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第120話 打ち上げ参加でけた!!
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イベント後の野球部は大概、練習となっていた。
しかし増田監督が食べたたこ焼きが美味しくてビールを飲みたくなったのか文化祭の後の練習はなくなった。
飛び上がるほど喜んだ祐輝とけんせーはクラスの打ち上げに参加した。
ファミレスで最高潮に盛り上がるクラスメイト達。
食べたい物を食べて飲みたいジュースをお腹いっぱいになるまで堪能するとファミレスを出てカラオケに向かった。
そこで祐輝はアヤノの歌声を初めて聴いた。
「う、上手いな・・・」
「それな!! アヤノ可愛いなあー」
けんせーまでうっとりしてしまうアヤノの歌声はクラスの皆が聞き惚れていた。
やがて祐輝の番になるとけんせーが割り込んできて2人で歌っていた。
二次会のカラオケも大盛りあがりで解散すると駅へと向かって歩き始めた。
帰り道が同じ方向である祐輝とアヤノは電車に乗ると「楽しかったね」と笑いあった。
「こういうのっていつか大人になっても忘れないだろうね。」
「そうだねえ。 いい思い出だったなあ。 たくさん写真も撮ったし。」
嬉しそうに笑いながら携帯で撮った写真を眺めているとアヤノは静かになっていった。
不思議に思った祐輝は電車の窓に反射するアヤノを見ると目をつぶっていた。
「寝たのか」と小さい声でつぶやくと祐輝は音楽を聴き始めた。
するとアヤノの頭が祐輝の肩にもたれかかった。
驚いた表情で硬直する祐輝の鼓動は早くなっていった。
(もしフラれたら・・・こんな日々じゃなくなる・・・)
告白したい気持ちとフラれた時に気まずくなる恐怖心と戦う祐輝。
今のままでも十分幸せだった。
アヤノが自分に対してどんな気持ちを抱いているのか。
友達としてなのか。
それとも。
やがて一駅前の駅に着くとアヤノをそっと起こした。
「寝ちゃった・・・」
「疲れたんだな。」
「そうねー。 でも楽しかったね。」
こんな青春が永遠に続けばいい。
祐輝はそう考えていた。
だが今は高校2年生の後半。
文化祭が終わるといよいよ就職の準備が始まる。
商業高校である祐輝達は卒業後に就職するという進路が基本だった。
アヤノが電車から降りて1人になると将来の事をじっと考えていた。
「仮に付き合えても就職すればまた別れるんだろうなあ・・・」
同じ高校に行けなかった事でミズキと別れた。
そんな過去からアヤノに告白する事を更に躊躇していた。
家に着くと真美と将来について話し合った。
「あんたやりたい仕事ないの?」
「うーん・・・」
「お金があれば大学に行って歴史の勉強できるのにねえ・・・」
やりたい仕事なんてなかった。
大学に行けるのなら歴史をもっと学びたかった。
だが祐一と断絶に等しい関係である祐輝は学費を払ってもらえなかった。
私立高校へ行けなかったのは肩の怪我だけではなかった。
「適当に働くよ。 母ちゃんに恩返しするから。」
彼の未来はある程度定められていた。
大好きな歴史を更に学ばせてあげる環境なんて祐輝の家庭にはなかった。
卒業して就職する。
それしか選択肢はなかったのだ。
しかし増田監督が食べたたこ焼きが美味しくてビールを飲みたくなったのか文化祭の後の練習はなくなった。
飛び上がるほど喜んだ祐輝とけんせーはクラスの打ち上げに参加した。
ファミレスで最高潮に盛り上がるクラスメイト達。
食べたい物を食べて飲みたいジュースをお腹いっぱいになるまで堪能するとファミレスを出てカラオケに向かった。
そこで祐輝はアヤノの歌声を初めて聴いた。
「う、上手いな・・・」
「それな!! アヤノ可愛いなあー」
けんせーまでうっとりしてしまうアヤノの歌声はクラスの皆が聞き惚れていた。
やがて祐輝の番になるとけんせーが割り込んできて2人で歌っていた。
二次会のカラオケも大盛りあがりで解散すると駅へと向かって歩き始めた。
帰り道が同じ方向である祐輝とアヤノは電車に乗ると「楽しかったね」と笑いあった。
「こういうのっていつか大人になっても忘れないだろうね。」
「そうだねえ。 いい思い出だったなあ。 たくさん写真も撮ったし。」
嬉しそうに笑いながら携帯で撮った写真を眺めているとアヤノは静かになっていった。
不思議に思った祐輝は電車の窓に反射するアヤノを見ると目をつぶっていた。
「寝たのか」と小さい声でつぶやくと祐輝は音楽を聴き始めた。
するとアヤノの頭が祐輝の肩にもたれかかった。
驚いた表情で硬直する祐輝の鼓動は早くなっていった。
(もしフラれたら・・・こんな日々じゃなくなる・・・)
告白したい気持ちとフラれた時に気まずくなる恐怖心と戦う祐輝。
今のままでも十分幸せだった。
アヤノが自分に対してどんな気持ちを抱いているのか。
友達としてなのか。
それとも。
やがて一駅前の駅に着くとアヤノをそっと起こした。
「寝ちゃった・・・」
「疲れたんだな。」
「そうねー。 でも楽しかったね。」
こんな青春が永遠に続けばいい。
祐輝はそう考えていた。
だが今は高校2年生の後半。
文化祭が終わるといよいよ就職の準備が始まる。
商業高校である祐輝達は卒業後に就職するという進路が基本だった。
アヤノが電車から降りて1人になると将来の事をじっと考えていた。
「仮に付き合えても就職すればまた別れるんだろうなあ・・・」
同じ高校に行けなかった事でミズキと別れた。
そんな過去からアヤノに告白する事を更に躊躇していた。
家に着くと真美と将来について話し合った。
「あんたやりたい仕事ないの?」
「うーん・・・」
「お金があれば大学に行って歴史の勉強できるのにねえ・・・」
やりたい仕事なんてなかった。
大学に行けるのなら歴史をもっと学びたかった。
だが祐一と断絶に等しい関係である祐輝は学費を払ってもらえなかった。
私立高校へ行けなかったのは肩の怪我だけではなかった。
「適当に働くよ。 母ちゃんに恩返しするから。」
彼の未来はある程度定められていた。
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それしか選択肢はなかったのだ。
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