73 / 99
第73章 ぺップの孤立
しおりを挟む
夜叉子がペップの事で真剣に虎白と話している間もペップは1頭で努力していた。
士官の消灯時間になって夜間警備の歩哨だけが基地を見回りしている。
そんな夜遅くにもペップは戦略書を読み漁っていた。
「あー挟撃ってなんだあ・・・なるほど挟み撃ちか・・・ん? 挟み撃ちってどうやるんだ・・・」
初歩的な事だがペップには大きな一歩だ。
暴れる事しかできなかったペップが獣王隊の色に合わせて戦略を学ぶ。
何故か明かりがついている部屋に歩哨の下士官が覗きに来る。
「あれー少尉殿!?」
「おう。 歩哨ご苦労。」
「いいえ。 僕は夜行性なので夜間警備は大好きです。 それより何しているのですか少尉殿?」
「お前達を死なせないための第一歩だ。」
歩哨にはよくわからなかったが真面目に何かしている事を察した歩哨は敬礼して静かに扉を閉めた。
部下を死なせたくない。
そして戦略を覚えないと獣王ではやっていけない。
まずその自覚を持てた事が成長だ。
毎晩何時間も戦略書を読み終えるとランニングをして山の中でトレーニングをして基地に戻った。
朝になると全体訓練を行う。
ペップは自分の小隊を率いて全体訓練に参加しているが他の士官達からは煙たがられていた。
作戦会議の時もペップは迷惑をかけまいと静かに聞いている。
「第2中隊がこの丘を越えろ。 第1中隊は平原で敵をおびき寄せる。 おい中尉。 そこには命令を平気で無視する少尉がいるんだからしっかり押さえておけよ。」
コカ大尉に睨まれる中尉は肩身が狭そうだ。
ペップは自分のせいで中尉が迷惑しているとも自覚がある。
申し訳無さそうに耳を垂れ下げている。
作戦会議が終わり中尉と共にペップはコカの大隊本部へと向かう。
「中尉・・・」
「当たり前だ。 命令に従わない兵士がどれほど嫌われるかわかっただろ? 我々はお頭の兵士だ。 ただの白陸兵じゃない。」
「はい・・・あ、あのサガミ中尉・・・」
サガミ中尉は豹の半獣族だ。
ジャガーの半獣族のペップとは見た目が似ていた。
だからこそ親近感すらあったサガミ中尉はペップの命令違反に心を痛めていた。
「名誉挽回だ。 次は俺の命令聞けよ。」
「はい中尉!」
「みんなで1つの獣王隊だぞ。」
「はい!!」
出来の悪い部下だがサガミ中尉には親心すらあった。
獣王隊から孤立しているペップを何とか救いたいという気持ち。
ペップがそれに応えられるかどうかだった。
明日行われるのは獣王隊同士での模擬演習。
お互いの手の内を良く理解している。
その上戦い方も同じだ。
いつの日かそんな敵が現れた時に負けない様に。
大切な訓練だった。
大隊本部に着くとコカ大尉が地図を見ている。
「失礼します。 サガミ、ペップ入ります。」
「ご苦労。」
「作戦は決まりましたか?」
「相手はリークの大隊だ。 親友だからこそ手の内はお互い完璧にわかる。」
「何かお考えが。」
「そいつだよサガミ。」
コカが指差す先にはペップがいる。
驚いた表情でペップは立っている。
ペップが勝敗の鍵となる。
サガミは不思議そうにしている。
「どんなバカでもこれだけの事をすれば次は命令を聞かなくてはならないと思う。 実際、サガミに叱られてそう感じているだろ少尉。」
「は、はい大尉殿。」
「だから明日のお前には狡猾なバカになってもらう。」
「狡猾なバカ・・・」
「あえて命令と違う動きをしろ。」
驚きを隠せないペップとサガミは顔を見合わせるのだった。
明朝。
静かに森を進むコカ大隊はリーク大隊を待ち伏せるために潜伏している。
長年共に生き残ってきた2頭はお互いの戦略を完璧に理解している。
だからこそこの潜伏にも気がついている。
「大尉。 次はどうなさるので?」
「リーク達は今頃森を囲む様に動いているはず。 第2中隊を動かして丘を越えさせろ。 サガミ。 お前の中隊は真っ直ぐ平原に抜けるんだ。 ここを大隊司令部にする。」
「森を1つの要塞にするのですか?」
「そうだ。 リーク達もうかつに森には入って来ないからな。」
森を素早く動ける半獣族にしかできない戦術だ。
木々の多い森の中でなら目視でコカ達を見る事はできない。
しかし強引に森の中に入れば待ち伏せしている分、同じ半獣族でもコカの大隊が有利だった。
そして慎重な性格のリークは強引には入って来ないと知っていた。
森を要塞化して中隊を放つ。
包囲しているリーク大隊は何処から敵が来るかわからない状況だった。
そして平原から奇襲をかけるサガミの中隊。
ペップはサガミからの命令を待っていた。
「どうしろって言うんだ・・・」
「なになにー?」
「ルルーまた命令違反しろって言うんだよ・・・」
「ええー? なんで? しろってなによー?」
「それが作戦なんだって・・・」
そして次の瞬間。
サガミと中隊はライフルを撃ちながら突撃を開始した。
ある程度近づくとライフルを背中に戻して四足歩行になった。
進撃速度が大幅に速くなる。
突然の奇襲に驚くリーク大隊。
森を包囲していた事で兵力が分散している。
「今だー!!!! ペップ小隊!! 真っ直ぐ抜けて相手の中隊長を倒してこい!!」
「えーっとその命令違反は・・・」
「あーわかったあー! 真っ直ぐ抜けないで周囲にいる小隊長をやっつける!!」
「それだ!!」
だからこそあえて叫んだのだ。
あえてペップと名指しで。
第1小隊と呼ぶのではなく「ペップ小隊」と。
今やペップは獣王隊6000頭の誰もが知っている問題児。
自分勝手で命令なんて聞くはずがない。
しかし我らがお頭を泣かして、何度も怒られた。
街のチンピラから兵士にさすがになれたと思っている。
何よりこの期に及んでまだ命令違反をするならもはや獣王には必要ない。
獣王の士官達は誰もがそう思っていた。
だからこそ。
またしてもペップが命令違反をして違う動きをする事に意味がある。
リーク大隊の中隊長はペップに備えて自分の周りに部隊を集めた。
何個も小隊が固まっている。
だがそれには当然端があり、ペップはその端にいる小隊長を狙った。
「ルルお前さすがだぜ!!」
「へっへーんガオオオオオオオッ!!!」
「ペップ小隊!! 飛び込め!!!」
『ガルルルルッ!!』
ペップは次々に小隊長を倒していった。
実戦で冴え渡るペップの戦闘本能は他の士官を相手にもしなかった。
そしてペップの後ろに付いているルルを含むペップ小隊の凄まじさときたら。
まるで呂布軍の突撃を思い出させるほどだった。
「何も怖くなんかないよー! だって今回こそはペップが私達の前にいるからねー! ガオオオオオッ!!!」
ペップは少しずつ。
獣王の顔へと成長し始めていた。
何度でも命令違反をするペップにリーク大隊は動揺が隠せない。
小隊長が次々に倒されてペップが迫っている。
サガミ中尉と中隊も一気に前進してリークの中隊を倒す勢いだった。
しかし肝心のリークがいない。
すると森の中から笛が聞こえる。
甲高い音の笛。
するとペップは攻撃を止めて直ぐに森へと引き返した。
ペップだけではない。
ルルも下士官達までも一目散に撤退していった。
「サガミ中尉!!」
「不味いぞペップ!! 本部が奇襲された。 おかしい。 コカ大尉の話では森には入って来ないはずだと。」
「とにかく急ぎましょう!!」
「ああ! 中隊四足歩行!!!」
森に戻るとそこでは大乱戦となっていた。
サガミ達の奇襲は予想外だったが森への奇襲も予想外だ。
これがお互いを理解しているという事だ。
リークは森へは入って来ないと考えるコカの判断を想定していた。
だからこそあえて突入する事で大混乱になった。
普段のリークなら森を包囲して徐々に攻めてくる。
しかし今回はサガミ達が森を出るのを確認すると入れ替わる様に攻め込んできた。
包囲陣形を展開した理由は2つ。
1つはいつもの慎重なリークと見せかけるため。
もう1つは奇襲部隊がどの方向から出てきても対応できるためだった。
奇襲を受けた部隊が即座に囮になって他の部隊が森へ攻め込むという作戦だった。
見事に成功したリークの作戦。
森の中で半獣族達が死闘を繰り広げている。
ペップもその乱戦に参加した。
「やられたっ!」
「どうするペップー!」
「いたずらに乱戦していてもな。 こうなったらリーク大尉を狙うしかない。」
「ほ、本当に!?」
「ああ。 1頭じゃ勝てなくても小隊でかかれば勝てるさ。」
ペップはリークを探して乱戦の中を進んだ。
肩に赤い腕章をしているのが味方のコカ大隊。
黄色がリーク大隊。
それを目印に黄色の腕章が集まる場所へと向かった。
「随分増えてきたな。」
「じゃあ大尉いるかもね!」
「木に登るぞ。」
「飛び降りる?」
「それしかない。」
木の上を進んでリークの元を目指す。
もしこれが成功すればペップは大手柄だ。
緊張した様子で静かに木の上を進む。
すると冷静な表情で指揮するリークを見つけた。
そして。
「行け!!!!!」
『ガルルルルッ!!!!』
木の上から一斉に飛び降りたペップと小隊。
リークは上を向いてペップを見ていた。
しかし焦る様子はなかった。
次の瞬間ペップ達は見えない何かの上で動けなくなっている。
「僕が頭上の敵に警戒しないとでも? 蜘蛛の巣を真似て作った糸だ。 残念だったな問題児。」
リークは獣王隊の中でも戦略に長けている士官の1頭だ。
ペップの決死の攻撃は失敗した。
その後の戦闘もコカが捕縛されて終わった。
ペップの勇敢な行動も戦略の前には無意味と知らされた戦いとなった。
若き猛獣は少しずつ成長している。
士官の消灯時間になって夜間警備の歩哨だけが基地を見回りしている。
そんな夜遅くにもペップは戦略書を読み漁っていた。
「あー挟撃ってなんだあ・・・なるほど挟み撃ちか・・・ん? 挟み撃ちってどうやるんだ・・・」
初歩的な事だがペップには大きな一歩だ。
暴れる事しかできなかったペップが獣王隊の色に合わせて戦略を学ぶ。
何故か明かりがついている部屋に歩哨の下士官が覗きに来る。
「あれー少尉殿!?」
「おう。 歩哨ご苦労。」
「いいえ。 僕は夜行性なので夜間警備は大好きです。 それより何しているのですか少尉殿?」
「お前達を死なせないための第一歩だ。」
歩哨にはよくわからなかったが真面目に何かしている事を察した歩哨は敬礼して静かに扉を閉めた。
部下を死なせたくない。
そして戦略を覚えないと獣王ではやっていけない。
まずその自覚を持てた事が成長だ。
毎晩何時間も戦略書を読み終えるとランニングをして山の中でトレーニングをして基地に戻った。
朝になると全体訓練を行う。
ペップは自分の小隊を率いて全体訓練に参加しているが他の士官達からは煙たがられていた。
作戦会議の時もペップは迷惑をかけまいと静かに聞いている。
「第2中隊がこの丘を越えろ。 第1中隊は平原で敵をおびき寄せる。 おい中尉。 そこには命令を平気で無視する少尉がいるんだからしっかり押さえておけよ。」
コカ大尉に睨まれる中尉は肩身が狭そうだ。
ペップは自分のせいで中尉が迷惑しているとも自覚がある。
申し訳無さそうに耳を垂れ下げている。
作戦会議が終わり中尉と共にペップはコカの大隊本部へと向かう。
「中尉・・・」
「当たり前だ。 命令に従わない兵士がどれほど嫌われるかわかっただろ? 我々はお頭の兵士だ。 ただの白陸兵じゃない。」
「はい・・・あ、あのサガミ中尉・・・」
サガミ中尉は豹の半獣族だ。
ジャガーの半獣族のペップとは見た目が似ていた。
だからこそ親近感すらあったサガミ中尉はペップの命令違反に心を痛めていた。
「名誉挽回だ。 次は俺の命令聞けよ。」
「はい中尉!」
「みんなで1つの獣王隊だぞ。」
「はい!!」
出来の悪い部下だがサガミ中尉には親心すらあった。
獣王隊から孤立しているペップを何とか救いたいという気持ち。
ペップがそれに応えられるかどうかだった。
明日行われるのは獣王隊同士での模擬演習。
お互いの手の内を良く理解している。
その上戦い方も同じだ。
いつの日かそんな敵が現れた時に負けない様に。
大切な訓練だった。
大隊本部に着くとコカ大尉が地図を見ている。
「失礼します。 サガミ、ペップ入ります。」
「ご苦労。」
「作戦は決まりましたか?」
「相手はリークの大隊だ。 親友だからこそ手の内はお互い完璧にわかる。」
「何かお考えが。」
「そいつだよサガミ。」
コカが指差す先にはペップがいる。
驚いた表情でペップは立っている。
ペップが勝敗の鍵となる。
サガミは不思議そうにしている。
「どんなバカでもこれだけの事をすれば次は命令を聞かなくてはならないと思う。 実際、サガミに叱られてそう感じているだろ少尉。」
「は、はい大尉殿。」
「だから明日のお前には狡猾なバカになってもらう。」
「狡猾なバカ・・・」
「あえて命令と違う動きをしろ。」
驚きを隠せないペップとサガミは顔を見合わせるのだった。
明朝。
静かに森を進むコカ大隊はリーク大隊を待ち伏せるために潜伏している。
長年共に生き残ってきた2頭はお互いの戦略を完璧に理解している。
だからこそこの潜伏にも気がついている。
「大尉。 次はどうなさるので?」
「リーク達は今頃森を囲む様に動いているはず。 第2中隊を動かして丘を越えさせろ。 サガミ。 お前の中隊は真っ直ぐ平原に抜けるんだ。 ここを大隊司令部にする。」
「森を1つの要塞にするのですか?」
「そうだ。 リーク達もうかつに森には入って来ないからな。」
森を素早く動ける半獣族にしかできない戦術だ。
木々の多い森の中でなら目視でコカ達を見る事はできない。
しかし強引に森の中に入れば待ち伏せしている分、同じ半獣族でもコカの大隊が有利だった。
そして慎重な性格のリークは強引には入って来ないと知っていた。
森を要塞化して中隊を放つ。
包囲しているリーク大隊は何処から敵が来るかわからない状況だった。
そして平原から奇襲をかけるサガミの中隊。
ペップはサガミからの命令を待っていた。
「どうしろって言うんだ・・・」
「なになにー?」
「ルルーまた命令違反しろって言うんだよ・・・」
「ええー? なんで? しろってなによー?」
「それが作戦なんだって・・・」
そして次の瞬間。
サガミと中隊はライフルを撃ちながら突撃を開始した。
ある程度近づくとライフルを背中に戻して四足歩行になった。
進撃速度が大幅に速くなる。
突然の奇襲に驚くリーク大隊。
森を包囲していた事で兵力が分散している。
「今だー!!!! ペップ小隊!! 真っ直ぐ抜けて相手の中隊長を倒してこい!!」
「えーっとその命令違反は・・・」
「あーわかったあー! 真っ直ぐ抜けないで周囲にいる小隊長をやっつける!!」
「それだ!!」
だからこそあえて叫んだのだ。
あえてペップと名指しで。
第1小隊と呼ぶのではなく「ペップ小隊」と。
今やペップは獣王隊6000頭の誰もが知っている問題児。
自分勝手で命令なんて聞くはずがない。
しかし我らがお頭を泣かして、何度も怒られた。
街のチンピラから兵士にさすがになれたと思っている。
何よりこの期に及んでまだ命令違反をするならもはや獣王には必要ない。
獣王の士官達は誰もがそう思っていた。
だからこそ。
またしてもペップが命令違反をして違う動きをする事に意味がある。
リーク大隊の中隊長はペップに備えて自分の周りに部隊を集めた。
何個も小隊が固まっている。
だがそれには当然端があり、ペップはその端にいる小隊長を狙った。
「ルルお前さすがだぜ!!」
「へっへーんガオオオオオオオッ!!!」
「ペップ小隊!! 飛び込め!!!」
『ガルルルルッ!!』
ペップは次々に小隊長を倒していった。
実戦で冴え渡るペップの戦闘本能は他の士官を相手にもしなかった。
そしてペップの後ろに付いているルルを含むペップ小隊の凄まじさときたら。
まるで呂布軍の突撃を思い出させるほどだった。
「何も怖くなんかないよー! だって今回こそはペップが私達の前にいるからねー! ガオオオオオッ!!!」
ペップは少しずつ。
獣王の顔へと成長し始めていた。
何度でも命令違反をするペップにリーク大隊は動揺が隠せない。
小隊長が次々に倒されてペップが迫っている。
サガミ中尉と中隊も一気に前進してリークの中隊を倒す勢いだった。
しかし肝心のリークがいない。
すると森の中から笛が聞こえる。
甲高い音の笛。
するとペップは攻撃を止めて直ぐに森へと引き返した。
ペップだけではない。
ルルも下士官達までも一目散に撤退していった。
「サガミ中尉!!」
「不味いぞペップ!! 本部が奇襲された。 おかしい。 コカ大尉の話では森には入って来ないはずだと。」
「とにかく急ぎましょう!!」
「ああ! 中隊四足歩行!!!」
森に戻るとそこでは大乱戦となっていた。
サガミ達の奇襲は予想外だったが森への奇襲も予想外だ。
これがお互いを理解しているという事だ。
リークは森へは入って来ないと考えるコカの判断を想定していた。
だからこそあえて突入する事で大混乱になった。
普段のリークなら森を包囲して徐々に攻めてくる。
しかし今回はサガミ達が森を出るのを確認すると入れ替わる様に攻め込んできた。
包囲陣形を展開した理由は2つ。
1つはいつもの慎重なリークと見せかけるため。
もう1つは奇襲部隊がどの方向から出てきても対応できるためだった。
奇襲を受けた部隊が即座に囮になって他の部隊が森へ攻め込むという作戦だった。
見事に成功したリークの作戦。
森の中で半獣族達が死闘を繰り広げている。
ペップもその乱戦に参加した。
「やられたっ!」
「どうするペップー!」
「いたずらに乱戦していてもな。 こうなったらリーク大尉を狙うしかない。」
「ほ、本当に!?」
「ああ。 1頭じゃ勝てなくても小隊でかかれば勝てるさ。」
ペップはリークを探して乱戦の中を進んだ。
肩に赤い腕章をしているのが味方のコカ大隊。
黄色がリーク大隊。
それを目印に黄色の腕章が集まる場所へと向かった。
「随分増えてきたな。」
「じゃあ大尉いるかもね!」
「木に登るぞ。」
「飛び降りる?」
「それしかない。」
木の上を進んでリークの元を目指す。
もしこれが成功すればペップは大手柄だ。
緊張した様子で静かに木の上を進む。
すると冷静な表情で指揮するリークを見つけた。
そして。
「行け!!!!!」
『ガルルルルッ!!!!』
木の上から一斉に飛び降りたペップと小隊。
リークは上を向いてペップを見ていた。
しかし焦る様子はなかった。
次の瞬間ペップ達は見えない何かの上で動けなくなっている。
「僕が頭上の敵に警戒しないとでも? 蜘蛛の巣を真似て作った糸だ。 残念だったな問題児。」
リークは獣王隊の中でも戦略に長けている士官の1頭だ。
ペップの決死の攻撃は失敗した。
その後の戦闘もコカが捕縛されて終わった。
ペップの勇敢な行動も戦略の前には無意味と知らされた戦いとなった。
若き猛獣は少しずつ成長している。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説


結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる