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暗闇の中だけの友人
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地上から45階。高さ240m。
世の中にはこれより高い建物だっていくつもあるけれど、この地域ではこのタワーマンションが一番高い建物だった。
つまりその最高層に作られているこの展望台を見下ろせる存在は、鳥や飛行機でもない限りないということになる。
ここにいると、自分が夜の光の上に浮かび上がっているように思える。
ショウコはぼんやりと今日も闇の中の光の群れを見ていた。
それはまるで漁火のよう。
この展望台はライトの設備があっても、外の景色が綺麗に見えるためにか、室内は暗かった。
かといって非常階段の案内や防災センターのモニターはしっかりと光っているのでムードがぶち壊しだが。
そのせいではないだろうけれど、この美しい景色を見渡せるように360度一面ガラス張りになっているというのに、展望台に足を踏み入れる人は驚くほど少ない。
ここに来られるのはこのタワーマンションの住人の特権であるけれど、しょせん毎日見ている風景。高度と角度を変えただけのものなんて、最初は目新しかったかもしれないものも、そのうち飽きてくるものだ。
自分は誰もいないからこそ結構な頻度でここに来ていたのだが、同じような考えの持ち主はいるもので。
いつからか『彼女たちに会うため』に、ここに来るようになっていた。
ぐるっと取り巻くようにできている展望台からはエレベーターホールはどこからでも見えるようになっている。
ヴォン、というエレベーターが稼働する音が長く響いた後に、チン、という到着の無機質な音が響く。
来たのはレイだろうか。アズサだろうか。それとも二人とも、だろうか。
きたきた、と思ってそちらを見ていれば、黒いフード付きパーカーを着た長身の女の子がやってきた。アズサだ。
いつもこういう時、最初になんといって声をかけたらいいのか、と思う。
これが学校なら、一番最初に誰かに会う時の挨拶は『おはよう』だけれど、ここで誰かに会うのはおはようと言うのは微妙な時間なのだし。
夜8時半から9時くらいにここに来て、この展望台が閉まる10時くらいまでおしゃべりするのが彼女たちに会える時の日課だった。
アズサは決まって火曜日と金曜日しか来ない。
彼女がいつも持っている重そうなカバンをみれば、きっと塾かなんかの帰りなのだろうと思う。
塾の帰りにそのまま街をふらふらしていたら補導されてしまう。家に帰る前の少しだけの間に、クールダウンする時間が欲しくてここに足を運んでるのだろうと、私が想像したアズサが展望台に来る理由だった。
「レイ来ないね」
もう一人足りない。そう思ってアズサに話を振ってみたら、首を振られた。
「今日はレイ来られないんだって」
「なんで?」
「家で月下美人が咲くから見てるみたい」
「月下美人ってなに?」
そんなことを聞くなんて、物知らずだと笑われるだろうか。
でもこの暗闇の中、スマートフォンを取り出して調べる方が野暮な気がしたので率直に彼女に聞くだけだ。
「白くて大きな夜に咲くサボテンの花、かな。いい匂いがするみたいよ」
私も知識だけでしか知らない、とアズサが窓の外を見ながら言葉を付け足したけれど、その知識があるだけでもすごいと思う。
「へえ、どんな匂いなんだろ。気になるなぁ」
いい匂い、といっても色々な種類があるし、人によって感じるよい香りは様々だ。事実、私自身はラベンダーとパクチーの匂いがたまらなく苦手だ。
「夜にだけ咲く花かぁ。何考えて咲いてんだろー。誰のために咲いてんだろ」
「とりあえず人間のためじゃないのは確かでしょ」
私の野暮な言葉にクールに突っ込んでくるアズサに、そうじゃなくて、と突っ込み返す。
「花粉を媒介してくれる虫だって夜は寝るんでしょ?」
「夜行性の虫だっているでしょ。あの黒光りしてカサコソ動く虫、夜の方が動いてない?」
「……ノーコメント」
さりげなくお互い話題を変えようとそこに関しては一致したが。先に気になることを思い出して、アズサに話を振ってみる。
「そういえば月見草っていうのも夜咲くのかな? なんかそういう話きいたような」
「ああ、うん、夏に夜に咲く白いやつね。朝になるとピンクになってるやつ」
「え? なんかどっかの話で黄色い花って聞いたけど?」
「それは宵待草ね。太宰の富士には月見草が似合うという有名なあれは宵待草の間違いらしいよ」
「えー?」
アズサの言葉にショウコは、眉を顰める。
「うわぁ、やだなぁ。そんな根本的なミスしてるのを後世に残されるの、出版される前に誰か気づく人いなかったのかなぁ」
「後世に残る名作かどうかは、出した当時はわからないでしょ」
確かにそれもそうだ。しかし。
「うーん、チェック機能が必要な理由が分かった。私、指さし確認しよう」
「指差し確認しても、最初から勘違いしてたら意味ないと思うよ」
もっともなことを言われて、どうしたら自分のミスを防げるのだろうと思っていたら、いつの間に話に夢中になっていたのだろう。アズサの向こう側のエレベーターホールに人影があったのに気づいた。
「あれ? レイ、来ないんじゃなかったの?」
「なかなか咲きそうにないから、ちょっと気分転換にこっちに来た。動きがあったら親が教えてくれるって」
シャンパンゴールドのスマートフォンを首から下げて来たのはレイだ。
アズサほどの背の高さではないとしても、スラっとした彼女は見栄えのする美少女だ。
首を左右に傾ける独特の歩き方をしながら、こちらに近づいてくる。
三人そろったことがなんとなく嬉しくて、そちらの方にわずかに歩みよった。
同じマンションに住んでいるのに、ここで会うまでお互いの存在を知らなかった。タワーマンションというものは昔で言うところの団地が縦になっただけだ。
みんなが地域の学校に通う中学生までならともかく、高校生にもなればお互いの学校が同じでもなければ交流する機会がない。
しかも賃貸で入居している人も多く、入れ替わりが多いので、顔ぶれがどんどん変わっていく。
「次に見られるチャンスはもうきっとないからさ。今晩は徹夜かなー」
「月下美人ってそんなにレアな植物なの? 今年逃したら、来年見ればいいだけじゃん。花が咲いたら枯れる竹の花じゃあるまいし」
私が引き合いに出したもののスケールが大きかったせいだろうか。
アズサとレイは顔を見合わせて困ったようにくすっと笑い『そうだね』と言っている。自分は変なことを言ったのだろうか。その反応をする二人がどこか大人っぽくて悔しい。
「来年になって忘れてる可能性の方が大きいよ」
「そうだね」
昔好きだったことが、今はそれほど面白くなかったりするのは当たり前だ。
好きだった魔法少女ものを今見たらつまらないものでしかないのと同じで。
世の中にはそういうものからいつまでも卒業しない大人もいるみたいだけれど、それはその人達が新しい楽しさをそれら子供の番組に見出しているか、あるいは子供時代を追体験してるだけじゃないかと高校生の自分は思っている。あれは大人ならではの遊びだろう。
私はもっと世界のことを知りたいし、世界の大きさがわかっているようでまだわからないから、昨日興味あったことをいつまでも興味を持って引きずって、時間を潰していると思う方がどこか悔しくて。
そんな移り気なことを、何も言わずにそのまま理解してくれる……いや、例え理解していなかったとしても、理解するふりをしてくれている二人の存在がありがたかった。
世の中にはこれより高い建物だっていくつもあるけれど、この地域ではこのタワーマンションが一番高い建物だった。
つまりその最高層に作られているこの展望台を見下ろせる存在は、鳥や飛行機でもない限りないということになる。
ここにいると、自分が夜の光の上に浮かび上がっているように思える。
ショウコはぼんやりと今日も闇の中の光の群れを見ていた。
それはまるで漁火のよう。
この展望台はライトの設備があっても、外の景色が綺麗に見えるためにか、室内は暗かった。
かといって非常階段の案内や防災センターのモニターはしっかりと光っているのでムードがぶち壊しだが。
そのせいではないだろうけれど、この美しい景色を見渡せるように360度一面ガラス張りになっているというのに、展望台に足を踏み入れる人は驚くほど少ない。
ここに来られるのはこのタワーマンションの住人の特権であるけれど、しょせん毎日見ている風景。高度と角度を変えただけのものなんて、最初は目新しかったかもしれないものも、そのうち飽きてくるものだ。
自分は誰もいないからこそ結構な頻度でここに来ていたのだが、同じような考えの持ち主はいるもので。
いつからか『彼女たちに会うため』に、ここに来るようになっていた。
ぐるっと取り巻くようにできている展望台からはエレベーターホールはどこからでも見えるようになっている。
ヴォン、というエレベーターが稼働する音が長く響いた後に、チン、という到着の無機質な音が響く。
来たのはレイだろうか。アズサだろうか。それとも二人とも、だろうか。
きたきた、と思ってそちらを見ていれば、黒いフード付きパーカーを着た長身の女の子がやってきた。アズサだ。
いつもこういう時、最初になんといって声をかけたらいいのか、と思う。
これが学校なら、一番最初に誰かに会う時の挨拶は『おはよう』だけれど、ここで誰かに会うのはおはようと言うのは微妙な時間なのだし。
夜8時半から9時くらいにここに来て、この展望台が閉まる10時くらいまでおしゃべりするのが彼女たちに会える時の日課だった。
アズサは決まって火曜日と金曜日しか来ない。
彼女がいつも持っている重そうなカバンをみれば、きっと塾かなんかの帰りなのだろうと思う。
塾の帰りにそのまま街をふらふらしていたら補導されてしまう。家に帰る前の少しだけの間に、クールダウンする時間が欲しくてここに足を運んでるのだろうと、私が想像したアズサが展望台に来る理由だった。
「レイ来ないね」
もう一人足りない。そう思ってアズサに話を振ってみたら、首を振られた。
「今日はレイ来られないんだって」
「なんで?」
「家で月下美人が咲くから見てるみたい」
「月下美人ってなに?」
そんなことを聞くなんて、物知らずだと笑われるだろうか。
でもこの暗闇の中、スマートフォンを取り出して調べる方が野暮な気がしたので率直に彼女に聞くだけだ。
「白くて大きな夜に咲くサボテンの花、かな。いい匂いがするみたいよ」
私も知識だけでしか知らない、とアズサが窓の外を見ながら言葉を付け足したけれど、その知識があるだけでもすごいと思う。
「へえ、どんな匂いなんだろ。気になるなぁ」
いい匂い、といっても色々な種類があるし、人によって感じるよい香りは様々だ。事実、私自身はラベンダーとパクチーの匂いがたまらなく苦手だ。
「夜にだけ咲く花かぁ。何考えて咲いてんだろー。誰のために咲いてんだろ」
「とりあえず人間のためじゃないのは確かでしょ」
私の野暮な言葉にクールに突っ込んでくるアズサに、そうじゃなくて、と突っ込み返す。
「花粉を媒介してくれる虫だって夜は寝るんでしょ?」
「夜行性の虫だっているでしょ。あの黒光りしてカサコソ動く虫、夜の方が動いてない?」
「……ノーコメント」
さりげなくお互い話題を変えようとそこに関しては一致したが。先に気になることを思い出して、アズサに話を振ってみる。
「そういえば月見草っていうのも夜咲くのかな? なんかそういう話きいたような」
「ああ、うん、夏に夜に咲く白いやつね。朝になるとピンクになってるやつ」
「え? なんかどっかの話で黄色い花って聞いたけど?」
「それは宵待草ね。太宰の富士には月見草が似合うという有名なあれは宵待草の間違いらしいよ」
「えー?」
アズサの言葉にショウコは、眉を顰める。
「うわぁ、やだなぁ。そんな根本的なミスしてるのを後世に残されるの、出版される前に誰か気づく人いなかったのかなぁ」
「後世に残る名作かどうかは、出した当時はわからないでしょ」
確かにそれもそうだ。しかし。
「うーん、チェック機能が必要な理由が分かった。私、指さし確認しよう」
「指差し確認しても、最初から勘違いしてたら意味ないと思うよ」
もっともなことを言われて、どうしたら自分のミスを防げるのだろうと思っていたら、いつの間に話に夢中になっていたのだろう。アズサの向こう側のエレベーターホールに人影があったのに気づいた。
「あれ? レイ、来ないんじゃなかったの?」
「なかなか咲きそうにないから、ちょっと気分転換にこっちに来た。動きがあったら親が教えてくれるって」
シャンパンゴールドのスマートフォンを首から下げて来たのはレイだ。
アズサほどの背の高さではないとしても、スラっとした彼女は見栄えのする美少女だ。
首を左右に傾ける独特の歩き方をしながら、こちらに近づいてくる。
三人そろったことがなんとなく嬉しくて、そちらの方にわずかに歩みよった。
同じマンションに住んでいるのに、ここで会うまでお互いの存在を知らなかった。タワーマンションというものは昔で言うところの団地が縦になっただけだ。
みんなが地域の学校に通う中学生までならともかく、高校生にもなればお互いの学校が同じでもなければ交流する機会がない。
しかも賃貸で入居している人も多く、入れ替わりが多いので、顔ぶれがどんどん変わっていく。
「次に見られるチャンスはもうきっとないからさ。今晩は徹夜かなー」
「月下美人ってそんなにレアな植物なの? 今年逃したら、来年見ればいいだけじゃん。花が咲いたら枯れる竹の花じゃあるまいし」
私が引き合いに出したもののスケールが大きかったせいだろうか。
アズサとレイは顔を見合わせて困ったようにくすっと笑い『そうだね』と言っている。自分は変なことを言ったのだろうか。その反応をする二人がどこか大人っぽくて悔しい。
「来年になって忘れてる可能性の方が大きいよ」
「そうだね」
昔好きだったことが、今はそれほど面白くなかったりするのは当たり前だ。
好きだった魔法少女ものを今見たらつまらないものでしかないのと同じで。
世の中にはそういうものからいつまでも卒業しない大人もいるみたいだけれど、それはその人達が新しい楽しさをそれら子供の番組に見出しているか、あるいは子供時代を追体験してるだけじゃないかと高校生の自分は思っている。あれは大人ならではの遊びだろう。
私はもっと世界のことを知りたいし、世界の大きさがわかっているようでまだわからないから、昨日興味あったことをいつまでも興味を持って引きずって、時間を潰していると思う方がどこか悔しくて。
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