94 / 140
第94話 不良球児
しおりを挟む
野球部の部室へと訪れた祐輝達、1年生はずらりと並んで睨みつけている3年生を前に畏縮していた。
中でも主将千野は体格も祐輝より大きく鋭い目つきで睨むものだから1年生達は恐怖で顔を上げられずにいた。
すると千野は2年生を何人か連れてきて突如殴り始めた。
吹き飛ばされる2年生は怯えながらもビシッと立っていた。
「1年聞け。 俺達に逆らうとこうなるぞ。」
千野は「これは通過儀礼」だとでも言っているかの様に1年生の前に来ると誰を殴ろうか見ていた。
当然の様に祐輝の前に来ると「お前ボタン止めてなかったやつだな?」と顔を近づけてきた。
さすがの祐輝も千野の圧力には飲まれていた。
「そうです」と答えると胸ぐらを掴まれて地面に叩きつけられた。
直ぐに立ち上がった祐輝は千野を睨みつけた。
この千野という男は容赦がない。
立ち上がった祐輝の顔目掛けてハイキックをすると馬乗りになって更に殴った。
こんな男が主将だなんて終わりだ。
祐輝は早くも退部を考えた。
殴り続ける千野は祐輝を立たせると「お前ポジションは?」と聞いてきた。
「元はピッチャーですがもう投げられません」と答えたが千野は3年生のキャッチャーを座らせると祐輝に無理やり投げさせた。
「投げられません。」
「聞いてねえ。 何キロ出るんだよ?」
「・・・怪我をしているので投げられません。」
だが千野はまるで聞く耳を持たなかった。
仕方なく3年生のキャッチャーとキャッチボールを始めると「おお」と1年生が驚いていた。
怪我をしていると言うわりには本格的な投球フォームでボールの回転数も良い。
「これはエース祐輝じゃね?」とけんせー達が小声で3年生に怒られない様に話していた。
キャッチャーは座ると「本気でこいよ」と一言だけ言った。
祐輝は一球で話を終わらせるつもりだった。
ろくに投げられない事を証明するために暴投するつもりだ。
そして投げたボールはふんわりとフェンスへ直撃すると2、3年生から失笑が起きた。
「体だけじゃねえか」とバカにしている。
1年生達もガッカリとした表情で顔を見合わせていた。
「何だよあのボール。 お前は今日から俺の舎弟な。」
「・・・・・・」
祐輝は黙ってマウンドから降りると千野の元へ歩いていった。
誰にも聞こえない小さい声で「放課後お時間いいですか?」とだけ言った。
「ああ?」と威嚇されたが祐輝は臆する事なくじっと千野の目を見ていた。
すると千野には何を考えているのかわかったのかニヤリと笑うと「いいぜ」と返した。
しばらく不気味な微笑みを浮かべた2人は練習へと戻った。
基本的に高校野球での1年生は雑用が主になる。
たまに行われる練習試合で活躍すると先輩に混じって練習する事もあるが基本的には掃除や先輩の身の回りの世話などで1年間が終わる。
祐輝達は先輩の練習を整列しながら声出しをするだけだった。
そして練習が終わり祐輝は千野の元を訪れた。
人生で唯一無二の存在との運命的な出会いだった。
中でも主将千野は体格も祐輝より大きく鋭い目つきで睨むものだから1年生達は恐怖で顔を上げられずにいた。
すると千野は2年生を何人か連れてきて突如殴り始めた。
吹き飛ばされる2年生は怯えながらもビシッと立っていた。
「1年聞け。 俺達に逆らうとこうなるぞ。」
千野は「これは通過儀礼」だとでも言っているかの様に1年生の前に来ると誰を殴ろうか見ていた。
当然の様に祐輝の前に来ると「お前ボタン止めてなかったやつだな?」と顔を近づけてきた。
さすがの祐輝も千野の圧力には飲まれていた。
「そうです」と答えると胸ぐらを掴まれて地面に叩きつけられた。
直ぐに立ち上がった祐輝は千野を睨みつけた。
この千野という男は容赦がない。
立ち上がった祐輝の顔目掛けてハイキックをすると馬乗りになって更に殴った。
こんな男が主将だなんて終わりだ。
祐輝は早くも退部を考えた。
殴り続ける千野は祐輝を立たせると「お前ポジションは?」と聞いてきた。
「元はピッチャーですがもう投げられません」と答えたが千野は3年生のキャッチャーを座らせると祐輝に無理やり投げさせた。
「投げられません。」
「聞いてねえ。 何キロ出るんだよ?」
「・・・怪我をしているので投げられません。」
だが千野はまるで聞く耳を持たなかった。
仕方なく3年生のキャッチャーとキャッチボールを始めると「おお」と1年生が驚いていた。
怪我をしていると言うわりには本格的な投球フォームでボールの回転数も良い。
「これはエース祐輝じゃね?」とけんせー達が小声で3年生に怒られない様に話していた。
キャッチャーは座ると「本気でこいよ」と一言だけ言った。
祐輝は一球で話を終わらせるつもりだった。
ろくに投げられない事を証明するために暴投するつもりだ。
そして投げたボールはふんわりとフェンスへ直撃すると2、3年生から失笑が起きた。
「体だけじゃねえか」とバカにしている。
1年生達もガッカリとした表情で顔を見合わせていた。
「何だよあのボール。 お前は今日から俺の舎弟な。」
「・・・・・・」
祐輝は黙ってマウンドから降りると千野の元へ歩いていった。
誰にも聞こえない小さい声で「放課後お時間いいですか?」とだけ言った。
「ああ?」と威嚇されたが祐輝は臆する事なくじっと千野の目を見ていた。
すると千野には何を考えているのかわかったのかニヤリと笑うと「いいぜ」と返した。
しばらく不気味な微笑みを浮かべた2人は練習へと戻った。
基本的に高校野球での1年生は雑用が主になる。
たまに行われる練習試合で活躍すると先輩に混じって練習する事もあるが基本的には掃除や先輩の身の回りの世話などで1年間が終わる。
祐輝達は先輩の練習を整列しながら声出しをするだけだった。
そして練習が終わり祐輝は千野の元を訪れた。
人生で唯一無二の存在との運命的な出会いだった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~
kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる