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第88話 修学旅行で見たもの
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夏休みも終わり、いよいよ修学旅行という時になっても祐輝はミズキとあまり会話をしなかった。
変わらず気まずい雰囲気の中で迎えた修学旅行。
せっかく同じ班にして旅行を楽しもうとしていたのに気まずい雰囲気のまま、新幹線で京都へと向かった。
歴史好きの祐輝にはたまらない観光地だった。
京都に着くとさっそく自由行動になったが祐輝はスタスタと歩き始めた。
(気まずいな・・・)
俺は歴史が好きだから忙しいとでも言っているかの様な後ろ姿をただ見つめているミズキは友達と京都の街を楽しもうか考えていた。
しかしこのまま終わるのも納得いかなかった。
「待ってよ。」と小さい声でつぶやくと祐輝は振り返ってじっと見ていた。
だがミズキはその瞳を見て少し驚いた。
「ゆ、祐輝君?」
瞳はいつもより茶色く何処か雰囲気も違った。
悪そうな見た目だが、知的でただならぬ気配を放っていた。
ミズキの勘違いかと思いきやすれ違う人も祐輝を避ける様にしていたではないか。
まるで別人の様な雰囲気を醸し出す祐輝に対して思わず絶句してしまったミズキを不思議そうにも何かわかっているかの様にも見ていた。
「なあミズキ。 別れよう。」
「え・・・」
「俺はお前を幸せにしてやれねえ。」
「・・・・・・」
淡々と話す祐輝は変わらず奇妙な気配を放っている。
そして何より「お前」なんて呼ばれ方は今までされた事がなかった気がするほど何か目の前にいる存在は異次元の生物にすら感じていた。
ミズキは唇が震えている。
しかし祐輝は表情一つ変える事なくじっと見ていた。
「祐輝君何か変だよ・・・」
「わかってる。 自分でもわかってる・・・でも別れるべきだと思っている。」
「どうして?」
「お前は俺といると苦労する。 幸せになってほしい。 だが相手は俺じゃねえ。」
不気味なほど茶色い瞳がじっと冷たく見つめている。
気がつくとミズキは足が震えていた。
目の前にいるのは野球が大好きな祐輝君じゃないと確証は何一つないがそう感じた。
茶色い瞳だって元々茶色い瞳が太陽の光でそう見えるだけ。
ミズキは必死に自分にそう言い聞かせていたが祐輝の顔を怖くて見る事ができなかった。
「私の事嫌いなの?」
それはミズキが精一杯に振り絞った言葉だった。
「いや」と小さく答えるとしばらく黙り込んだ。
その時ミズキはやっとの思いで祐輝の顔を見上げるとやはりいつもよりずっと茶色い瞳をしていた。
「大好きだよ。 嫁にするならお前みたいな女がいい。 だが俺と一緒にいてはいけない。」
「ど、どうして・・・」
「わからない。 でも断言できる。 俺の近くにいてはダメだ。」
健気でおっとりした性格の可愛らしいミズキを突き放す様に祐輝は冷酷な言葉を言い放っている。
別れる理由がわからないと言われているのにどう納得すればいいのか。
3年間、いや小学校も含める9年間もミズキは祐輝を見てきた。
もはや表情だけで何を考えているのかわかるぐらいに良く知っているつもりだった。
しかし目の前にいる男は今までの9年間で見た事もないほど冷酷な表情で見つめていた。
変わらず気まずい雰囲気の中で迎えた修学旅行。
せっかく同じ班にして旅行を楽しもうとしていたのに気まずい雰囲気のまま、新幹線で京都へと向かった。
歴史好きの祐輝にはたまらない観光地だった。
京都に着くとさっそく自由行動になったが祐輝はスタスタと歩き始めた。
(気まずいな・・・)
俺は歴史が好きだから忙しいとでも言っているかの様な後ろ姿をただ見つめているミズキは友達と京都の街を楽しもうか考えていた。
しかしこのまま終わるのも納得いかなかった。
「待ってよ。」と小さい声でつぶやくと祐輝は振り返ってじっと見ていた。
だがミズキはその瞳を見て少し驚いた。
「ゆ、祐輝君?」
瞳はいつもより茶色く何処か雰囲気も違った。
悪そうな見た目だが、知的でただならぬ気配を放っていた。
ミズキの勘違いかと思いきやすれ違う人も祐輝を避ける様にしていたではないか。
まるで別人の様な雰囲気を醸し出す祐輝に対して思わず絶句してしまったミズキを不思議そうにも何かわかっているかの様にも見ていた。
「なあミズキ。 別れよう。」
「え・・・」
「俺はお前を幸せにしてやれねえ。」
「・・・・・・」
淡々と話す祐輝は変わらず奇妙な気配を放っている。
そして何より「お前」なんて呼ばれ方は今までされた事がなかった気がするほど何か目の前にいる存在は異次元の生物にすら感じていた。
ミズキは唇が震えている。
しかし祐輝は表情一つ変える事なくじっと見ていた。
「祐輝君何か変だよ・・・」
「わかってる。 自分でもわかってる・・・でも別れるべきだと思っている。」
「どうして?」
「お前は俺といると苦労する。 幸せになってほしい。 だが相手は俺じゃねえ。」
不気味なほど茶色い瞳がじっと冷たく見つめている。
気がつくとミズキは足が震えていた。
目の前にいるのは野球が大好きな祐輝君じゃないと確証は何一つないがそう感じた。
茶色い瞳だって元々茶色い瞳が太陽の光でそう見えるだけ。
ミズキは必死に自分にそう言い聞かせていたが祐輝の顔を怖くて見る事ができなかった。
「私の事嫌いなの?」
それはミズキが精一杯に振り絞った言葉だった。
「いや」と小さく答えるとしばらく黙り込んだ。
その時ミズキはやっとの思いで祐輝の顔を見上げるとやはりいつもよりずっと茶色い瞳をしていた。
「大好きだよ。 嫁にするならお前みたいな女がいい。 だが俺と一緒にいてはいけない。」
「ど、どうして・・・」
「わからない。 でも断言できる。 俺の近くにいてはダメだ。」
健気でおっとりした性格の可愛らしいミズキを突き放す様に祐輝は冷酷な言葉を言い放っている。
別れる理由がわからないと言われているのにどう納得すればいいのか。
3年間、いや小学校も含める9年間もミズキは祐輝を見てきた。
もはや表情だけで何を考えているのかわかるぐらいに良く知っているつもりだった。
しかし目の前にいる男は今までの9年間で見た事もないほど冷酷な表情で見つめていた。
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