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第78話 東京都を肩に背負って
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二時選考会を終えて数日。
合格通知が家に届いていた。
それは三次選考に参加する必要がなくなったという事だった。
東京都選抜へ正式に参加できた事を意味する通知を見た祐輝は喜びのあまりまたも越田に電話すると「俺も来た。」と話していた。
既にメンバー入りが決まったのは祐輝と越田、そして桜木と春川を含む10人だった。
残り10人を決めるための最終選考会は後日行われる。
東京都選抜のメンバー入りを母の真美にも話すと「野球やっていてよかったね。」と嬉しそうに微笑んだ。
その日の晩は焼肉屋へ行ってお腹いっぱいになるまで肉と米を食べ続けた。
数日経つと更に家にはユニフォームが届いた。
紺色のユニフォームの肩には東京都のマークが記されていた。
週末になると祐輝はナインズの練習に参加したがユニフォームは東京選抜のユニフォームを着ていた。
健太や後輩達が物珍しそうに鮮やかな紺色のユニフォームを見ている。
「す、すげえ。」
空いた口が塞がらない健太を見て少し笑うと大間総監督が拍手をしながら「しっかりやってこい。」と祐輝の胸に軽く拳でドンっと叩いた。
そして窪田コーチは「お前ら東京選抜のエースを良く見ておけ。」と大声で選手達に言うと練習を始めた。
鈴木監督時代の無限守備練習から解放されたナインズは実戦的な練習を取り入れていたが窪田コーチが基本的に全体練習を指揮したがやはり知識不足は明らかだった。
「よーしお前ら東京選抜のストレート打ってみろ!」
すると窪田コーチは祐輝をマウンドに立たせると試合形式でのバッティング練習に入った。
ナインズメンバー全員が祐輝と対戦する事になったがそれはあまりに人数が多かった。
投げさせ続けられる祐輝は疲れていたがお構いなしに「東京選抜だぞ祐輝は!」と選手達を焚き付けていた。
昼過ぎから始まったこの地獄は夕方まで投げさせられた。
200球近くも投げさせられてクタクタになった祐輝は外野に歩いて行きストレッチをして肩にアイシングをする準備をしていると窪田コーチが歩いてきた。
「今から走り込みするぞ。」
「アイシングさせてください。」
「大丈夫だ! とにかく走れ! 選抜に入ったらもっとキツいぞ!」
窪田コーチは祐輝にアイシングをさせなかった。
その後走り込みを1時間ほどさせられて祐輝は家に帰った。
風呂に30分ほど浸かってからストレッチをしているが祐輝は首筋から肩にかけて違和感を感じていた。
湿布だけしてその晩は眠りについた。
そして翌日目を覚ますと寝違えた様に首筋から肩にかけて痛みが残り、日曜日の練習はストレッチと軽いランニングだけにするつもりだった。
グラウンドに行くと当然という表情で窪田コーチは「今日も東京選抜のエースが投げてくれるぞ!」と選手達を焚き付けていた。
肩の痛みを感じている祐輝は今日は投げられないと言いに行った。
すると窪田コーチは祐輝に顔を近づけて小さい声で話した。
「俺が頼んでいるんだ。 投げろよ。 ここでお前が投げなかったら俺は1人で騒いでいただけになるだろ? 息子がお前の球を打てる様になるまで投げてくれ。」
祐輝は仕方なくマウンドに行くとやはり少し痛みがあったが投げ始めるとさほど痛みは感じずに投げ続けた。
窪田コーチの息子の優はまだ中学1年生で体型もかなり小柄だった。
そんな子供に祐輝のストレートがそもそも打てるはずがなかった。
親バカというのは怖いものだが優が打てるまで祐輝に投げさせ続けた。
すると祐輝の肩かろピキンッと何やら嫌な音がなり祐輝は肩を抑えてマウンドを降りた。
「窪田コーチ肩痛いです。」
「まだ息子も選手達も打ててないぞ!」
「もう投げられません。」
呆れた表情で祐輝に「じゃあ走ってろ。」と突き放すと練習が終わるまで祐輝は外野をウロウロとしてストレッチをしたりしていた。
練習が終わり家に帰ってもやはり肩の痛み残った。
次の週末はいよいよ東京都選抜で行われる全国大会だ。
祐輝は肩の痛みを治す事ができるのか。
合格通知が家に届いていた。
それは三次選考に参加する必要がなくなったという事だった。
東京都選抜へ正式に参加できた事を意味する通知を見た祐輝は喜びのあまりまたも越田に電話すると「俺も来た。」と話していた。
既にメンバー入りが決まったのは祐輝と越田、そして桜木と春川を含む10人だった。
残り10人を決めるための最終選考会は後日行われる。
東京都選抜のメンバー入りを母の真美にも話すと「野球やっていてよかったね。」と嬉しそうに微笑んだ。
その日の晩は焼肉屋へ行ってお腹いっぱいになるまで肉と米を食べ続けた。
数日経つと更に家にはユニフォームが届いた。
紺色のユニフォームの肩には東京都のマークが記されていた。
週末になると祐輝はナインズの練習に参加したがユニフォームは東京選抜のユニフォームを着ていた。
健太や後輩達が物珍しそうに鮮やかな紺色のユニフォームを見ている。
「す、すげえ。」
空いた口が塞がらない健太を見て少し笑うと大間総監督が拍手をしながら「しっかりやってこい。」と祐輝の胸に軽く拳でドンっと叩いた。
そして窪田コーチは「お前ら東京選抜のエースを良く見ておけ。」と大声で選手達に言うと練習を始めた。
鈴木監督時代の無限守備練習から解放されたナインズは実戦的な練習を取り入れていたが窪田コーチが基本的に全体練習を指揮したがやはり知識不足は明らかだった。
「よーしお前ら東京選抜のストレート打ってみろ!」
すると窪田コーチは祐輝をマウンドに立たせると試合形式でのバッティング練習に入った。
ナインズメンバー全員が祐輝と対戦する事になったがそれはあまりに人数が多かった。
投げさせ続けられる祐輝は疲れていたがお構いなしに「東京選抜だぞ祐輝は!」と選手達を焚き付けていた。
昼過ぎから始まったこの地獄は夕方まで投げさせられた。
200球近くも投げさせられてクタクタになった祐輝は外野に歩いて行きストレッチをして肩にアイシングをする準備をしていると窪田コーチが歩いてきた。
「今から走り込みするぞ。」
「アイシングさせてください。」
「大丈夫だ! とにかく走れ! 選抜に入ったらもっとキツいぞ!」
窪田コーチは祐輝にアイシングをさせなかった。
その後走り込みを1時間ほどさせられて祐輝は家に帰った。
風呂に30分ほど浸かってからストレッチをしているが祐輝は首筋から肩にかけて違和感を感じていた。
湿布だけしてその晩は眠りについた。
そして翌日目を覚ますと寝違えた様に首筋から肩にかけて痛みが残り、日曜日の練習はストレッチと軽いランニングだけにするつもりだった。
グラウンドに行くと当然という表情で窪田コーチは「今日も東京選抜のエースが投げてくれるぞ!」と選手達を焚き付けていた。
肩の痛みを感じている祐輝は今日は投げられないと言いに行った。
すると窪田コーチは祐輝に顔を近づけて小さい声で話した。
「俺が頼んでいるんだ。 投げろよ。 ここでお前が投げなかったら俺は1人で騒いでいただけになるだろ? 息子がお前の球を打てる様になるまで投げてくれ。」
祐輝は仕方なくマウンドに行くとやはり少し痛みがあったが投げ始めるとさほど痛みは感じずに投げ続けた。
窪田コーチの息子の優はまだ中学1年生で体型もかなり小柄だった。
そんな子供に祐輝のストレートがそもそも打てるはずがなかった。
親バカというのは怖いものだが優が打てるまで祐輝に投げさせ続けた。
すると祐輝の肩かろピキンッと何やら嫌な音がなり祐輝は肩を抑えてマウンドを降りた。
「窪田コーチ肩痛いです。」
「まだ息子も選手達も打ててないぞ!」
「もう投げられません。」
呆れた表情で祐輝に「じゃあ走ってろ。」と突き放すと練習が終わるまで祐輝は外野をウロウロとしてストレッチをしたりしていた。
練習が終わり家に帰ってもやはり肩の痛み残った。
次の週末はいよいよ東京都選抜で行われる全国大会だ。
祐輝は肩の痛みを治す事ができるのか。
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