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第二十七話 忘れられない思い
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「コート男爵家を巻き込んだのは、ヘンリー達、マルタス侯爵家だけれど、リンダのパパさんが結局は動いたんじゃないかな、とは思うけどね」
「え? どうして?」
ロナードの意外な言葉に、思わず身じまいをただした。
「マルタス侯爵家は人を動かせるだけの経済力がないもん。積極的にフィー様を愛人にするように金を出してお金がない男爵を味方に引き込んだのはパパさんじゃないと無理だろう?」
「それ、変じゃない? 娘を結婚させようとしているのに、愛人のお世話までどうして父がしなければいけないのよ。むしろ愛人なんて逆に排除させようとするでしょ?」
貴族で愛人や妾を持つ人はいないことはない。しかしそれはもちろん結婚した後でのことだ。
結婚前から娘の立場をなくすようなことをする父親ってなんだ!?
「フィー様は生贄だよ。リンダの代わりとなって、モデルとなるための。君だってわかってるだろ、自分の父親の性格。目的のためなら手段を択ばないし。あと、けっこー娘に甘いよ? 可愛い娘のためなら、他所の娘の貞操なんてどうでもいい。金で解決できる面倒ごとなら金でなんとかする人でしょ」
「……」
否定できない。父が金を稼ぐ目的は、金が好きだからというより、自分の傲慢さを押し通すための手段だと思ってる。
「侯爵夫人の創作のためにも娘を嫁がせようと思ったけど、娘にその結婚の目的を気づかれたら、恨まれるのは自分でもあるしね。リンダだって、実際この話を聞いて、パパさんに対してどう思った? 父親不信になるだろ? 娘に嫌われたくないパパさんなら、フィー様はいてくれた方がいいんだよ」
わかる。わかりすぎてしまう。そういうズルいところがあるのが父だ。既に父を問い詰めて椅子でぶん殴ってやろうかくらいに思っているし。
娘に甘いんだったら、こんな強引で無茶な結婚をさせようと思わないでほしい。
「それに父親として娘を使った創作物はあんまり発表させたくないだろうしね」
侯爵夫人が選ぶモチーフがモチーフだから、そうだろう。自分は男ではないけれど、理解してしまった。
「それを言ったら侯爵夫人だろ。自分の躰や、息子の伴侶を使ってまで創作したいか? 身分ある貴婦人なのに。どうしてそんなことしたいんだろう。承認欲求ってやつなのか?」
アレックスが本気でわからないという顔をしている。私だってそういう気持ちはわからない。そういう人間もいるんだろうなぁ、と思うだけで。
しかし、ロナードはけろっとしている。
「芸術家なんてある意味露出狂だよ。自分の脳みその中をさらけ出しながら、創作してるんだから。自分の裸ですら対象物となってしまって羞恥心とならないんだから、他人の夜の営みを見るのも平気だろうし、なんで恥ずかしがるのかわからない、とでも思ってるんじゃないかな」
ううむ、どこかずれているというより、ある意味異常者と思ってしまってはいけないのだろうか。
そういう妻を持ったマルタス侯爵や、息子であるヘンリーも大変だ。
「侯爵夫人はともかく……俺はアナルトー伯爵も怖いけどね……。ファン心理ってすごいな。そんなにまでファンって好きな芸術家を支えられるものなのか? 宗教じみてるじゃないか。ほとんど信仰みたいだ」
俺は芸術はわからん……とアレックスが唸っている。脳筋に近い彼には遠い世界で理解が追い付かないようだけれど、大丈夫。私も理解できない世界だから。
「うん、そうだね……ファンならね?」
ロナードがぽつりとつぶやいた。
そして、そろそろ、アナルトー伯爵家に向かってくれていいよ、と御者に声をかける。
ぴしりと鞭の音がして、それからガラガラ、と重い音を立てて車輪が石畳を蹴る音がした。
「マルタス侯爵夫人が本格的に創作活動を始めたのは、結婚してからなんだよな。それまでも細々と描いてはいたみたいだけれど、そんなに大体的に絵を描いていたわけではない。ずっと覆面作家をしているけれど、彼女の作品が市場に出回ったのも結婚後からだ」
「侯爵夫人は覆面作家で、誰も正体を知らなかったんでしょ? なんでロナードはわかったの?」
「推理しただけ。絵のモデルと、出所はマルタス侯爵かマルタス侯爵夫人のどちらかだろうけれど、ここまで隠すなら女性の方だろうとね。あと、モチーフがいつも正面からだった。もし侯爵が夫人をモデルに描いているなら後ろ姿も描くだろ?鏡を見て描いているなら納得するし」
「それだけで? さっきも言ったけど、お抱えの画家が邸内にいたとなんで思わなかったの?」
「それなら何十年という長さで人間を監禁してることになるし、噂すらないのはおかしいよ。美術品はね、世の中に出た時に美術商などに仲介されたりオークションを経由されたりして履歴が残るものなんだ。値段があってないようなものだし、盗まれたりした時にも、すぐに所有者がわかるようになっているしね。それをここ数十年分、全部調べて、その絵の内容、傾向、描かれている場所を分析したり、関係者の家の出入りの業者から各家の購入物の履歴などを追っていったんだ」
大変だったろう労力をあっさりとおっしゃっている。
ここまで自分のためにしてくれたロナードにいまさらながら申し訳なくなってしまった。
マルタス侯爵夫人が画家の正体であるとわからなかったら、この婚約の意図は気づかなかったのだから。
「なんで自分をモデルにしたようなものを売ったりしたのかしら」
「金に困っていたのもあるだろうけれど、創作活動をしている者にとって、一番の喜びは評価されることだろう?」
世の中に出して見てもらいたい、評価されたい。
身分もあり、人前に出すのははばかれる創作物だからこそ、確かな評価をしてくれる人のために作りたい。
そうマルタス侯爵夫人は思っているのかもしれない。
なんとなくしんみりしてしまったら、どこか遠い目をして、ロナードが口を開いた。
「美術品てね、コレクターの趣味があらわれるんだ。どんなに高価で将来に値上がりするとしても、自分が好きじゃないものは買わない。それくらい、買い手の好みが出るんだよ。リンダのパパさんは他のものも色々と持ってるみたいだけれど、作者も時代も好みがバラバラ過ぎて、買い方に傾向が見えない。美術好きからしたらおかしい買い方をしているよ」
なんで父のコレクションの内容をロナードが知ってるのだろうと思って、あの目録の書かれたノートを思い出した。インクで汚して助けを求めた時、彼はパラパラと中を見ていた。しかし。
「あの一瞬で覚えたの!?」
「うん」
どんな能力の持ち主なの!?
幼馴染の意外な特技をいまさら初めて知った。
「だから、僕はリンダのパパさんのコレクションは、夫人の作品を集めるためのダミーだと思ってる」
「どういうこと?」
「君のパパさんは、本当に、春画が好きなのだろうか」
……え?
「マルタス侯爵と、マルタス侯爵夫人と、アナルトー伯爵の三人は元々幼馴染だったって知ってた? 僕たちみたいにね」
その話は知らなかった。むしろ父の幼い頃なんて興味がなかったし、父と話したことはあまりなく、父の昔を知る機会もなかったから。
「昔、愛した人が自分の裸体をモデルに創作してたら、男としては、他の男の目に触れさせたくないとか思わない?」
「ちょっと待ってよ……」
「侯爵夫人が忘れられない恋のお相手で、自分の血を引く娘と、昔の想い人の息子が自分たちの代わりに結ばれてくれたらという思いもあったら、傍目には無理やりの結婚でも、強引に遂行してしまうかもね」
ロナードは馬車の窓から外を見ていて、私の方を向かない。
この話を私に聞かせているというより、どこか独り言のようだった。
「政略結婚した君のパパさんにも、もしかしたら結婚前にロマンスがあったのかも。そんな風にも思ってしまうんだよ」
「え? どうして?」
ロナードの意外な言葉に、思わず身じまいをただした。
「マルタス侯爵家は人を動かせるだけの経済力がないもん。積極的にフィー様を愛人にするように金を出してお金がない男爵を味方に引き込んだのはパパさんじゃないと無理だろう?」
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貴族で愛人や妾を持つ人はいないことはない。しかしそれはもちろん結婚した後でのことだ。
結婚前から娘の立場をなくすようなことをする父親ってなんだ!?
「フィー様は生贄だよ。リンダの代わりとなって、モデルとなるための。君だってわかってるだろ、自分の父親の性格。目的のためなら手段を択ばないし。あと、けっこー娘に甘いよ? 可愛い娘のためなら、他所の娘の貞操なんてどうでもいい。金で解決できる面倒ごとなら金でなんとかする人でしょ」
「……」
否定できない。父が金を稼ぐ目的は、金が好きだからというより、自分の傲慢さを押し通すための手段だと思ってる。
「侯爵夫人の創作のためにも娘を嫁がせようと思ったけど、娘にその結婚の目的を気づかれたら、恨まれるのは自分でもあるしね。リンダだって、実際この話を聞いて、パパさんに対してどう思った? 父親不信になるだろ? 娘に嫌われたくないパパさんなら、フィー様はいてくれた方がいいんだよ」
わかる。わかりすぎてしまう。そういうズルいところがあるのが父だ。既に父を問い詰めて椅子でぶん殴ってやろうかくらいに思っているし。
娘に甘いんだったら、こんな強引で無茶な結婚をさせようと思わないでほしい。
「それに父親として娘を使った創作物はあんまり発表させたくないだろうしね」
侯爵夫人が選ぶモチーフがモチーフだから、そうだろう。自分は男ではないけれど、理解してしまった。
「それを言ったら侯爵夫人だろ。自分の躰や、息子の伴侶を使ってまで創作したいか? 身分ある貴婦人なのに。どうしてそんなことしたいんだろう。承認欲求ってやつなのか?」
アレックスが本気でわからないという顔をしている。私だってそういう気持ちはわからない。そういう人間もいるんだろうなぁ、と思うだけで。
しかし、ロナードはけろっとしている。
「芸術家なんてある意味露出狂だよ。自分の脳みその中をさらけ出しながら、創作してるんだから。自分の裸ですら対象物となってしまって羞恥心とならないんだから、他人の夜の営みを見るのも平気だろうし、なんで恥ずかしがるのかわからない、とでも思ってるんじゃないかな」
ううむ、どこかずれているというより、ある意味異常者と思ってしまってはいけないのだろうか。
そういう妻を持ったマルタス侯爵や、息子であるヘンリーも大変だ。
「侯爵夫人はともかく……俺はアナルトー伯爵も怖いけどね……。ファン心理ってすごいな。そんなにまでファンって好きな芸術家を支えられるものなのか? 宗教じみてるじゃないか。ほとんど信仰みたいだ」
俺は芸術はわからん……とアレックスが唸っている。脳筋に近い彼には遠い世界で理解が追い付かないようだけれど、大丈夫。私も理解できない世界だから。
「うん、そうだね……ファンならね?」
ロナードがぽつりとつぶやいた。
そして、そろそろ、アナルトー伯爵家に向かってくれていいよ、と御者に声をかける。
ぴしりと鞭の音がして、それからガラガラ、と重い音を立てて車輪が石畳を蹴る音がした。
「マルタス侯爵夫人が本格的に創作活動を始めたのは、結婚してからなんだよな。それまでも細々と描いてはいたみたいだけれど、そんなに大体的に絵を描いていたわけではない。ずっと覆面作家をしているけれど、彼女の作品が市場に出回ったのも結婚後からだ」
「侯爵夫人は覆面作家で、誰も正体を知らなかったんでしょ? なんでロナードはわかったの?」
「推理しただけ。絵のモデルと、出所はマルタス侯爵かマルタス侯爵夫人のどちらかだろうけれど、ここまで隠すなら女性の方だろうとね。あと、モチーフがいつも正面からだった。もし侯爵が夫人をモデルに描いているなら後ろ姿も描くだろ?鏡を見て描いているなら納得するし」
「それだけで? さっきも言ったけど、お抱えの画家が邸内にいたとなんで思わなかったの?」
「それなら何十年という長さで人間を監禁してることになるし、噂すらないのはおかしいよ。美術品はね、世の中に出た時に美術商などに仲介されたりオークションを経由されたりして履歴が残るものなんだ。値段があってないようなものだし、盗まれたりした時にも、すぐに所有者がわかるようになっているしね。それをここ数十年分、全部調べて、その絵の内容、傾向、描かれている場所を分析したり、関係者の家の出入りの業者から各家の購入物の履歴などを追っていったんだ」
大変だったろう労力をあっさりとおっしゃっている。
ここまで自分のためにしてくれたロナードにいまさらながら申し訳なくなってしまった。
マルタス侯爵夫人が画家の正体であるとわからなかったら、この婚約の意図は気づかなかったのだから。
「なんで自分をモデルにしたようなものを売ったりしたのかしら」
「金に困っていたのもあるだろうけれど、創作活動をしている者にとって、一番の喜びは評価されることだろう?」
世の中に出して見てもらいたい、評価されたい。
身分もあり、人前に出すのははばかれる創作物だからこそ、確かな評価をしてくれる人のために作りたい。
そうマルタス侯爵夫人は思っているのかもしれない。
なんとなくしんみりしてしまったら、どこか遠い目をして、ロナードが口を開いた。
「美術品てね、コレクターの趣味があらわれるんだ。どんなに高価で将来に値上がりするとしても、自分が好きじゃないものは買わない。それくらい、買い手の好みが出るんだよ。リンダのパパさんは他のものも色々と持ってるみたいだけれど、作者も時代も好みがバラバラ過ぎて、買い方に傾向が見えない。美術好きからしたらおかしい買い方をしているよ」
なんで父のコレクションの内容をロナードが知ってるのだろうと思って、あの目録の書かれたノートを思い出した。インクで汚して助けを求めた時、彼はパラパラと中を見ていた。しかし。
「あの一瞬で覚えたの!?」
「うん」
どんな能力の持ち主なの!?
幼馴染の意外な特技をいまさら初めて知った。
「だから、僕はリンダのパパさんのコレクションは、夫人の作品を集めるためのダミーだと思ってる」
「どういうこと?」
「君のパパさんは、本当に、春画が好きなのだろうか」
……え?
「マルタス侯爵と、マルタス侯爵夫人と、アナルトー伯爵の三人は元々幼馴染だったって知ってた? 僕たちみたいにね」
その話は知らなかった。むしろ父の幼い頃なんて興味がなかったし、父と話したことはあまりなく、父の昔を知る機会もなかったから。
「昔、愛した人が自分の裸体をモデルに創作してたら、男としては、他の男の目に触れさせたくないとか思わない?」
「ちょっと待ってよ……」
「侯爵夫人が忘れられない恋のお相手で、自分の血を引く娘と、昔の想い人の息子が自分たちの代わりに結ばれてくれたらという思いもあったら、傍目には無理やりの結婚でも、強引に遂行してしまうかもね」
ロナードは馬車の窓から外を見ていて、私の方を向かない。
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