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第122話 そして春が来る
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いよいよ3年生になった。
先輩の卒業式も終えて新学期になった祐輝は恒例であるクラス替えに緊張していた。
新たに配られたクラス表を見て吹き出して笑っていた。
するとけんせーが飛びついてきた。
「お前俺の事大好きすぎるだろ!!」
「3年間一緒かあ・・・」
けんせーとは3年間も同じクラスとなった祐輝は嬉しさを隠せずに互いに抱き合っては突き合っている。
するとアヤノが近づいてきて「私も一緒だあ」と嬉しそうに笑っていた。
そして教室に入ると新たな顔ぶれになったが、仲のいい友人ばかりで最高のクラスだとけんせーが喜んでいた。
最後の1年間が始まった。
授業を終えて部活を始めると先程までの楽しい雰囲気は一変して緊迫した空気になる。
3年間楽しんだ野球部の生活も間もなく終わってしまう。
今は4月で桜が校舎を美しく彩っている。
引退は3か月後の7月だ。
予選大会を優勝して甲子園に出場できれば8月まで。
1日でも長く仲間と過ごしたい彼らは勝ち続ける必要があった。
今日まで厳しい練習だって仲間と乗り越えてきた。
「いよいよラストサマーかあ・・・」
「お前カッコいいかよラストサマーってなんだよ。」
部室で相撲を取って騒ぐのも。
後輩に弁当を買ってこさせては部室で食べる事も。
間もなく終わってしまう。
そう考えると普段はふざけ合っている仲間達の体にも力が入っていった。
練習を終えて駅へ向かう道でも彼らの空気はどこか重苦しかった。
「まあお前ら。 まだ開幕まで3ヶ月もあるんだから。 少し力抜いて楽しもうぜ。」
祐輝が話すとけんせーが「牛丼奢れ!!」と抱きついてきた。
「ふざけんな」と歩きながら取っ組み合いをしては大熊や京介を巻き込んで歩いていく。
1日でも長くこんな日々を続けたい。
きっと卒業すればこんな日々はもう二度と味わえない。
牛丼を食べて電車に乗り込むとアヤノと遭遇した。
「おお。」
「もうすぐ夏大会だねえ。」
「俺は出られないけどなあ。」
アヤノは「応援に行くよー」と楽しげに話していた。
その時祐輝は考え込んだ。
自分は試合には出られない。
誰の応援に行くんだと。
(クラスメイトが試合出るもんな・・・)
けんせー達の応援をするに決まっているだろと自分に言い聞かせると「一緒に応援しような」と笑っていた。
駅に着くとアヤノが「また明日ねー」と手を振って降りていった。
1人で電車に揺られる祐輝はアヤノの事を考えていた。
「なんだかんだで付き合わずにここまで来たなあ・・・」
思い返せば付き合う機会は何度もあったのかもしれない。
だが祐輝は告白をする事なく3年生を迎えた。
恋愛をもっとたくさんするべきだったと頭をかきながら家に帰っていった。
だがそれよりも大切なのは夏大会だった。
先輩の卒業式も終えて新学期になった祐輝は恒例であるクラス替えに緊張していた。
新たに配られたクラス表を見て吹き出して笑っていた。
するとけんせーが飛びついてきた。
「お前俺の事大好きすぎるだろ!!」
「3年間一緒かあ・・・」
けんせーとは3年間も同じクラスとなった祐輝は嬉しさを隠せずに互いに抱き合っては突き合っている。
するとアヤノが近づいてきて「私も一緒だあ」と嬉しそうに笑っていた。
そして教室に入ると新たな顔ぶれになったが、仲のいい友人ばかりで最高のクラスだとけんせーが喜んでいた。
最後の1年間が始まった。
授業を終えて部活を始めると先程までの楽しい雰囲気は一変して緊迫した空気になる。
3年間楽しんだ野球部の生活も間もなく終わってしまう。
今は4月で桜が校舎を美しく彩っている。
引退は3か月後の7月だ。
予選大会を優勝して甲子園に出場できれば8月まで。
1日でも長く仲間と過ごしたい彼らは勝ち続ける必要があった。
今日まで厳しい練習だって仲間と乗り越えてきた。
「いよいよラストサマーかあ・・・」
「お前カッコいいかよラストサマーってなんだよ。」
部室で相撲を取って騒ぐのも。
後輩に弁当を買ってこさせては部室で食べる事も。
間もなく終わってしまう。
そう考えると普段はふざけ合っている仲間達の体にも力が入っていった。
練習を終えて駅へ向かう道でも彼らの空気はどこか重苦しかった。
「まあお前ら。 まだ開幕まで3ヶ月もあるんだから。 少し力抜いて楽しもうぜ。」
祐輝が話すとけんせーが「牛丼奢れ!!」と抱きついてきた。
「ふざけんな」と歩きながら取っ組み合いをしては大熊や京介を巻き込んで歩いていく。
1日でも長くこんな日々を続けたい。
きっと卒業すればこんな日々はもう二度と味わえない。
牛丼を食べて電車に乗り込むとアヤノと遭遇した。
「おお。」
「もうすぐ夏大会だねえ。」
「俺は出られないけどなあ。」
アヤノは「応援に行くよー」と楽しげに話していた。
その時祐輝は考え込んだ。
自分は試合には出られない。
誰の応援に行くんだと。
(クラスメイトが試合出るもんな・・・)
けんせー達の応援をするに決まっているだろと自分に言い聞かせると「一緒に応援しような」と笑っていた。
駅に着くとアヤノが「また明日ねー」と手を振って降りていった。
1人で電車に揺られる祐輝はアヤノの事を考えていた。
「なんだかんだで付き合わずにここまで来たなあ・・・」
思い返せば付き合う機会は何度もあったのかもしれない。
だが祐輝は告白をする事なく3年生を迎えた。
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だがそれよりも大切なのは夏大会だった。
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