63 / 140
第63話 待ち望んだ再戦
しおりを挟む
打席には3番の速田。
祐輝はセットポジションから盗塁をされない様に素早く投げる。
速田はストレートを意図も簡単にバットに当てると快音と共にボールはファールラインギリギリの所へ飛んでいく。
打球を見ながら祐輝は「ファールになれ!」と叫んだ。
快音と共に飛んでいった打球はなんとかファールラインへと切れていった。
「ふう。」と一呼吸するとロウジンバッグを触ると白くなった指で帽子のつばを触った。
プレートに足をかけてもう一度セットポジションに入る。
健太はまたしてもカーブのサインを出しているが首を振った。
速田に対してもストレートで勝負するつもりだった。
セットポジションから素早く投げ込むと風を切る音と共に速いストレートが速田の胸元に飛んでいく。
体をそらして避けるとじっと祐輝を睨んでいた。
この夏大会は速田にとって最後の一年。
何がなんでも優勝して全国の怪童達と雌雄を決したかった。
こんな新宿区大会で怪我なんてするわけにはいかなかった。
速田は祐輝を睨んでいるが謝る様子はなく平然としている。
「当ててないんだから悪くないだろ。」とマウンドでつぶやくと3球目もインコース高めに投げ込んだ。
速田は力強く振り抜いたが打球はまたしてもフェンス直撃の特大ファールだ。
そして4球目。
「いいや。 例え打たれてもあんたは相手にしていない。 速田先輩。」
祐輝はストレートを選んだ。
セットポジションから思いっきり投げた。
すると速田は完璧に捉えて打球はフェンスに向かって飛んでいく。
快音が祐輝の耳に残ったまま、余韻が醒めることなくフェンスへ飛んでいった。
打球はなんとかフェンス直撃だったが一塁ランナーは一気に三塁にまで進み、速田も二塁まで進んだ。
そしていよいよ越田。
待ち望んだ対決だった。
すると祐輝はセットポジションから足を外して越田を見つめるとワインドアップになった。
本来、ランナーを背負っている場合ではセットポジションでの投球が基本だ。
ルール上、セットポジションでないとランナーへの牽制球が投げられないからだ。
盗塁や送りバントに対してもワインドアップだと投球フォームも遅くなるため必ずセットポジションにしなくてはならない。
二塁と三塁にランナーがいる状況ではこれ以上先に進む事はできないがまさかワインドアップになるともナインズもキングスも思っていなかった。
祐輝がワインドアップにするという事はつまり、ランナーはどうだっていいと言ったも同然だ。
「俺はお前だけを見ている。」と言っているのだ。
越田はどこか嬉しそうにも口角をあげると打席に入った。
ワンナウト二塁、三塁だとスクイズと言ってピッチャーが投げると同時にランナーを走らせてバントをする事で確実に一点を取る戦術がある。
しかし打席は怪童越田。
そして弱小ナインズのエースはワインドアップを選んだ。
キングスの監督は越田に「打てっ!」と叫んだ。
祐輝はマウンドある事を察していた。
「どうせこの一打席しか戦えない。 俺は勝手にカーブを投げて佐藤コーチも怒るし、この状況でワインドアップ。 鈴木監督に怒られて代えられる。 だからここが勝負だ越田。」
健太はカーブのサインを出すと祐輝はこの試合で初めてカーブのサインに首を縦に振った。
ゆったりとしたフォームから祐輝はカーブを投げ込んだ。
越田の顔に向かってすっぽ抜けたかと思えば軌道を変えて真ん中低めにまで変化した。
球場がどよめいた。
ストライクのカウントと同時に祐輝はチラリと佐藤コーチを見ると腕を組んで険しい表情で見ていた。
しかし祐輝は2球目もカーブを投げた。
すると越田は振り抜いたが見事に空振り、ツーストライクにあっという間に追い込んだ。
「あいつカーブ苦手か?」
ストレートこそ完璧に捉える越田だったがカーブには全くタイミングが合わずにいた。
そして健太は3球目もカーブのサインを出したがなんと祐輝は首を振った。
ストレートのサインを出すとうなずいた。
そしてゆったりと投球フォームに入った。
キーンッ!!!
快音と共にボールは一瞬で祐輝の視界から消えた。
祐輝はセットポジションから盗塁をされない様に素早く投げる。
速田はストレートを意図も簡単にバットに当てると快音と共にボールはファールラインギリギリの所へ飛んでいく。
打球を見ながら祐輝は「ファールになれ!」と叫んだ。
快音と共に飛んでいった打球はなんとかファールラインへと切れていった。
「ふう。」と一呼吸するとロウジンバッグを触ると白くなった指で帽子のつばを触った。
プレートに足をかけてもう一度セットポジションに入る。
健太はまたしてもカーブのサインを出しているが首を振った。
速田に対してもストレートで勝負するつもりだった。
セットポジションから素早く投げ込むと風を切る音と共に速いストレートが速田の胸元に飛んでいく。
体をそらして避けるとじっと祐輝を睨んでいた。
この夏大会は速田にとって最後の一年。
何がなんでも優勝して全国の怪童達と雌雄を決したかった。
こんな新宿区大会で怪我なんてするわけにはいかなかった。
速田は祐輝を睨んでいるが謝る様子はなく平然としている。
「当ててないんだから悪くないだろ。」とマウンドでつぶやくと3球目もインコース高めに投げ込んだ。
速田は力強く振り抜いたが打球はまたしてもフェンス直撃の特大ファールだ。
そして4球目。
「いいや。 例え打たれてもあんたは相手にしていない。 速田先輩。」
祐輝はストレートを選んだ。
セットポジションから思いっきり投げた。
すると速田は完璧に捉えて打球はフェンスに向かって飛んでいく。
快音が祐輝の耳に残ったまま、余韻が醒めることなくフェンスへ飛んでいった。
打球はなんとかフェンス直撃だったが一塁ランナーは一気に三塁にまで進み、速田も二塁まで進んだ。
そしていよいよ越田。
待ち望んだ対決だった。
すると祐輝はセットポジションから足を外して越田を見つめるとワインドアップになった。
本来、ランナーを背負っている場合ではセットポジションでの投球が基本だ。
ルール上、セットポジションでないとランナーへの牽制球が投げられないからだ。
盗塁や送りバントに対してもワインドアップだと投球フォームも遅くなるため必ずセットポジションにしなくてはならない。
二塁と三塁にランナーがいる状況ではこれ以上先に進む事はできないがまさかワインドアップになるともナインズもキングスも思っていなかった。
祐輝がワインドアップにするという事はつまり、ランナーはどうだっていいと言ったも同然だ。
「俺はお前だけを見ている。」と言っているのだ。
越田はどこか嬉しそうにも口角をあげると打席に入った。
ワンナウト二塁、三塁だとスクイズと言ってピッチャーが投げると同時にランナーを走らせてバントをする事で確実に一点を取る戦術がある。
しかし打席は怪童越田。
そして弱小ナインズのエースはワインドアップを選んだ。
キングスの監督は越田に「打てっ!」と叫んだ。
祐輝はマウンドある事を察していた。
「どうせこの一打席しか戦えない。 俺は勝手にカーブを投げて佐藤コーチも怒るし、この状況でワインドアップ。 鈴木監督に怒られて代えられる。 だからここが勝負だ越田。」
健太はカーブのサインを出すと祐輝はこの試合で初めてカーブのサインに首を縦に振った。
ゆったりとしたフォームから祐輝はカーブを投げ込んだ。
越田の顔に向かってすっぽ抜けたかと思えば軌道を変えて真ん中低めにまで変化した。
球場がどよめいた。
ストライクのカウントと同時に祐輝はチラリと佐藤コーチを見ると腕を組んで険しい表情で見ていた。
しかし祐輝は2球目もカーブを投げた。
すると越田は振り抜いたが見事に空振り、ツーストライクにあっという間に追い込んだ。
「あいつカーブ苦手か?」
ストレートこそ完璧に捉える越田だったがカーブには全くタイミングが合わずにいた。
そして健太は3球目もカーブのサインを出したがなんと祐輝は首を振った。
ストレートのサインを出すとうなずいた。
そしてゆったりと投球フォームに入った。
キーンッ!!!
快音と共にボールは一瞬で祐輝の視界から消えた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
翠名と椎名の恋路(恋にゲームに小説に花盛り)
jun( ̄▽ ̄)ノ
青春
中2でFカップって妹こと佐藤翠名(すいな)と、中3でDカップって姉こと佐藤椎名(しいな)に、翠名の同級生でゲーマーな田中望(のぞみ)、そして望の友人で直球型男子の燃得(もえる)の4人が織り成す「恋」に「ゲーム」に「小説」そして「ホットなエロ」の協奏曲
文化研究部
ポリ 外丸
青春
高校入学を控えた5人の中学生の物語。中学時代少々難があった5人が偶々集まり、高校入学と共に新しく部を作ろうとする。しかし、創部を前にいくつかの問題が襲い掛かってくることになる。
※カクヨム、ノベルアップ+、ノベルバ、小説家になろうにも投稿しています。
秀才くんの憂鬱
N
ファンタジー
主人公は、歴史上存在を否定される卑弥呼の息子
表向きは、何でもできてしまう超絶優秀王子であるが、内心はその自らの立場ゆえの葛藤を持つ。
王子でも王にはなれない運命を背負いながらも、国民のために伝説の剣を探しに旅に出る。旅の中で、男は少しずつ成長していく。
王への道~僕とヒミカの成長録~
の続編。王への道を読んだ人も、まだの人も楽しめる!
初恋♡リベンジャーズ
遊馬友仁
青春
【第四部開始】
高校一年生の春休み直前、クラスメートの紅野アザミに告白し、華々しい玉砕を遂げた黒田竜司は、憂鬱な気持ちのまま、新学期を迎えていた。そんな竜司のクラスに、SNSなどでカリスマ的人気を誇る白草四葉が転入してきた。
眉目秀麗、容姿端麗、美の化身を具現化したような四葉は、性格も明るく、休み時間のたびに、竜司と親友の壮馬に気さくに話しかけてくるのだが――――――。
転入早々、竜司に絡みだす、彼女の真の目的とは!?
◯ンスタグラム、ユ◯チューブ、◯イッターなどを駆使して繰り広げられる、SNS世代の新感覚復讐系ラブコメディ、ここに開幕!
第二部からは、さらに登場人物たちも増え、コメディ要素が多めとなります(予定)
神様自学
天ノ谷 霙
青春
ここは霜月神社。そこの神様からとある役職を授かる夕音(ゆうね)。
それは恋心を感じることができる、不思議な力を使う役職だった。
自分の恋心を中心に様々な人の心の変化、思春期特有の感情が溢れていく。
果たして、神様の裏側にある悲しい過去とは。
人の恋心は、どうなるのだろうか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる