。
バジュスが自信満々な訳だ。
「我が息子はいかがでしょうか?」
「中々良いと思いますわ。」
「ええ。そうでしょうとも。」
そうは言ったものの、バジュスは引っかかる所と思惑があった。
(思います、…か。他人事の様に聞こえるな。やはりこの王女には、どのような者でも敵わないか…。従者はミアスとか言う、王女と同い年の側近と近衛兵のみ。ミアスは王女のお気に入りらしいしな。王女を取り込む計画は無理か……。)
そう心の中で思っていた。
私が心を読んでいるとも知らずに──
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから1時間ほど経ち、パーティーは終わった。
「本日はありがとうございました。本当に良き日になりましたわ。」
「こちらこそ、お越しいただき感謝申し上げます。また機会があれば、是非ともおいで下さいませ。」
「ええ。その時は、よろしくお願いしますわ。」
そう言葉を交わし、私は王城へと馬車で帰ったのだった。
私はルドゥーリズ侯爵家へと向かっていた。
今夜のパーティーに参加する為だ。
沢山の招待状の中から、私自身が選んだ。
「この侯爵家、1度は行ってみたいと思っていたのよね。現当主が頭の切れる人らしくて、父様とよく話をしているのを見かけるわ。どんな人か気になっていて。」
という理由だった。
第三王女だからと言って、政務に関わらない訳では無い。
それぞれの貴族達がどういう者なのか、見ておいて損は無いのだ。
少しして、侯爵家へと着いた。
既にメイドや執事などが待ち構えている。
その中に、一際目立つ長身の男がいた。
ルドゥーリズ侯爵家当主、バジュス・ルドゥーリズだ。
私を見るなり、声を掛けてきた。
「ようこそおいで下さいました、リアラ・フィールア王女殿下。」
「出迎えご苦労様。」
「とんでもございません。お呼び立てしたのでございますから、当然の事で御座います。」
「こちらへどうぞ。」と言いながら、バジュスは私を今夜の会場へと案内した。
私が足を踏み入れるなり、拍手と歓声が上がった。
「何とお美しい。」
「目の色が左右で違いますのね。とても魅力的ですわぁ~。」
「末王女様よね?なのに凛々しくお姉様のようですわぁ。」
など、感想は人それぞれだ。
用意されていた座席へと着くなり、バジュスは私に向かって言った。
「リアラ殿下、お言葉を頂けないでしょうか?」
「ええ。分かったわ。」
バジュスは手を叩き、注目を集めた。
「本日お越し下さったリアラ・フィールア王女殿下より、一言賜ります。皆様お静かにお願い致します。」
その言葉を聞き、会場に集まった者の注目は私へと向く。
静まり返った会場で、私は口を開いた。
「本日、招待頂き感謝致します。貴女方とお話出来ることを、楽しみにしておりましたわ。今晩はよろしくお願いしますね。」
言い終わった途端、大きな拍手が上がった。
そして、パーティーは始まった。
私の前へ、次から次へと貴族たちが挨拶に来る。
それも、私と同い年くらいの息子を連れて。
それぞれが自身の子を自慢し、笑顔を貼り付けて接してくる。
私は魔眼を使って相手の心を読む。
(第三とは言え、王女だ。それに、かなりの実力を持っている。価値はある。)
(末王女だからかは解らないが、陛下からの寵愛を1番に受けていると聞く。損は無い相手だろう。)
と、貴族たちの反応はこんな感じだった。
(私利私欲の為に、私を使わないで欲しいわ。それに、表面上では笑顔で礼儀正しくても、中身は所詮こんなもの。相手をしていて反吐が出るわ。)
と、馬鹿馬鹿しくなる。
(これが第三王女様…。お美しいなぁ。)
(父様は笑顔で愛想良くしていろと言うけれど、正直興味ないんだよな。)
こちらは子供達の反応だ。
面倒だと思う者から、見とれている者。
反応は大人達より様々だった。
(まぁ子供はそんなものよね。家の事情なんて考えてもいない。大人の事情に巻き込まれるなんて、災難よね。まぁ将来的には、関係あるのでしょうけど。)
と私は思った。
30分ほどで貴族達の挨拶が終わった。
するとバジュスが横から声を掛けてきた。
「リアラ殿下。気になる方は居たでしょうか?」
「そうね…。特に居なかったわ。」
「左様で御座いますか…。」
バジュスは残念そうに俯いた。
だが直ぐに立ち直り、
「これから食事と演奏披露があります。どうぞ最後までお楽しみ下さいませ。」
「ええ。演奏、楽しみにしていますわ。」
「はい。最高の演奏を披露しますよ。」
その後、私は食事を取り、演奏披露が始まった。
とても綺麗な音色を、それぞれの楽器が奏でていた。
思わず聞き入ってしまった。
「リアラ殿下。中心に、バイオリンを引いていた者がいるでしょう。」
「居たわね。とてもお上手でしたわ。」
「そうでしょう、そうでしょう。あの者が、我が息子であるズビィルで御座います。私自慢の息子です。」
「そう……あの子が。」
正直驚いてしまった。
まさかとは思っていたが、本当にあの者が息子だったとは。
バジュスが自信満々な訳だ。
「我が息子はいかがでしょうか?」
「中々良いと思いますわ。」
「ええ。そうでしょうとも。」
そうは言ったものの、バジュスは引っかかる所と思惑があった。
(思います、…か。他人事の様に聞こえるな。やはりこの王女には、どのような者でも敵わないか…。従者はミアスとか言う、王女と同い年の側近と近衛兵のみ。ミアスは王女のお気に入りらしいしな。王女を取り込む計画は無理か……。)
そう心の中で思っていた。
私が心を読んでいるとも知らずに──
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから1時間ほど経ち、パーティーは終わった。
「本日はありがとうございました。本当に良き日になりましたわ。」
「こちらこそ、お越しいただき感謝申し上げます。また機会があれば、是非ともおいで下さいませ。」
「ええ。その時は、よろしくお願いしますわ。」
そう言葉を交わし、私は王城へと馬車で帰ったのだった。
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