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第116話 複雑な心境です
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泣きながら電車を降りていくアヤノを見ては驚きを隠せない。
何が起きたのかと考えていると駅員から顔を出さない様に注意をされて車内へと戻っていった。
席に深く腰掛けて天井をぼんやりと眺めている。
「何があったんだよ・・・」
車内に残る男を隣の車両から見ている祐輝は心の整理をつけていた。
そもそも彼氏なのか。
友人と喧嘩したんではないのか。
黙って考えていると新宿へ着いて電車を降りた。
家に帰って風呂に入っている最中でもアヤノの事が頭から離れなかった。
夕食になって母親の真美にどうしたのか尋ねられると恥ずかしそうに話を始めた。
「女の子が泣く時は好きな男の子に決まっているでしょ。 女の子は強いの。 だからこそ大好きな人への気持ちも強いの。」
「そっか・・・」
「あんたが恋愛してるなんてねえ。」
どこか嬉しそうに笑みを浮かべる真美を見て恥ずかしそうに夕飯をかき込んで部屋へ逃げる様に入っていった。
寝室に横たわるとじっと考えた。
明日の学校でアヤノに聞くべきなのかどうか。
「いや気持ち悪いよな・・・」
まるでストーカーじゃないかと鼻で笑うと眠りについた。
やがて朝になると学ランを着て駅へと歩き始めた。
そして電車に乗ると一駅過ぎた頃にアヤノが乗ってきた。
「おはよー。」
「おはよう。」
祐輝の隣に座ったアヤノはマスクをしていた。
花粉症でもないこの時期にマスクをしている。
季節は間もなく夏になり少し暑い季節となっていた。
祐輝は何故マスクをつけているのかは察しがついていたが「どうしたの?」と尋ねた。
「ちょっと具合悪くてねー。」
「そっか・・・なんかあった?」
本来なら「お大事に」と話すべきだが「なんかあった?」と口にした。
少しだけ沈黙を保つとアヤノはぎこちない笑顔で「なにもないよ」と笑っていた。
「そっか」と静かにうなずくと沈黙のまま、高校の駅へと着いた。
いつもの登校の道でもアヤノと2人で歩いていると後ろからけんせーが歩いてきた。
振り返った祐輝はけんせーを見ていると歩速を緩めて祐輝と距離を取っていた。
珍しく空気を読んだけんせーは離れて見守っていた。
少し気まずい空気の中で祐輝はアヤノに「元気ないね」と話した。
「まあ具合悪いからね・・・」
「風邪じゃないだろ。」
「・・・風邪だよ。」
アヤノは何も話さなかった。
一部始終を見てしまった祐輝は気になって仕方がなかった。
やがて学校へ着くといつもの様に授業を受けて部活へ向かった。
そしていつもの様に仲間と騒いで牛丼を食べて駅に行くと今日はアヤノがいなかった。
1人で電車に揺られて新宿の一つ前の駅で停まるとホームにはアヤノと昨夜の男が立って話していた。
アヤノはまたも泣いていた。
祐輝はたまらず電車から降りた。
アヤノの元へ歩いていくと男は逃げる様に階段を登っていった。
脱力した状態のアヤノはホームのベンチに座って下を向いていた。
「アヤノ・・・」
「祐輝君?」
「やっぱり何かあったんだろ・・・」
可愛らしい色白の頬を赤くして泣いているアヤノの隣に座ると祐輝はじっと階段を見ていた。
何が起きたのかと考えていると駅員から顔を出さない様に注意をされて車内へと戻っていった。
席に深く腰掛けて天井をぼんやりと眺めている。
「何があったんだよ・・・」
車内に残る男を隣の車両から見ている祐輝は心の整理をつけていた。
そもそも彼氏なのか。
友人と喧嘩したんではないのか。
黙って考えていると新宿へ着いて電車を降りた。
家に帰って風呂に入っている最中でもアヤノの事が頭から離れなかった。
夕食になって母親の真美にどうしたのか尋ねられると恥ずかしそうに話を始めた。
「女の子が泣く時は好きな男の子に決まっているでしょ。 女の子は強いの。 だからこそ大好きな人への気持ちも強いの。」
「そっか・・・」
「あんたが恋愛してるなんてねえ。」
どこか嬉しそうに笑みを浮かべる真美を見て恥ずかしそうに夕飯をかき込んで部屋へ逃げる様に入っていった。
寝室に横たわるとじっと考えた。
明日の学校でアヤノに聞くべきなのかどうか。
「いや気持ち悪いよな・・・」
まるでストーカーじゃないかと鼻で笑うと眠りについた。
やがて朝になると学ランを着て駅へと歩き始めた。
そして電車に乗ると一駅過ぎた頃にアヤノが乗ってきた。
「おはよー。」
「おはよう。」
祐輝の隣に座ったアヤノはマスクをしていた。
花粉症でもないこの時期にマスクをしている。
季節は間もなく夏になり少し暑い季節となっていた。
祐輝は何故マスクをつけているのかは察しがついていたが「どうしたの?」と尋ねた。
「ちょっと具合悪くてねー。」
「そっか・・・なんかあった?」
本来なら「お大事に」と話すべきだが「なんかあった?」と口にした。
少しだけ沈黙を保つとアヤノはぎこちない笑顔で「なにもないよ」と笑っていた。
「そっか」と静かにうなずくと沈黙のまま、高校の駅へと着いた。
いつもの登校の道でもアヤノと2人で歩いていると後ろからけんせーが歩いてきた。
振り返った祐輝はけんせーを見ていると歩速を緩めて祐輝と距離を取っていた。
珍しく空気を読んだけんせーは離れて見守っていた。
少し気まずい空気の中で祐輝はアヤノに「元気ないね」と話した。
「まあ具合悪いからね・・・」
「風邪じゃないだろ。」
「・・・風邪だよ。」
アヤノは何も話さなかった。
一部始終を見てしまった祐輝は気になって仕方がなかった。
やがて学校へ着くといつもの様に授業を受けて部活へ向かった。
そしていつもの様に仲間と騒いで牛丼を食べて駅に行くと今日はアヤノがいなかった。
1人で電車に揺られて新宿の一つ前の駅で停まるとホームにはアヤノと昨夜の男が立って話していた。
アヤノはまたも泣いていた。
祐輝はたまらず電車から降りた。
アヤノの元へ歩いていくと男は逃げる様に階段を登っていった。
脱力した状態のアヤノはホームのベンチに座って下を向いていた。
「アヤノ・・・」
「祐輝君?」
「やっぱり何かあったんだろ・・・」
可愛らしい色白の頬を赤くして泣いているアヤノの隣に座ると祐輝はじっと階段を見ていた。
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