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2章 王と陰謀
第11話 事実とこれから…
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レヴィーアを国外追放にしてから、3日が経った。
王城は今、民達に囲まれていた。
「今日この日、王位継承権を第一王子レヴィーアから、第二王子ヴィルガへと移譲する!」
本来なら謁見の間で行う事だが、何故レヴィーアが王城から消えたのかを、公の場で民達に説明しなければならなかった。
そして、国王ヴィライユは言った。
「第一王子レヴィーアは、民達との交流を避けていた。国にとって大切なのは民であるというにも関わらず、その民達を道具の様な目で見ておった。それは王族にとってあるまじきことだ。
よって、突然ではあるが旅に行かせた。王位は継げないが、民達と交流すれば考えが変わると信じて。
レヴィーアには余が旅に行かせた理由が解るまで、帰ってくるなと言っておる。故に、このまま帰って来ぬかもしれぬ。」
そう民達に向けて説明した。
魔物召喚や国王を陥れようとした件については、その一切を語らなかった。
そうしなければ、王族の信頼がなくなってしまうからだ。
実を言うと、この説明も事実である。
少し変えられてはいるが、実際の話だ。
レヴィーアは国民との交流をしなかった。
レヴィーアが交流の行事を嫌っていたからだった。
『王族なのに、何故格下の平民達と同じ場に立たなければならないのですか?』
これは過去に国王ヴィライユに向けて言った言葉だった。
それ以降、ヴィライユは国民の行事にレヴィーアを参加させなかった。
この言葉を民達に向けて言い放っていたならば、王族の信頼は無くなるも同然だったからだ。
それに比べヴィルガは、国民達に好意的であり、毎週3日ほどは城下へ降りていく。
民達は、信頼の置ける護衛を1人だけ連れて歩き回るヴィルガを、笑顔で迎え入れていた。
王族は、国民達の税で生きている。
つまり、それが無くなれば生きて行けなくなるのだ。
だからこそ、民達への感謝を忘れてはならないのが、王族であるという事だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
説明を終え城内へ戻った国王に、私は言葉をかけた。
「お疲れ様です、お父様。」
「ああ。」
「ヴィル兄様は私も大好きですし、民達からの評判も良いです。きっと良い王様になってくれますよ。」
「そうだな。……リアラ、お前はまだ幼いから知らない事も多いだろう。だが、ヴィルガを支えてやって欲しい。」
「もちろんですわ。」
「それと……改めてお礼を言わせてほしい、ありがとう。
実を言うと、レヴィーアに王位の座を継がせる気はなかった。王位継承権をどうすればヴィルガへと移譲出来るかを考えていた時の、今回の件だったんだ。
レヴィーアは失態を出さないが為に、どうする事も出来なかったのでね。」
「そうだったのですか…。少なくとも、今後王国内へは戻って来れませんわ。……」
──私が許しませんもの──
そう言って、私はにっこりと微笑んだ。
それに対して、ヴィライユは苦笑を漏らしたのだった──
王城は今、民達に囲まれていた。
「今日この日、王位継承権を第一王子レヴィーアから、第二王子ヴィルガへと移譲する!」
本来なら謁見の間で行う事だが、何故レヴィーアが王城から消えたのかを、公の場で民達に説明しなければならなかった。
そして、国王ヴィライユは言った。
「第一王子レヴィーアは、民達との交流を避けていた。国にとって大切なのは民であるというにも関わらず、その民達を道具の様な目で見ておった。それは王族にとってあるまじきことだ。
よって、突然ではあるが旅に行かせた。王位は継げないが、民達と交流すれば考えが変わると信じて。
レヴィーアには余が旅に行かせた理由が解るまで、帰ってくるなと言っておる。故に、このまま帰って来ぬかもしれぬ。」
そう民達に向けて説明した。
魔物召喚や国王を陥れようとした件については、その一切を語らなかった。
そうしなければ、王族の信頼がなくなってしまうからだ。
実を言うと、この説明も事実である。
少し変えられてはいるが、実際の話だ。
レヴィーアは国民との交流をしなかった。
レヴィーアが交流の行事を嫌っていたからだった。
『王族なのに、何故格下の平民達と同じ場に立たなければならないのですか?』
これは過去に国王ヴィライユに向けて言った言葉だった。
それ以降、ヴィライユは国民の行事にレヴィーアを参加させなかった。
この言葉を民達に向けて言い放っていたならば、王族の信頼は無くなるも同然だったからだ。
それに比べヴィルガは、国民達に好意的であり、毎週3日ほどは城下へ降りていく。
民達は、信頼の置ける護衛を1人だけ連れて歩き回るヴィルガを、笑顔で迎え入れていた。
王族は、国民達の税で生きている。
つまり、それが無くなれば生きて行けなくなるのだ。
だからこそ、民達への感謝を忘れてはならないのが、王族であるという事だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
説明を終え城内へ戻った国王に、私は言葉をかけた。
「お疲れ様です、お父様。」
「ああ。」
「ヴィル兄様は私も大好きですし、民達からの評判も良いです。きっと良い王様になってくれますよ。」
「そうだな。……リアラ、お前はまだ幼いから知らない事も多いだろう。だが、ヴィルガを支えてやって欲しい。」
「もちろんですわ。」
「それと……改めてお礼を言わせてほしい、ありがとう。
実を言うと、レヴィーアに王位の座を継がせる気はなかった。王位継承権をどうすればヴィルガへと移譲出来るかを考えていた時の、今回の件だったんだ。
レヴィーアは失態を出さないが為に、どうする事も出来なかったのでね。」
「そうだったのですか…。少なくとも、今後王国内へは戻って来れませんわ。……」
──私が許しませんもの──
そう言って、私はにっこりと微笑んだ。
それに対して、ヴィライユは苦笑を漏らしたのだった──
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