15 / 94
3章 異魔眼と瞬滅
第13話 魔眼と魔法具体
しおりを挟む
「魔眼……だって?」
ミアスは目を見開いた。
魔眼を持つ者は、この世界で数百年に一度しか生まれてこない。
そしてその能力は、殆ど魔力を消費しないで行使する事が出来る。
「そうよ。この魔眼の名は『透視心眼』と言うの。その名の通り、心を読む事が出来るわ。」
「心を…ね。まさかだけど、俺の──」
「貴方の心なんて、魔眼を使わなくても分かるわよ。何年一緒だと思っているの?」
ミアスが言いかけた言葉を、私は遮った。
少し呆れたように笑った私を見て、ミアスも苦笑した。
「疑って悪かった。」
「それくらいで怒らないわ。」
「感謝するよ。だが、貴族達に対して使っているのは、相手の真意を見る為か?」
「その通りね。あの貴族達ったら、自己利益のことしか考えてないわ。ほんと、迷惑な話よね。」
「仕方ないだろ。」
「分かっていても、腹が立つのよ。」
そう言いながら、2人は苦笑し合った。
「反対の目も魔眼なのか?」
そう、唐突にミアスは聞いた。
私は少し驚いた。
気付かれるようなことはしていないはずだったからだ。
「それも……見抜いていたの?」
「お前に鍛えられているんだ。主の一挙一動、見逃すはずがないさ。」
「ふぅーん。」
「つまらないって顔してるぞ。」
「ええ、つまらないもの。隠してるつもりだったのに。」
本当につまらなかった。
だが直ぐに態度を改め、ミアスを真正面から見つめ、
「私の左目はね……魔眼ではないわ。似たようなものだけれど。正確には『魔法具体』になるわね。」
「『魔法具体』?」
「ええ。」
「聞き慣れない言葉だな。『魔法具』と何が違うんだ?」
「『魔法具』は、道具に魔法を付与した物の事よね。そして『魔法体』は、そもそもの体が魔法で出来た、『分身体』の様なものを指す。これは分かるわね?」
「ああ。『道具に付与する』か、『そもそもが魔法で出来たもの』か、という事だろ。」
「その通りよ。という事は、『魔法具体』と言うのはどう言うものか……」
「まさか……!」
「ふふっ。」
「『魔法具体』は──」
──自分の体に付与をしたという事──
ミアスは目を見開いた。
魔眼を持つ者は、この世界で数百年に一度しか生まれてこない。
そしてその能力は、殆ど魔力を消費しないで行使する事が出来る。
「そうよ。この魔眼の名は『透視心眼』と言うの。その名の通り、心を読む事が出来るわ。」
「心を…ね。まさかだけど、俺の──」
「貴方の心なんて、魔眼を使わなくても分かるわよ。何年一緒だと思っているの?」
ミアスが言いかけた言葉を、私は遮った。
少し呆れたように笑った私を見て、ミアスも苦笑した。
「疑って悪かった。」
「それくらいで怒らないわ。」
「感謝するよ。だが、貴族達に対して使っているのは、相手の真意を見る為か?」
「その通りね。あの貴族達ったら、自己利益のことしか考えてないわ。ほんと、迷惑な話よね。」
「仕方ないだろ。」
「分かっていても、腹が立つのよ。」
そう言いながら、2人は苦笑し合った。
「反対の目も魔眼なのか?」
そう、唐突にミアスは聞いた。
私は少し驚いた。
気付かれるようなことはしていないはずだったからだ。
「それも……見抜いていたの?」
「お前に鍛えられているんだ。主の一挙一動、見逃すはずがないさ。」
「ふぅーん。」
「つまらないって顔してるぞ。」
「ええ、つまらないもの。隠してるつもりだったのに。」
本当につまらなかった。
だが直ぐに態度を改め、ミアスを真正面から見つめ、
「私の左目はね……魔眼ではないわ。似たようなものだけれど。正確には『魔法具体』になるわね。」
「『魔法具体』?」
「ええ。」
「聞き慣れない言葉だな。『魔法具』と何が違うんだ?」
「『魔法具』は、道具に魔法を付与した物の事よね。そして『魔法体』は、そもそもの体が魔法で出来た、『分身体』の様なものを指す。これは分かるわね?」
「ああ。『道具に付与する』か、『そもそもが魔法で出来たもの』か、という事だろ。」
「その通りよ。という事は、『魔法具体』と言うのはどう言うものか……」
「まさか……!」
「ふふっ。」
「『魔法具体』は──」
──自分の体に付与をしたという事──
2
お気に入りに追加
212
あなたにおすすめの小説

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです
かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。
強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。
これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中

ある平民生徒のお話
よもぎ
ファンタジー
とある国立学園のサロンにて、王族と平民生徒は相対していた。
伝えられたのはとある平民生徒が死んだということ。その顛末。
それを黙って聞いていた平民生徒は訥々と語りだす――

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる