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1章 様々な初体験を
第3話 城内散策
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第一王子であるレヴィーアに魔法を教わってから、2年が過ぎた。
5歳となった私は、今やあらゆる魔法を行使出来るようになっていた。
魔法には段階別で難易度が決まっている。
下級魔法・・・誰でも使用可能。生活にも使える魔法。
中級魔法・・・魔法団に所属する最低必要基準。一般人には扱えない。
上級魔法・・・中級魔法の2倍以上の魔力が必要であり、詠唱が少し長い為、使う者は少ない。
超級魔法・・・国のトップクラスに位置する者のみが使う魔法。
伝説級魔法・・・国を丸ごと消滅させる事が可能。存在するかも不明な魔法。
この他に、創作魔法というのがある。
この魔法は、威力により下級魔法~伝説級魔法のどれにでも位置する。
「不可視化…よし、上手く発動したわね。5歳児がこの魔法を使っているなんて、夢にも思わないでしょうけど。」
不可視化とは、魔法詠唱が長い上級魔法の1つである。
超級魔法は使える人が超越しているため、上級魔法など無詠唱で発動する事が出来る。
超級魔法の発動には時間がかかるが、それ以下の魔法は何の予備動作もなく発動出来るのだ。
そして今、私は無詠唱で上級魔法を発動したのだ。
「あとは…と。…生命探知。それと、消音。」
その瞬間、城内にある生命反応の場所が、事細かに頭へと流れ込む。
「今日が初めての城内散策ね。何かいい発見はないかしら?」
私は夜中である今、初の城内散策をしようとしていた。
歩けるようになった時に説明してもらったが、教えてくれなかった場所もあったからだ。
念には念を入れて、ということで、魔法がある程度使えるようになってからにしたのだ。
「お忍びで行くのはいいものね。気を使わなくて済むし。」
家族や他人と接する時、私は年齢に相応した反応をするように心掛けている。
喋り方を変えたり、反応を一々大袈裟にしたりなど、苦労するものだ。
更に、王女としても振る舞わねばならない。
「王女というのも大変なものね。この世界に生まれ変わるのなら、一般人でも良かったのに。それにしても、最後に聞こえた声はなんだったのかしら?若くして死ぬのは悲しいとか何とかって…。」
そう、私にはずっと気になっている事があるのだ。
死ぬと思った瞬間、「生まれ変われるのなら、魔法や剣が満ちた世界に行きたい」と願った事は覚えている。
だが、その後に無邪気な男の子の様な声が聞こえた気がしたのだ。
「もしかして、神様って本当に居たのかもね。」
その時、「失礼だな、神様はちゃんといるよ!」と聞こえた気がした。
「あら?」
城内散策を続けていると、生命探知に2つ反応があった。
気になった私は、近付いて様子を見た。
「まさか本当にここに来てくれるとは。」
「僕に有益な事だと聞いたからね。」
「それはそれは。もちろん、貴方様に有益な事でありますよ。」
「そっか。さて、直球に聞こう。有益な事って何だい?」
「それはですね、──。」
「いいね!その話、乗ったよ。」
「そうですか。それは良かった。細かい詳細は、また後日に致しましょう。」
「そうだね。」
フードを深く被った男2人が、何か怪しげな話をしていた。
しかし耳打ちした部分だけ聞き取ることが出来なかった。
(きっと、1番大切な部分を聴き逃したわね。今度は遠距離でも聞こえるようにする魔法でも作ろうかしら?)
それで色々と盗み聞きして…と思ったのは秘密である。
「さて、どうしようか。あえて会いに行ってみようかしら?」
別れて行った内の1人に、私は歩み寄った。
(魔法解除…っと。)
「こんばんは。」
声をかけると、男はすぐさま攻撃するような体制をとった。
「誰だ!って、リアラじゃないか。」
「誰かと思えば、ヴィア兄様でしたか。」
「そうだよ。じゃなくて、どうしてこんな時間にここに居るんだい?夜中だよ?」
「ちょっとだけ、城内を散策したいなって…てへ。」
「てへ…じゃないよ!全く、危ないじゃないか。」
「ごめんなさい。ですが何故兄様もここにいらっしゃるのですか?」
「ちょっと私用があってね。」
「そうですか。」
私は察した。
あの話は、何か大変な事が起こる前触れなのではないかと。
(普通に考えて、レヴィーアが何か企んでいる、というのが筋だよね。それに…)
「リアラはいつからここに?」
「ついさっきですよ。歩いていたら、兄様が見えたので走ってきたんです。音を立てると兵士さん達に見つかってしまうので、なるべく音を立てないようにしましたが。」
「そっか、そうだよね。バレてしまうと自分の部屋に戻されるし、警備がきつくなっちゃうかもしれないからね。」
「はい、その通りです。」
適当な嘘をついておいた。
いつも通りの対応で、嘘偽りのないといった目を向けた。
「でも僕に見つかっても一緒じゃないかい?」
「あっ!それもそうでした。でもそれは、兄様も同じでは?」
「はははっ。そうだね、それも言えてるよ。じゃあこうしよっか。今日のことは、誰にも言わない。いいね?」
「もちろんです、兄様。」
「よし、じゃあここでお別れだね。ちゃんと自分の部屋に戻るんだよ?」
「はい!では。」
レヴィーアは思った。
(今日あいつと話していたこと、リアラは聞いていた?だが、全く何も知らないといった雰囲気だった。
もし僕が夜中に話している人を見たら、真っ先に逃げるはずだ。でもリアラは話しかけてきた。ということはやっぱり聞いていなかったのか?だが気を付けるに越したことはないか。)
レヴィーアはリアラに対する警戒心を強めたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(さて、上手く誤魔化せたかしら?)
全く何も知らない風を装い、あえて話しかけた。
それでも用心深いレヴィーアは疑っているだろう。
(一応は警戒しておくべきね。今回のこと、彼に話しておきましょうか。)
そう思い、私は1番信頼が置ける人物にこの話をするのだった。
5歳となった私は、今やあらゆる魔法を行使出来るようになっていた。
魔法には段階別で難易度が決まっている。
下級魔法・・・誰でも使用可能。生活にも使える魔法。
中級魔法・・・魔法団に所属する最低必要基準。一般人には扱えない。
上級魔法・・・中級魔法の2倍以上の魔力が必要であり、詠唱が少し長い為、使う者は少ない。
超級魔法・・・国のトップクラスに位置する者のみが使う魔法。
伝説級魔法・・・国を丸ごと消滅させる事が可能。存在するかも不明な魔法。
この他に、創作魔法というのがある。
この魔法は、威力により下級魔法~伝説級魔法のどれにでも位置する。
「不可視化…よし、上手く発動したわね。5歳児がこの魔法を使っているなんて、夢にも思わないでしょうけど。」
不可視化とは、魔法詠唱が長い上級魔法の1つである。
超級魔法は使える人が超越しているため、上級魔法など無詠唱で発動する事が出来る。
超級魔法の発動には時間がかかるが、それ以下の魔法は何の予備動作もなく発動出来るのだ。
そして今、私は無詠唱で上級魔法を発動したのだ。
「あとは…と。…生命探知。それと、消音。」
その瞬間、城内にある生命反応の場所が、事細かに頭へと流れ込む。
「今日が初めての城内散策ね。何かいい発見はないかしら?」
私は夜中である今、初の城内散策をしようとしていた。
歩けるようになった時に説明してもらったが、教えてくれなかった場所もあったからだ。
念には念を入れて、ということで、魔法がある程度使えるようになってからにしたのだ。
「お忍びで行くのはいいものね。気を使わなくて済むし。」
家族や他人と接する時、私は年齢に相応した反応をするように心掛けている。
喋り方を変えたり、反応を一々大袈裟にしたりなど、苦労するものだ。
更に、王女としても振る舞わねばならない。
「王女というのも大変なものね。この世界に生まれ変わるのなら、一般人でも良かったのに。それにしても、最後に聞こえた声はなんだったのかしら?若くして死ぬのは悲しいとか何とかって…。」
そう、私にはずっと気になっている事があるのだ。
死ぬと思った瞬間、「生まれ変われるのなら、魔法や剣が満ちた世界に行きたい」と願った事は覚えている。
だが、その後に無邪気な男の子の様な声が聞こえた気がしたのだ。
「もしかして、神様って本当に居たのかもね。」
その時、「失礼だな、神様はちゃんといるよ!」と聞こえた気がした。
「あら?」
城内散策を続けていると、生命探知に2つ反応があった。
気になった私は、近付いて様子を見た。
「まさか本当にここに来てくれるとは。」
「僕に有益な事だと聞いたからね。」
「それはそれは。もちろん、貴方様に有益な事でありますよ。」
「そっか。さて、直球に聞こう。有益な事って何だい?」
「それはですね、──。」
「いいね!その話、乗ったよ。」
「そうですか。それは良かった。細かい詳細は、また後日に致しましょう。」
「そうだね。」
フードを深く被った男2人が、何か怪しげな話をしていた。
しかし耳打ちした部分だけ聞き取ることが出来なかった。
(きっと、1番大切な部分を聴き逃したわね。今度は遠距離でも聞こえるようにする魔法でも作ろうかしら?)
それで色々と盗み聞きして…と思ったのは秘密である。
「さて、どうしようか。あえて会いに行ってみようかしら?」
別れて行った内の1人に、私は歩み寄った。
(魔法解除…っと。)
「こんばんは。」
声をかけると、男はすぐさま攻撃するような体制をとった。
「誰だ!って、リアラじゃないか。」
「誰かと思えば、ヴィア兄様でしたか。」
「そうだよ。じゃなくて、どうしてこんな時間にここに居るんだい?夜中だよ?」
「ちょっとだけ、城内を散策したいなって…てへ。」
「てへ…じゃないよ!全く、危ないじゃないか。」
「ごめんなさい。ですが何故兄様もここにいらっしゃるのですか?」
「ちょっと私用があってね。」
「そうですか。」
私は察した。
あの話は、何か大変な事が起こる前触れなのではないかと。
(普通に考えて、レヴィーアが何か企んでいる、というのが筋だよね。それに…)
「リアラはいつからここに?」
「ついさっきですよ。歩いていたら、兄様が見えたので走ってきたんです。音を立てると兵士さん達に見つかってしまうので、なるべく音を立てないようにしましたが。」
「そっか、そうだよね。バレてしまうと自分の部屋に戻されるし、警備がきつくなっちゃうかもしれないからね。」
「はい、その通りです。」
適当な嘘をついておいた。
いつも通りの対応で、嘘偽りのないといった目を向けた。
「でも僕に見つかっても一緒じゃないかい?」
「あっ!それもそうでした。でもそれは、兄様も同じでは?」
「はははっ。そうだね、それも言えてるよ。じゃあこうしよっか。今日のことは、誰にも言わない。いいね?」
「もちろんです、兄様。」
「よし、じゃあここでお別れだね。ちゃんと自分の部屋に戻るんだよ?」
「はい!では。」
レヴィーアは思った。
(今日あいつと話していたこと、リアラは聞いていた?だが、全く何も知らないといった雰囲気だった。
もし僕が夜中に話している人を見たら、真っ先に逃げるはずだ。でもリアラは話しかけてきた。ということはやっぱり聞いていなかったのか?だが気を付けるに越したことはないか。)
レヴィーアはリアラに対する警戒心を強めたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(さて、上手く誤魔化せたかしら?)
全く何も知らない風を装い、あえて話しかけた。
それでも用心深いレヴィーアは疑っているだろう。
(一応は警戒しておくべきね。今回のこと、彼に話しておきましょうか。)
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