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二人の秘密。二人の約束。
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みんなが帰ったオフィスで、一人取り残されて仕事をする。
タイムカードはきってあり、残業扱いにはならない。
僕はみんなより仕事が遅い。それはおっとりしているからとかじゃなく、要領が悪いせいだろう。
ブラックの缶コーヒーを飲み干すと、缶を捨てるために席を立つ。
通路にもうけられたゴミ箱に捨てると、ついでだからトイレに寄ることにする。
こういう時には要領の良いことを思いつくのに、何故仕事に生かせないのだろうと一人自嘲する。
そしてトイレに入ると、小便器へと歩いて行く。
すると課長の村上が大便器の個室の中で便座を台にして何かをやっていた。
何をやっているのだろうと思い、僕は、「課長、何をしているんですか?」と訊く。
すると課長は体をビクッとさせ、その拍子に便器から落ちた。
「課長っ大丈夫ですか!」
駆け寄ると課長は「だ、大丈夫だ」と言って何かを探し始めた。
何を探しているのだろうと僕は思い、足下を見ると、小型のカメラが落ちていた。
課長はカメラを見られたせいか、顔が青ざめている。
「課長。まさかとは思いますが盗撮をしようとしていたんですか?」
僕が問い詰めると課長は、
「すまない、何でもするからこの件をみんなには黙っておいてくれ」
そう言って土下座する。
僕は願い事なんてどうでもよかった。ただ、頭に浮かぶのは課長もゲイなのではないかという期待だった。
だから僕は課長に訊いた。
「あの、もしかして課長はゲイなんですか?」
すると課長は頬を紅潮させた。
間違いない。と僕は思った。だから、
「実は僕もゲイなんです。だから、その、さっき言った『何でもする』っていうのを、僕とゲイ友達になってもらいたい、ていうことにするのは可能ですか?」
それを聞いて課長は目を輝かせ、
「もちろんオーケーだ」
と言いながら僕の手を握った。
男性に手をぎゅっと握られた事がなかった僕は、恥ずかしくなって赤面した。
手を離すと課長は真剣な眼差しで、
「今日、家来るか?」
と言った。
その言葉の真意を僕は直感で感じた。
まだお互いを知らない上で『行為』を行うのは早計すぎないかと思い、断ろうとしたが、課長が抱きつき、
「痛くしないからおいで」
と耳元で囁いた。
僕の精神が崩壊する。
「ちょっとだけなら、お邪魔します」
僕はそう言うと、残りの仕事を終わらせるためにデスクに戻った。
すると課長は、
「半分手伝うよ」
と言って、僕のデスクから仕事を半分持っていって、課長のデスクで仕事を手伝い始めた。
優しい・・・・・・。
僕は課長のことを改めて観察した。
垂れ目に宿るどこまでも引き込まれそうな黒い瞳。ちょっと白髪頭なのが男としての魅力を高めている。体も引き締まっていて、さっき抱きしめられた時には微かなシトラスの香水のにおいがした。
僕よりも頭一つ背が高くて、大人の中の大人という雰囲気を醸し出している。
そんな事より仕事をしなければ、と思い仕事に集中する。
結局終わったのは夜の十一時だった。
「それじゃ、一緒に帰ろうか。車をまわしてくるから玄関で待っていてくれ」
そう言って課長は駐車場のある方へと歩いて行った。
数分後、白いセダンが玄関前に止まった。
パワーウィンドウが下がり、
「乗ってくれ」
と、課長が僕に喋る。
僕はドキドキしながらも、助手席に乗りこんだ。
シートベルトを締めると、課長は車を発進させた。
数十分走ったところで、車が止まる。
どうやら課長の家に着いたようである。
そういえば、と僕は思った。課長は既婚者じゃなかったっけ?
でも、家に誘われたって事は『行為』をすることだろう。それとも僕が勘違いしていた?
そんな僕の心などお構いなしに課長は家のドアを静かに開けた。
靴を脱ぐと、課長は「牧田の靴は私の寝室に持っていこう」
と言って、牧田の靴を回収した。
リビングを通った時、女性が一人こたつの中で眠っているのを見た。
きっとこの人が奥さんなのだろうと僕は思い、これからなされることに対して罪悪感を抱く。
「さ、ここが寝室。本当はシャワーを浴びたいけど妻が起きるのはまずいからね。今日は汗臭いかもしれないけど、このままやろう」
そう言って課長が脱ぎ出す。
僕も服を脱いだ。
そして二人ベッドの中に入る。
「初めて・・・・・・なんだよな」
課長が耳を舐めながら僕に聞いてくる。
僕は体がゾクゾクするのを感じながらも、「はい、そうです」と答えた。
課長の手が、肛門を撫でる。そして課長はベッドに潜り込むと、僕の肛門を舐めだした。
初めての感覚に僕は戸惑う。気持ち良い? ちょっとくすぐったい?
そんな僕を置き去りにして課長は攻めてくる。
指を僕の肛門の中に入れてきたのだ。
「あ、ああ・・・・・・」
自然と声が漏れる。感じているわけじゃないのに。
僕は怖くなってきてベッドから抜け出すと、服を着だした。
「牧田。今からが最高の時間になるんだぞ」
と言う課長の言葉を背に、僕は靴を持って静かに家を出た。
帰りの電車の中、ずっと肛門に違和感を感じていた。
男同士でやるにはこれを超えなければならないのか・・・・・・。
そんな事を考えていると、僕が降りる駅に着いた。
課長には申し訳ないことをしたな、と思いながら歩いて行く。
そしてこれ以上課長に関わるのはやめようかとも思った。
だって課長には奥さんがいるのだし。
もし奥さんにバレたら、きっと奥さんを傷つけることになるだろう。そんなの駄目だ。
だから、今日だけ。
そう。今日だけ。
そんな事を考えていたらもうアパートの前に来ていた。
僕はドアを開けて、鞄を投げ捨て、ネクタイを緩めると、ベッドに飛び込み、そして寝ようとしたが、
体が眠気を受け入れない。そして僕はいつの間にか中指で肛門を撫でていた。
そしてもっと感じたくなった僕は、下半身裸になり、中指を肛門の中へ入れようとして、やめた。
もし入れてしまったらもう戻れない気がして。
僕はシャワーを浴びると、見たかったバラエティー番組も見ずに、ベッドに潜り込んで寝た。
浅い眠りの中、僕は課長と『行為』の続きをしている夢を見た。
タイムカードはきってあり、残業扱いにはならない。
僕はみんなより仕事が遅い。それはおっとりしているからとかじゃなく、要領が悪いせいだろう。
ブラックの缶コーヒーを飲み干すと、缶を捨てるために席を立つ。
通路にもうけられたゴミ箱に捨てると、ついでだからトイレに寄ることにする。
こういう時には要領の良いことを思いつくのに、何故仕事に生かせないのだろうと一人自嘲する。
そしてトイレに入ると、小便器へと歩いて行く。
すると課長の村上が大便器の個室の中で便座を台にして何かをやっていた。
何をやっているのだろうと思い、僕は、「課長、何をしているんですか?」と訊く。
すると課長は体をビクッとさせ、その拍子に便器から落ちた。
「課長っ大丈夫ですか!」
駆け寄ると課長は「だ、大丈夫だ」と言って何かを探し始めた。
何を探しているのだろうと僕は思い、足下を見ると、小型のカメラが落ちていた。
課長はカメラを見られたせいか、顔が青ざめている。
「課長。まさかとは思いますが盗撮をしようとしていたんですか?」
僕が問い詰めると課長は、
「すまない、何でもするからこの件をみんなには黙っておいてくれ」
そう言って土下座する。
僕は願い事なんてどうでもよかった。ただ、頭に浮かぶのは課長もゲイなのではないかという期待だった。
だから僕は課長に訊いた。
「あの、もしかして課長はゲイなんですか?」
すると課長は頬を紅潮させた。
間違いない。と僕は思った。だから、
「実は僕もゲイなんです。だから、その、さっき言った『何でもする』っていうのを、僕とゲイ友達になってもらいたい、ていうことにするのは可能ですか?」
それを聞いて課長は目を輝かせ、
「もちろんオーケーだ」
と言いながら僕の手を握った。
男性に手をぎゅっと握られた事がなかった僕は、恥ずかしくなって赤面した。
手を離すと課長は真剣な眼差しで、
「今日、家来るか?」
と言った。
その言葉の真意を僕は直感で感じた。
まだお互いを知らない上で『行為』を行うのは早計すぎないかと思い、断ろうとしたが、課長が抱きつき、
「痛くしないからおいで」
と耳元で囁いた。
僕の精神が崩壊する。
「ちょっとだけなら、お邪魔します」
僕はそう言うと、残りの仕事を終わらせるためにデスクに戻った。
すると課長は、
「半分手伝うよ」
と言って、僕のデスクから仕事を半分持っていって、課長のデスクで仕事を手伝い始めた。
優しい・・・・・・。
僕は課長のことを改めて観察した。
垂れ目に宿るどこまでも引き込まれそうな黒い瞳。ちょっと白髪頭なのが男としての魅力を高めている。体も引き締まっていて、さっき抱きしめられた時には微かなシトラスの香水のにおいがした。
僕よりも頭一つ背が高くて、大人の中の大人という雰囲気を醸し出している。
そんな事より仕事をしなければ、と思い仕事に集中する。
結局終わったのは夜の十一時だった。
「それじゃ、一緒に帰ろうか。車をまわしてくるから玄関で待っていてくれ」
そう言って課長は駐車場のある方へと歩いて行った。
数分後、白いセダンが玄関前に止まった。
パワーウィンドウが下がり、
「乗ってくれ」
と、課長が僕に喋る。
僕はドキドキしながらも、助手席に乗りこんだ。
シートベルトを締めると、課長は車を発進させた。
数十分走ったところで、車が止まる。
どうやら課長の家に着いたようである。
そういえば、と僕は思った。課長は既婚者じゃなかったっけ?
でも、家に誘われたって事は『行為』をすることだろう。それとも僕が勘違いしていた?
そんな僕の心などお構いなしに課長は家のドアを静かに開けた。
靴を脱ぐと、課長は「牧田の靴は私の寝室に持っていこう」
と言って、牧田の靴を回収した。
リビングを通った時、女性が一人こたつの中で眠っているのを見た。
きっとこの人が奥さんなのだろうと僕は思い、これからなされることに対して罪悪感を抱く。
「さ、ここが寝室。本当はシャワーを浴びたいけど妻が起きるのはまずいからね。今日は汗臭いかもしれないけど、このままやろう」
そう言って課長が脱ぎ出す。
僕も服を脱いだ。
そして二人ベッドの中に入る。
「初めて・・・・・・なんだよな」
課長が耳を舐めながら僕に聞いてくる。
僕は体がゾクゾクするのを感じながらも、「はい、そうです」と答えた。
課長の手が、肛門を撫でる。そして課長はベッドに潜り込むと、僕の肛門を舐めだした。
初めての感覚に僕は戸惑う。気持ち良い? ちょっとくすぐったい?
そんな僕を置き去りにして課長は攻めてくる。
指を僕の肛門の中に入れてきたのだ。
「あ、ああ・・・・・・」
自然と声が漏れる。感じているわけじゃないのに。
僕は怖くなってきてベッドから抜け出すと、服を着だした。
「牧田。今からが最高の時間になるんだぞ」
と言う課長の言葉を背に、僕は靴を持って静かに家を出た。
帰りの電車の中、ずっと肛門に違和感を感じていた。
男同士でやるにはこれを超えなければならないのか・・・・・・。
そんな事を考えていると、僕が降りる駅に着いた。
課長には申し訳ないことをしたな、と思いながら歩いて行く。
そしてこれ以上課長に関わるのはやめようかとも思った。
だって課長には奥さんがいるのだし。
もし奥さんにバレたら、きっと奥さんを傷つけることになるだろう。そんなの駄目だ。
だから、今日だけ。
そう。今日だけ。
そんな事を考えていたらもうアパートの前に来ていた。
僕はドアを開けて、鞄を投げ捨て、ネクタイを緩めると、ベッドに飛び込み、そして寝ようとしたが、
体が眠気を受け入れない。そして僕はいつの間にか中指で肛門を撫でていた。
そしてもっと感じたくなった僕は、下半身裸になり、中指を肛門の中へ入れようとして、やめた。
もし入れてしまったらもう戻れない気がして。
僕はシャワーを浴びると、見たかったバラエティー番組も見ずに、ベッドに潜り込んで寝た。
浅い眠りの中、僕は課長と『行為』の続きをしている夢を見た。
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