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第30話 不穏な変化2
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もっとも、セユンはクロエの感情を特に気にしていないようだし、リリンも同様で、一人でクロエがカリカリしているだけのようなのだが。
しかし、クロエのいうことももっともだろう。
身長はどうしようもないけれど、体重など自分の努力でなんとかなりそうなものは気を付けないと。
そんな中、サティの明るい声がした。
「はいはーい、じゃあ、こっちでレティエさん計りましょうかね」
緊迫する空気の中、隣の部屋にサティに引きずり込まれる。二人で入り扉が閉まると囁かれた。
「本当に、レティエさんは気にしたらダメだよ?」
「ありがとうございます……」
「でもどうしたのかな。セユンさんはともかく、リリンさんがクロエさんにあんな風なこと言うの、初めて見たかも……」
「え?」
サティは私の服を脱がすのを手伝いながら教えてくれた。
「私は紹介でプリメールに入ったんだけど、セユンさんとクロエさんってこちらの伯爵家ゆかりの人で、リリンさんはそこに勤めてた人みたいなんだよね。だから、リリンさんってセユンさんだけでなくクロエさんにもどっか引いてる感じあってさ……。昔の上司みたいな感じなの? よくわからないけど。でもね、今までも何人もクロエさんが雇われたモデルが気に入らなくて、やり合ったこともあったんだけれど、こんなに表立ってモデルをリリンさんがかばうのって、レティエさんが初めてなんだよ?」
どうやらサティはセユンがこの伯爵家の当主であり伯爵であるということを知らないようだ。
「そうなんですか……人前で私の体型のことを言ってしまったことへの申し訳なさからでしょうかね?」
「うーん、でもモデルの体型のことは、情報共有しなきゃいけないから、それをリリンさんが申し訳ないと思うことはないと思うんだよね」
確かにそれもそうだ。
「私も、レティエさん好きだから、なるべくだったら辞めないで長くいてほしいと思ってる! ちょっと真面目すぎて心配だけどね!」
サティが私を励まそうとしてくれているのが分かり、思わず微笑んでしまった。私をこのブティックに必要と思ってくれる人がいる……頼られるということがこんなに嬉しいなんて。
家に居場所は見つけられなかったけれど、私はここに居場所を見つけられたんだ、と思うとなぜか泣きたくなる。実際に涙をこぼすようなことはしなかったけれど、胸の中心と耳の下の部分がきゅうっとなるような気持ちは、一生忘れないだろう。
計測の結果、やはり私の身長が伸びていることがわかり、それに伴って肩幅や腕回りなどもわずかに増えていたようだった。
「型紙やトルソーの修正しとくから任しておいてね」
サティの太鼓判は嬉しいが、どこまで自分の身長が伸びていくことやら……。既にもう小柄なミレーヌとは頭1つ分以上身長差があるというのに。並みいる男性を見下ろすほどに伸びるとは思わないけれど、遠慮したい。
部屋に戻るとクロエとリリンはもういなくなっていた。
リリンはともかく、やはりサイズが変わっている私の結果を見てクロエに嫌味を言われるのは嫌だったので、クロエがいないでいてくれて、ちょっとほっとしてしまった。
「レティエくん、これ」
作業が一通り終わり、休んでいた時だった。
セユンが大きな紙袋を私の方に突きつけてくる。
「え? なんですか?」
「春以降の新作小物の詰め合わせ。数少ないけれどストッキングも入っているよ。帽子はかさばるからまた今度ね」
「ストッキング!? いただけませんよ、そんなもの!」
下手すれば一足だけでフォーマルドレス一着より高くつくというのに。
「いや、これは賄賂だから、君は俺の秘密を握っているんだからさ、君は。これくらい貢いどかないと危ないでしょ」
「なんて言い方するんですか」
こんな涼しい顔で賄賂を渡してくる人を初めて見た気がする。
小声でセユンに耳打ちをする。
「こんなものいただかなくても、誰にも話しませんよ!」
大体、私に噂をまきちらかすような交友関係はないのだし。せいぜいミレーヌに言うくらいだ。
そう言って返そうとしたんだが、こう見えて押しが強い人なのを忘れていた。諦めてそれを受け取って、はぁ、とため息をついた。
「もしかして他にも秘密抱えているんですか? でももう、貴方が他にも隠し玉があったとしても驚きませんけどね」
そう言ってじっとセユンを見つめたら。
なぜだろう。セユンがびくっと肩を揺らした気がする。気のせいだろうか。
紙袋を覗き込んで、トータルいくらの品かしら、とプリメールの店舗に陳列されているものを思い出して一人え焦っていたら、セユンが呟いた。
「なぁ、君はチェリー・レイモンドに会いたいか?」
「何ですか、唐突に」
本当にいきなりだ。面食らったが、はっと思い至った。今はチェリーは覆面作家として全て個人情報を公開されていないが、出版社としてはいつかは公開されるべきだと思っているのかもしれない。
そして一番身近にいる読者の私に、読者視点から考えを聴きたいのだろう。
ならば、ここはチェリー信者な私が忌憚ない意見を述べるべきだろう。
「そうですね……先生はサイン会とか公的な場所に顔を出さない方ですからね。仕事を理由に会いたいと思っちゃったことは否定しません」
コラボの話が出ていると聞いた時は、会いたい!と脳がいっぱいになったし、そのためなら何でもやる! と思った。しかし冷静になった今は、ちょっと考えが違う。
「でも、人前に出たくないという気持ちが私にはわかるので、無理にとはいいません。あんなに素敵な作品を書かれるのだから、きっと素敵な方だと信じたいので、私の中でこっそり想像するのも楽しいですし」
「そうか」
セユンは頷いている。
元々私は人前に出るのは苦手だし、人付き合いだってミレーヌに任せて、ほとんどしていなかった。そんな私が相手に対してだけは表に出てこいというのは図々しい願いだろう。
それにかの人は私なんかよりもっと影響力の強い人なのだから。
「あ、その中にはフリーサイズのものばかりだから安心してくれな」
袋の中を気にしている私に、セユンがそう教えてくれる。心配そうにでも見えたのだろうか。
「……もしかして、慰めてくれてました?」
賄賂だなんて口実で、もしかしてサイズが変わってクロエに叱られた私を心配して、このプレゼントを選んできたのだろうかと思ってしまう。そうでなければ私のサイズを完璧に把握しているこの人が、あえてフリーサイズのものを選ぶはずがないから。
「そういうわけじゃないけどね。俺は太ったり痩せたりすることは人間なんだから当たり前だと思っているから。ただ、君がクロエの言いなりになって痩せぎすになったりするとしたら気に入らない」
「気に入らない?」
「不健康そうなモデルは嫌なんだ」
「私、不健康そうってずっと言われてきてるんですけれど」
「そう? とても快活な子だなって初めて会った時に思ったけれど? 色白と不健康は別なのにね」
色白すぎることも、背が高すぎることも全てコンプレックスだったことをこの人は美点だととらえてくれる。しかし皆がそうではない。
ああ、やはりセユンなりに私を励ましてくれていたのだとわかり、それならばと遠慮なくいただくことにした。
しかし、クロエのいうことももっともだろう。
身長はどうしようもないけれど、体重など自分の努力でなんとかなりそうなものは気を付けないと。
そんな中、サティの明るい声がした。
「はいはーい、じゃあ、こっちでレティエさん計りましょうかね」
緊迫する空気の中、隣の部屋にサティに引きずり込まれる。二人で入り扉が閉まると囁かれた。
「本当に、レティエさんは気にしたらダメだよ?」
「ありがとうございます……」
「でもどうしたのかな。セユンさんはともかく、リリンさんがクロエさんにあんな風なこと言うの、初めて見たかも……」
「え?」
サティは私の服を脱がすのを手伝いながら教えてくれた。
「私は紹介でプリメールに入ったんだけど、セユンさんとクロエさんってこちらの伯爵家ゆかりの人で、リリンさんはそこに勤めてた人みたいなんだよね。だから、リリンさんってセユンさんだけでなくクロエさんにもどっか引いてる感じあってさ……。昔の上司みたいな感じなの? よくわからないけど。でもね、今までも何人もクロエさんが雇われたモデルが気に入らなくて、やり合ったこともあったんだけれど、こんなに表立ってモデルをリリンさんがかばうのって、レティエさんが初めてなんだよ?」
どうやらサティはセユンがこの伯爵家の当主であり伯爵であるということを知らないようだ。
「そうなんですか……人前で私の体型のことを言ってしまったことへの申し訳なさからでしょうかね?」
「うーん、でもモデルの体型のことは、情報共有しなきゃいけないから、それをリリンさんが申し訳ないと思うことはないと思うんだよね」
確かにそれもそうだ。
「私も、レティエさん好きだから、なるべくだったら辞めないで長くいてほしいと思ってる! ちょっと真面目すぎて心配だけどね!」
サティが私を励まそうとしてくれているのが分かり、思わず微笑んでしまった。私をこのブティックに必要と思ってくれる人がいる……頼られるということがこんなに嬉しいなんて。
家に居場所は見つけられなかったけれど、私はここに居場所を見つけられたんだ、と思うとなぜか泣きたくなる。実際に涙をこぼすようなことはしなかったけれど、胸の中心と耳の下の部分がきゅうっとなるような気持ちは、一生忘れないだろう。
計測の結果、やはり私の身長が伸びていることがわかり、それに伴って肩幅や腕回りなどもわずかに増えていたようだった。
「型紙やトルソーの修正しとくから任しておいてね」
サティの太鼓判は嬉しいが、どこまで自分の身長が伸びていくことやら……。既にもう小柄なミレーヌとは頭1つ分以上身長差があるというのに。並みいる男性を見下ろすほどに伸びるとは思わないけれど、遠慮したい。
部屋に戻るとクロエとリリンはもういなくなっていた。
リリンはともかく、やはりサイズが変わっている私の結果を見てクロエに嫌味を言われるのは嫌だったので、クロエがいないでいてくれて、ちょっとほっとしてしまった。
「レティエくん、これ」
作業が一通り終わり、休んでいた時だった。
セユンが大きな紙袋を私の方に突きつけてくる。
「え? なんですか?」
「春以降の新作小物の詰め合わせ。数少ないけれどストッキングも入っているよ。帽子はかさばるからまた今度ね」
「ストッキング!? いただけませんよ、そんなもの!」
下手すれば一足だけでフォーマルドレス一着より高くつくというのに。
「いや、これは賄賂だから、君は俺の秘密を握っているんだからさ、君は。これくらい貢いどかないと危ないでしょ」
「なんて言い方するんですか」
こんな涼しい顔で賄賂を渡してくる人を初めて見た気がする。
小声でセユンに耳打ちをする。
「こんなものいただかなくても、誰にも話しませんよ!」
大体、私に噂をまきちらかすような交友関係はないのだし。せいぜいミレーヌに言うくらいだ。
そう言って返そうとしたんだが、こう見えて押しが強い人なのを忘れていた。諦めてそれを受け取って、はぁ、とため息をついた。
「もしかして他にも秘密抱えているんですか? でももう、貴方が他にも隠し玉があったとしても驚きませんけどね」
そう言ってじっとセユンを見つめたら。
なぜだろう。セユンがびくっと肩を揺らした気がする。気のせいだろうか。
紙袋を覗き込んで、トータルいくらの品かしら、とプリメールの店舗に陳列されているものを思い出して一人え焦っていたら、セユンが呟いた。
「なぁ、君はチェリー・レイモンドに会いたいか?」
「何ですか、唐突に」
本当にいきなりだ。面食らったが、はっと思い至った。今はチェリーは覆面作家として全て個人情報を公開されていないが、出版社としてはいつかは公開されるべきだと思っているのかもしれない。
そして一番身近にいる読者の私に、読者視点から考えを聴きたいのだろう。
ならば、ここはチェリー信者な私が忌憚ない意見を述べるべきだろう。
「そうですね……先生はサイン会とか公的な場所に顔を出さない方ですからね。仕事を理由に会いたいと思っちゃったことは否定しません」
コラボの話が出ていると聞いた時は、会いたい!と脳がいっぱいになったし、そのためなら何でもやる! と思った。しかし冷静になった今は、ちょっと考えが違う。
「でも、人前に出たくないという気持ちが私にはわかるので、無理にとはいいません。あんなに素敵な作品を書かれるのだから、きっと素敵な方だと信じたいので、私の中でこっそり想像するのも楽しいですし」
「そうか」
セユンは頷いている。
元々私は人前に出るのは苦手だし、人付き合いだってミレーヌに任せて、ほとんどしていなかった。そんな私が相手に対してだけは表に出てこいというのは図々しい願いだろう。
それにかの人は私なんかよりもっと影響力の強い人なのだから。
「あ、その中にはフリーサイズのものばかりだから安心してくれな」
袋の中を気にしている私に、セユンがそう教えてくれる。心配そうにでも見えたのだろうか。
「……もしかして、慰めてくれてました?」
賄賂だなんて口実で、もしかしてサイズが変わってクロエに叱られた私を心配して、このプレゼントを選んできたのだろうかと思ってしまう。そうでなければ私のサイズを完璧に把握しているこの人が、あえてフリーサイズのものを選ぶはずがないから。
「そういうわけじゃないけどね。俺は太ったり痩せたりすることは人間なんだから当たり前だと思っているから。ただ、君がクロエの言いなりになって痩せぎすになったりするとしたら気に入らない」
「気に入らない?」
「不健康そうなモデルは嫌なんだ」
「私、不健康そうってずっと言われてきてるんですけれど」
「そう? とても快活な子だなって初めて会った時に思ったけれど? 色白と不健康は別なのにね」
色白すぎることも、背が高すぎることも全てコンプレックスだったことをこの人は美点だととらえてくれる。しかし皆がそうではない。
ああ、やはりセユンなりに私を励ましてくれていたのだとわかり、それならばと遠慮なくいただくことにした。
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