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第82話 進路相談
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津田先生からの言葉を胸に留めて次の日学校に行った。
中学生活も残す所僅かとなったが祐輝は大して思い入れもなく、進路について考えていた。
どうせ野球もできないのに高校に行く必要があるのだろうかと悩みながらも津田先生に進路相談をした。
「昨日は暴れてすいませんでした。」
「先生もまさかそんな事があったとは知らずに悪かったね。 勉強頑張ろうね。」
「その事なんですが・・・高校に行く意味があるんですかね・・・」
夢も何もない自分に高校へ行く必要があるのか。
大好きな歴史を活かした進学を考えたがそのためにはもっと成績が必要だった。
日本史、世界史だけではなく、理科や数学の成績も必要だったが祐輝は満足に授業も受けなかったために進学するには難しかった。
ミズキと共に目指した関東高校も絶望的となった。
そこまで野球に捧げてきたが全て無駄となってしまった今、何を理由に進学する必要があるのかわからなかった。
「そうだね。 高校によっては就職活動を後押ししてくれる学校がある。 商業高校なんてどうかな?」
「商業?」
「真面目に勉強すれば銀行員にだってなれるよ。」
「そんなデスクワークの仕事やりたくないですよ・・・」
まだ中学生の祐輝には銀行員という安定的な仕事に対しての魅力が一切感じられなかった。
それよりは警察官や自衛官の様な仕事の方が魅力に感じていた。
過酷で身の危険すらある仕事だが、やりがいがあり誰かの役に立つ仕事が良いと考えていた。
祐輝にとってデスクワークは退屈で仕方なかった。
「そんな事ないぞ。 銀行員になれば安定した収入に福利厚生がありボーナスだってたくさん貰える。 いつの日か結婚して自分の家や車だって買えるぞ。」
「んー。 自衛隊とかどうですかね。」
「やっぱり体動かしたいか?」
そりゃそうだと頷く祐輝を見ながら何か言いづらそうにしている津田先生。
それは中卒で自衛隊を目指す過酷さを危惧していた。
高校で学ぶ集団生活や常識を学ばずに国家権力という巨大な組織に飛び込む事は困難そのものだ。
せめて高校3年間でしっかり野球部にでもいればまだ祐輝に見えていないものが見えてくるのではと津田先生は考えていたが、肩を怪我した祐輝に「高校で野球部に入ってから自衛隊を目指せ。」とはとても言えなかった。
どう言い回して高校に行かせるか考えていた。
「警察官でも自衛官でも構わないがせめて高校に行くべきだと思うよ。」
「なんで?」
「・・・思い出さ。」
「は?」
言い回しに悩んだ結果津田先生は祐輝の中学生活を見て、友人の少なさに着目したのだ。
野球を真面目にやっていた分仕方なかったかもしれないが、基本的にミズキと話すか図書室で歴史の本を読み漁るだけの青春時代。
そしていきなり自衛隊に入るのは恐らく適応できないのではないかと津田先生は説き始めた。
「誰かと夜まで遊んだり、先生が言うのはいけない事かもしれないが校則を破って怒られるのも思い出さ。 体育祭や文化祭に修学旅行だって多くの友人と行けば楽しい思い出になる。 友人との時間をたくさん経験してからでも遅くない。」
黙り込んで考える祐輝は高校に行くべきなのかと考えていた。
進路相談は一度ここで終わり、家に帰って真剣に考え始めた。
祐輝が高校進学に悩む理由を打ち明けるために。
中学生活も残す所僅かとなったが祐輝は大して思い入れもなく、進路について考えていた。
どうせ野球もできないのに高校に行く必要があるのだろうかと悩みながらも津田先生に進路相談をした。
「昨日は暴れてすいませんでした。」
「先生もまさかそんな事があったとは知らずに悪かったね。 勉強頑張ろうね。」
「その事なんですが・・・高校に行く意味があるんですかね・・・」
夢も何もない自分に高校へ行く必要があるのか。
大好きな歴史を活かした進学を考えたがそのためにはもっと成績が必要だった。
日本史、世界史だけではなく、理科や数学の成績も必要だったが祐輝は満足に授業も受けなかったために進学するには難しかった。
ミズキと共に目指した関東高校も絶望的となった。
そこまで野球に捧げてきたが全て無駄となってしまった今、何を理由に進学する必要があるのかわからなかった。
「そうだね。 高校によっては就職活動を後押ししてくれる学校がある。 商業高校なんてどうかな?」
「商業?」
「真面目に勉強すれば銀行員にだってなれるよ。」
「そんなデスクワークの仕事やりたくないですよ・・・」
まだ中学生の祐輝には銀行員という安定的な仕事に対しての魅力が一切感じられなかった。
それよりは警察官や自衛官の様な仕事の方が魅力に感じていた。
過酷で身の危険すらある仕事だが、やりがいがあり誰かの役に立つ仕事が良いと考えていた。
祐輝にとってデスクワークは退屈で仕方なかった。
「そんな事ないぞ。 銀行員になれば安定した収入に福利厚生がありボーナスだってたくさん貰える。 いつの日か結婚して自分の家や車だって買えるぞ。」
「んー。 自衛隊とかどうですかね。」
「やっぱり体動かしたいか?」
そりゃそうだと頷く祐輝を見ながら何か言いづらそうにしている津田先生。
それは中卒で自衛隊を目指す過酷さを危惧していた。
高校で学ぶ集団生活や常識を学ばずに国家権力という巨大な組織に飛び込む事は困難そのものだ。
せめて高校3年間でしっかり野球部にでもいればまだ祐輝に見えていないものが見えてくるのではと津田先生は考えていたが、肩を怪我した祐輝に「高校で野球部に入ってから自衛隊を目指せ。」とはとても言えなかった。
どう言い回して高校に行かせるか考えていた。
「警察官でも自衛官でも構わないがせめて高校に行くべきだと思うよ。」
「なんで?」
「・・・思い出さ。」
「は?」
言い回しに悩んだ結果津田先生は祐輝の中学生活を見て、友人の少なさに着目したのだ。
野球を真面目にやっていた分仕方なかったかもしれないが、基本的にミズキと話すか図書室で歴史の本を読み漁るだけの青春時代。
そしていきなり自衛隊に入るのは恐らく適応できないのではないかと津田先生は説き始めた。
「誰かと夜まで遊んだり、先生が言うのはいけない事かもしれないが校則を破って怒られるのも思い出さ。 体育祭や文化祭に修学旅行だって多くの友人と行けば楽しい思い出になる。 友人との時間をたくさん経験してからでも遅くない。」
黙り込んで考える祐輝は高校に行くべきなのかと考えていた。
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