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三者面談
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今日は雨の日曜日。
休みだからといって外に遊びに出るという習慣があるわけでもないインドア派は、動画を見るくらいしか時間を潰せない。
ごろごろだらだらしていたら自宅の方の電話が鳴った。
このご時世固定電話がない家の方が多いと思うのだけれど、母はこれがあるのが当たり前だと思っているのだろう、なくすという発想すらないようだった。
表示を見たらやたらと数字の羅列が長い。
そんな電話を掛けてくる相手の心当たりは一人しかいないのだが、電話をかけてくる理由が見つからずに半信半疑で受話器を取る。
「もしもし」
『あ、祥ちゃん?』
案の定、なんとなく聞き覚えのある声がした。もうその声すら忘れそうなくらい遠い存在だったけれど。
「お父さん? 何があったの!?」
親子だというのに何かあった時にしか電話をかけてこない間柄というのもなかなか悲しいものがあるが、これが我が家の現実なので仕方がない。
まず何かの事件を疑ってしまうのも切ないかもしれないが。
『ううん、カード送ったのに、お母さんから全然返事がないから心配して電話かけただけ』
「あー、お母さんたぶんまだ見てないよ」
自分が仕分けたまま、テーブルの上に放置されている郵便物の束を見ながらそう返事をすると、電話口で父はのんきに笑っていた。
カードを送られてきたら礼を電話で言うのが母の常だった。
「そんなことだと思った~。ショウちゃんは元気?」
「元気元気。生きてるよ。私もお母さんも。お父さんもちゃんと健康診断とか受けてる?」
「えーと、なんだっけ? ……日本語忘れちゃって言葉が出てこない……そう、人間ドックか、それはこないだ受けたよ。えーと……血液検査でえーとえーとニュートラルファットが……」
新しい情報を得るより「えーと」の方が多いのだが。
「……お父さん、英語で話していいよ? 私も英語で話そうか? 文法めちゃくちゃでよければ」
『いや、ここで日本語をちゃんと使わなきゃますます忘れるし、祥ちゃんの英語がおとーさんにうつったら会社の人と、えーと、意思疎通? できなくなりそうだからよしておくよ』
「失礼な親だなぁ……」
『だってショウちゃんが英語でお礼状書いてたの……添削したら、Meを主語にしてたし』
「まだ言うか! あれ、中学の時の話でしょ!」
『家族の間に時効はないよ』
「こういう時なのよ……娘が親に殺意を抱くのは……」
電話口で私がため息をついたのに向こうは陽気に笑っている。
『やだなぁ、祥ちゃん反抗期?』
「……反抗期というものはね、親がまともな時にのみ機能するんだよ」
『ははは、言われちゃった』
どうやらうちの父は、自分がまともでないということを自覚しているようだった。
それでも下らないやり取りをしている間に、日本語を思い出したのか、少しずつ父の言葉がなめらかに出てくるようになっているのが分かる。
『日本に合わないと思ったらお父さんとこにおいで。こっちはいつでもウエルカムだからね』
「ほんと日本が合わない人だよね……お父さんは」
『だからこっちに住んでるんだよ』
本当にやりたいことしかやらない人だなぁ。それを許す母も母だが。
電話を切って頭を掻いた。どうやら父は相変わらずらしい。
両親はこうして離れて暮らしていれば仲がいい。
一緒に暮らしたらストレスがたまるだけだと母は言っていたが、私からしたら、父よりまだ母の方が良識と常識があるにしても、似たもの同士だと思う。
「さっき、お父さんから電話あったよ」
今日は珍しく早く帰ってきた母にさっそく報告すると、首を傾げている。
「あら、珍しいわね。お父さんなんて言ってた?」
「ほら、お母さんの誕生日近いから、カード送ったって」
「あ、誕生日忘れてたわ。この歳だともう嬉しくないんだけどね……」
あったあった、とカードを郵便物の山から取り出して玄関に飾っている。
綺麗な風景写真のカードだ。
父から送られてくるこれらはここに飾ると暗黙のルールになっている。
「お父さん、そういうところ昔からマメなのよね」
日本に住んでいないからか、父の方が日本の季節に敏感になって、この家に季節を持ち込んでくれている。
その本人は日本を捨てて常夏の国に住んでいるくせに。
私と母は堕落して、正月にお雑煮を食べたりおせちを食べたりという風習もなくなってしまった。人間なんてどこかでストッパーがないと、どんどんと堕落していくものだ。
「ねえ、電話、解約しないの? あんまり使わないのにもったいなくない?」
「こっちで電話しないと、喋ってる感じがしないのよね」
「そんなこと考えたことなかったよ」
電話なんて用事を伝える手段だと思っているから、喋っている時の使い心地とか、そういうのを意識する感覚がなかった。そういうことに心地よさを感じる人が長電話をするのだろうか。
しかし母はそういうが、彼女が自分から電話をかけるのを見たことがない。その相手なんて父くらいだ。
固定電話は音質がいいから、合成音が採用されるスマートフォンとは違って、肉声に近い声でやり取りができる。もしかして母は、声だけでも父を感じたくて固定電話にしているのだろうか。
夫婦ってわからないもんだな、とわかった口を利いたらきっと、また母につつかれてしまいそうだ。
「今度、三者面談あるみたいだから、顔出してくれる?」
夕ご飯を食べながら、そう報告すると、母はさっそく手帳を取り出している。
「もうそんな時期になるのね……わかった。予定調整できると思うからしとく」
「大丈夫なの?」
「うん、今は、どうしても私じゃないとダメな仕事入ってないから……で、貴方、将来どうするか決めてるの?」
「……まだ」
高校に入ってから、学校の行事に顔を出さないでいいと母に告げていた。
私自身、母が来ても来なくてもどうでもよかったし、母の仕事が忙しいというのがわかっていたから負担になることはさせたくはなかった。
母は「来てほしくない気持ちがわかるから」とそれを受け止めて学校に来なかったから、入学式以来初めて娘の学校に来ることになる。
三者面談当日は、面談予定が入っている生徒以外は休みになる。
通常とは違い、がらんとした校内を母を連れて教室に行くのはなぜか引率している自分の方が緊張してしまう。これが大人の余裕なのか、母は彼女の母校でもないのにどこか懐かしそうに、物珍しそうに周囲を見回しながら歩いている。
少し早めに着いたというのに前の人の面談が早く終わっていたらしく、先生にもう教室内に招かれた。
「どうぞ、おかけになってください」
机を寄せて、教卓の前にスペースが作られている。
先生に促されるまま、私と母は隣同士で座った。
先生が私の前に座り、私の成績表や一か月前くらいに書かされていた進路予定表を用意されて、二人してそれを覗き込む。
うん、とても普通だ。
「前に進路予定表を出してもらったのだけど、未定部分が多くて進路指導も難しい状況ですね……貴方は進学するつもりなのよね?」
先生の目が私を鋭くとらえる。私は机の上に目線を落として、黙ってそれを受け止めていた。
「はぁ……一応はそのつもりです」
「志望校、まだ決まってないの? もう三年生になるわよ?」
「…………」
「そろそろ真剣に考えないと、入試の日は待ってくれないよ?」
先生がじっと私の目を覗き込むようにして訴えかけてくる。
先生の心配も、言いたいこともわかるが、うーんと深く深く考えて、自分の夢とか未来とかそういうものは転がり落ちてくるものなのだろうか。
私からしたら、当たり前のように未来への道が一つ収束していくことの方が異常に思えてならないのだけれど。
だから、選べない。いや、選ぶというより選択肢すら見つからない。
大学進学と言っているのだって、この学校でそうする人が多いからその方がよさそうだと思って言ってるだけだ。
母は我関せずというように薄く微笑んだまま、私と先生の様子を黙って見ている。
私の態度でこのままでは埒が明かないと思ったらしい先生は、小さくため息をつくと母の方に顔を向けた。
「まずは、ご家族で将来について話し合われるのがよいと思います」
母は何も言わず、その言葉に小さく頷いた。
話はそのまま進路指導ではなく、私の授業態度や日常生活などの雑談に切り替わり、その時間は静かに過ぎていった。
休みだからといって外に遊びに出るという習慣があるわけでもないインドア派は、動画を見るくらいしか時間を潰せない。
ごろごろだらだらしていたら自宅の方の電話が鳴った。
このご時世固定電話がない家の方が多いと思うのだけれど、母はこれがあるのが当たり前だと思っているのだろう、なくすという発想すらないようだった。
表示を見たらやたらと数字の羅列が長い。
そんな電話を掛けてくる相手の心当たりは一人しかいないのだが、電話をかけてくる理由が見つからずに半信半疑で受話器を取る。
「もしもし」
『あ、祥ちゃん?』
案の定、なんとなく聞き覚えのある声がした。もうその声すら忘れそうなくらい遠い存在だったけれど。
「お父さん? 何があったの!?」
親子だというのに何かあった時にしか電話をかけてこない間柄というのもなかなか悲しいものがあるが、これが我が家の現実なので仕方がない。
まず何かの事件を疑ってしまうのも切ないかもしれないが。
『ううん、カード送ったのに、お母さんから全然返事がないから心配して電話かけただけ』
「あー、お母さんたぶんまだ見てないよ」
自分が仕分けたまま、テーブルの上に放置されている郵便物の束を見ながらそう返事をすると、電話口で父はのんきに笑っていた。
カードを送られてきたら礼を電話で言うのが母の常だった。
「そんなことだと思った~。ショウちゃんは元気?」
「元気元気。生きてるよ。私もお母さんも。お父さんもちゃんと健康診断とか受けてる?」
「えーと、なんだっけ? ……日本語忘れちゃって言葉が出てこない……そう、人間ドックか、それはこないだ受けたよ。えーと……血液検査でえーとえーとニュートラルファットが……」
新しい情報を得るより「えーと」の方が多いのだが。
「……お父さん、英語で話していいよ? 私も英語で話そうか? 文法めちゃくちゃでよければ」
『いや、ここで日本語をちゃんと使わなきゃますます忘れるし、祥ちゃんの英語がおとーさんにうつったら会社の人と、えーと、意思疎通? できなくなりそうだからよしておくよ』
「失礼な親だなぁ……」
『だってショウちゃんが英語でお礼状書いてたの……添削したら、Meを主語にしてたし』
「まだ言うか! あれ、中学の時の話でしょ!」
『家族の間に時効はないよ』
「こういう時なのよ……娘が親に殺意を抱くのは……」
電話口で私がため息をついたのに向こうは陽気に笑っている。
『やだなぁ、祥ちゃん反抗期?』
「……反抗期というものはね、親がまともな時にのみ機能するんだよ」
『ははは、言われちゃった』
どうやらうちの父は、自分がまともでないということを自覚しているようだった。
それでも下らないやり取りをしている間に、日本語を思い出したのか、少しずつ父の言葉がなめらかに出てくるようになっているのが分かる。
『日本に合わないと思ったらお父さんとこにおいで。こっちはいつでもウエルカムだからね』
「ほんと日本が合わない人だよね……お父さんは」
『だからこっちに住んでるんだよ』
本当にやりたいことしかやらない人だなぁ。それを許す母も母だが。
電話を切って頭を掻いた。どうやら父は相変わらずらしい。
両親はこうして離れて暮らしていれば仲がいい。
一緒に暮らしたらストレスがたまるだけだと母は言っていたが、私からしたら、父よりまだ母の方が良識と常識があるにしても、似たもの同士だと思う。
「さっき、お父さんから電話あったよ」
今日は珍しく早く帰ってきた母にさっそく報告すると、首を傾げている。
「あら、珍しいわね。お父さんなんて言ってた?」
「ほら、お母さんの誕生日近いから、カード送ったって」
「あ、誕生日忘れてたわ。この歳だともう嬉しくないんだけどね……」
あったあった、とカードを郵便物の山から取り出して玄関に飾っている。
綺麗な風景写真のカードだ。
父から送られてくるこれらはここに飾ると暗黙のルールになっている。
「お父さん、そういうところ昔からマメなのよね」
日本に住んでいないからか、父の方が日本の季節に敏感になって、この家に季節を持ち込んでくれている。
その本人は日本を捨てて常夏の国に住んでいるくせに。
私と母は堕落して、正月にお雑煮を食べたりおせちを食べたりという風習もなくなってしまった。人間なんてどこかでストッパーがないと、どんどんと堕落していくものだ。
「ねえ、電話、解約しないの? あんまり使わないのにもったいなくない?」
「こっちで電話しないと、喋ってる感じがしないのよね」
「そんなこと考えたことなかったよ」
電話なんて用事を伝える手段だと思っているから、喋っている時の使い心地とか、そういうのを意識する感覚がなかった。そういうことに心地よさを感じる人が長電話をするのだろうか。
しかし母はそういうが、彼女が自分から電話をかけるのを見たことがない。その相手なんて父くらいだ。
固定電話は音質がいいから、合成音が採用されるスマートフォンとは違って、肉声に近い声でやり取りができる。もしかして母は、声だけでも父を感じたくて固定電話にしているのだろうか。
夫婦ってわからないもんだな、とわかった口を利いたらきっと、また母につつかれてしまいそうだ。
「今度、三者面談あるみたいだから、顔出してくれる?」
夕ご飯を食べながら、そう報告すると、母はさっそく手帳を取り出している。
「もうそんな時期になるのね……わかった。予定調整できると思うからしとく」
「大丈夫なの?」
「うん、今は、どうしても私じゃないとダメな仕事入ってないから……で、貴方、将来どうするか決めてるの?」
「……まだ」
高校に入ってから、学校の行事に顔を出さないでいいと母に告げていた。
私自身、母が来ても来なくてもどうでもよかったし、母の仕事が忙しいというのがわかっていたから負担になることはさせたくはなかった。
母は「来てほしくない気持ちがわかるから」とそれを受け止めて学校に来なかったから、入学式以来初めて娘の学校に来ることになる。
三者面談当日は、面談予定が入っている生徒以外は休みになる。
通常とは違い、がらんとした校内を母を連れて教室に行くのはなぜか引率している自分の方が緊張してしまう。これが大人の余裕なのか、母は彼女の母校でもないのにどこか懐かしそうに、物珍しそうに周囲を見回しながら歩いている。
少し早めに着いたというのに前の人の面談が早く終わっていたらしく、先生にもう教室内に招かれた。
「どうぞ、おかけになってください」
机を寄せて、教卓の前にスペースが作られている。
先生に促されるまま、私と母は隣同士で座った。
先生が私の前に座り、私の成績表や一か月前くらいに書かされていた進路予定表を用意されて、二人してそれを覗き込む。
うん、とても普通だ。
「前に進路予定表を出してもらったのだけど、未定部分が多くて進路指導も難しい状況ですね……貴方は進学するつもりなのよね?」
先生の目が私を鋭くとらえる。私は机の上に目線を落として、黙ってそれを受け止めていた。
「はぁ……一応はそのつもりです」
「志望校、まだ決まってないの? もう三年生になるわよ?」
「…………」
「そろそろ真剣に考えないと、入試の日は待ってくれないよ?」
先生がじっと私の目を覗き込むようにして訴えかけてくる。
先生の心配も、言いたいこともわかるが、うーんと深く深く考えて、自分の夢とか未来とかそういうものは転がり落ちてくるものなのだろうか。
私からしたら、当たり前のように未来への道が一つ収束していくことの方が異常に思えてならないのだけれど。
だから、選べない。いや、選ぶというより選択肢すら見つからない。
大学進学と言っているのだって、この学校でそうする人が多いからその方がよさそうだと思って言ってるだけだ。
母は我関せずというように薄く微笑んだまま、私と先生の様子を黙って見ている。
私の態度でこのままでは埒が明かないと思ったらしい先生は、小さくため息をつくと母の方に顔を向けた。
「まずは、ご家族で将来について話し合われるのがよいと思います」
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