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第一章 ここは私の知らない世界
第17話 奪われた婚約
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セイラ先生から私宛に手紙が届いた。
どうやら気球の作成に取り組んでいるようだ。こういうアイディアがあればすぐに行動に移そうとする人は好きだ。やはり軽くて気密性の高い布を探すのに相当難航しているようだ。
口出しならできても、自分の手を使ってお手伝いをするのが難しくもどかしいが。
授業はやはり、銀の鹿と小さじ亭の控室でするのが、周囲の目を気にせずによさそうだと書かれている。店が休みの日と、私の休みを合わせての授業日の提案は正直ありがたかったが、それよりも。
「授業料無料?」
それどころか、彼女の方から気球のアイディアに対する対価までくれるそうな。正直ありがたい。
さて、お返事を、と張り切るが実は問題がある。
前回手紙を書いた時は便せんもインクもペンも拝借したものだった。何度もそんなわけにいかないだろうから、この間の外出でペンと便せんは買った。インクは意外と高かったので買うのを断念したのだけれど。
墨の作り方だったらわかるけど、さすがにインクの作り方なんて知らない……イカスミはインクの代わりになるみたいな話はきいたけれど、この世界にあるかもわからないし、むしろあったらイカ墨パスタを食べたい。
困ったあげくに「読めりゃいいよね、読めりゃ!」と花を色々集めてすりつぶして色水を作り、それをペン先につけて書いた。
本当は紅茶でやろうとしたけれど、煮詰めてもあまり濃い色にならなかったんだよね。出し殻だったせいかな。
セイラ先生からお金貰えるとしたら、まずインクが欲しいよ。あまりたかるわけにいかないけれど。
書いた手紙を銀の鹿と小さじ亭に送ろうとしたら、シシリーの授業の日となってしまっていた。これでは本人に渡した方が早いだろうなぁ。
セイラ先生と人前ではそっけなく、そして授業が終わるのを辛抱強く待つ。
「お見送りをいたします」
「ええ、お願いね」
シシリーが頷いたのに合わせて私が立ち上がり、セイラ先生をご案内しよう。
廊下に出るなり、誰もいないのを確かめると、セイラ先生は持っていた小さなバッグから封筒を取り出し、私の方に差し出した。
私がお返事を渡す前に、もう新しいのが来てしまった……。
「この間お話していたものです。詳しいことはこちらに」
「はい。そしてこちらが私の方のものです」
まるで闇取引をしているような気分だ。後でゆっくり読もうと二人して急いで受け取ったものをしまうが。
シシリーの部屋から階段を下りていこうとすると、下から嫌な気配と物音がした。
「なんだ、確かお前、メリュジーヌの……」
目を細め、何かをもの言いたそうにこちらを見ている男の顔を見て、げっと思ったけれど顔に出さない。
「エドガー様、いらっしゃいませ」
目を伏せ、頭を下げる。
また来てるよ、この男。
よそんちなのに、なんでこんなに来るの?
婚約者の家だとはいえ、傍若無人過ぎない?
こういうところがお嬢様に嫌われてうんざりしていたんだろうな、とは思う。
だいたい公爵がこの家にあまり帰ってきていないのだに、むやみやたらに他人を上げていいのだろうか。しかも嫁入り前の娘が四人もいる家に、こんなズカズカ男が上がりこむのも非常識だし。
この家の乗っ取りでも企んでいるんじゃないか? と思ってしまう。
あら、とエドガーに気づいたセイラ先生が優雅に挨拶をする。
「エドガー様、ごきげんよう」
「セイラ嬢か、久しぶりだな」
領内に住む貴族ということで、お互いが顔見知りらしいらしい。
こうしてみると、セイラ嬢の方がエドガーより背が高い。
「お父様やお兄様はお元気でいらっしゃいますか?」
「ええ、そのようですね。最近はあまり顔を合わせていないですが」
「エドガー様はどのような御用向きでこちらに?」
「ちょっと婚約者殿に会いにな」
「婚約者とおっしゃるとメリュジーヌお嬢様でしょうか?」
「あ、いや、エルヴィラ嬢だよ」
なぜか少し得意げに言っているエドガーに、後ろからライダーキックをかましてやりたくてたまらない。
そんなエドガーの声に、セイラ先生は眉をひそめている。
「あら、私ったら勘違いしていたようですね。てっきりそうだと」
そう言って、エドガーに「それでは失礼いたしますね」と別れの挨拶を切り出した。それに続いて私も頭を下げて、エドガーとすれ違って玄関まで歩いていった。
何かを考えこんでいるようなセイラ先生の様子に、思わず「どうなさいました?」と声をかけてしまったが、本当に大丈夫だろうか。
あ、すみません、とセイラ先生は微笑むが、やはりその顔が納得いかないというような顔をしている。
「果たして、あのお二人の結婚って公爵様がお認めになっているのかしら」
「どういうことでしょう?」
困ったような顔をして、この家に失礼なことを申し上げますが、リリアンヌだから言うのです、内緒ですよ、と真剣な顔をして囁かれた。
「王都からこちらに引っ越してくる時にこの領地について少し調べたのですが、この公爵領って元々先々代の王女が降嫁なさったのが祖ですよね。そしてそこでお生まれになったのが、今は亡きメルローゼ公爵令嬢」
「そうですよ、メリュジーヌお嬢様のお母様ですね」
どうしたんだろう?と思いながらも、セイラ先生のいうことを頷きながら認める。
「そしてこの国の貴族法では、女の子しかその家に生まれてなかった場合、代襲制度というのがあって、他所の貴族の男子を婿として家に入れ、その人が爵位を継ぐことができます」
要するに入り婿ってことだよね? この家もそうなんだし珍しくないことだろう。女の子は爵位を継げないんだから。継げてたらリリアンヌだって男爵位を返上しないで自分で継いでただろうしさ。
「しかし公爵家というのは、王家と繋がりがある血を持っていることが優先されるんです。この帝国中でも貴重である王家の血を保全する役割もありますから。公爵家の場合は婿は代襲ではなく後見人というだけで、あくまでも公爵様は王家の血を引く方その人なんです」
なんかこんがらがってきたけど……。
「え、じゃあ、公爵に限っては女性公爵もありうるんですか?」
そういうと、セイラ先生は、はい、と大きく頷いた。
「公爵であったのは亡くなったメルローゼ様であり、今、公爵相続人となるのはそのお子様であるメリュジーヌお嬢様だけなのですよ。未成年の間はその親族があくまでも代理人として領地を守っているだけで。もし相続する前に相続人になにかがあったら即、領地は王家に返上されます。それくらい血が優先されるんですよ。
なのに、実家の伯爵家を継ぐわけでもない次男のエドガー様が、この公爵家の跡継ぎであるメリュジーヌお嬢様とではなくあくまでも一貴族の娘になるエルヴィラ様と結婚なさるのはどういうことかなぁ、と」
前、私が思った変だなぁと思ったことは、やはり他の人から見ても変なことだったようだ。
ただしそれは、公爵家しか通じないものだったけれど。侯爵家以下ではやはり入り婿が爵位継いだ途端に偉そうになったりするんだろうかね。
しかしエドガーは何を勘違いしてエルヴィラの方がいいと思ったのだろう。やはり、この貴族法で公爵が特別というのを知らないのでは、と思う。無知とは恐ろしい。
「当家の旦那様には、伯爵領もありますから、それをエルヴィラお嬢様が継がれるのでは?」
「ドロテア様が継がれて婿を取られるのではなくて?」
「そういえば、ドロテア様は王太子妃になるとかいう噂がありましたが」
あ、やばい、メイドなのについつい家の中のことを話し過ぎてる。
まぁいいや。知らないことを知る好奇心の方が抑えられないし、忠義なんか最初からないしね。
しかし、セイラ先生も私のメイドとしての行動の異常さに気づいていないのか、真剣な顔をして首を振っている。
「それはありえませんよ。側妃は公爵位を持つ方から順に候補となりますから」
「え? 公爵令嬢なのにドロテア様ではダメなのですか?」
「ええ、絶対に無理です。この家で公爵令嬢であり、将来公爵の可能性があるのはメリュジーヌ様だけです。正式な場所ではこの家の方は、公爵様を除いて誰もこの家の家名を名乗れないですしね」
要するに、例え現公爵(あくまでも後見人だけど)の娘として認知されて育っていたとしても、王家の血をまるっきり引いていない人間は公爵家の者として認められないのか。
自分が知らないところに意外な法律があるとは。
しかし、メリュジーヌお嬢様がよく「この家から離れられない」と言っていたのはこのことだろうか、と思う。
母親との思い出があって愛着があったこの家から離れたくない、という意味だと思っていたけれど、公爵家の唯一の相続人だということをメリュジーヌ様は知っていたのかもしれない。
「それともし王太子殿下が正妃様と結婚されて、次に側妃の話が出たら、ほぼメリュジーヌ様がなると思われますよ。もう王宮では内定しているのではないでしょうか。お話とか来てないのですか?」
「ええ!?」
そんな話、全然知らないぞ。むしろ来てたら困るんだけれど!
「ここ二十年ほど、国内の公爵家に女性はメリュジーヌ様を除いて生まれてないのです。有名な話でしたが……」
知らないうちに私は青ざめていたかもしれない。
もしかしたら公爵様、奥様辺りにはその話が来ているのかもしれない。
しかし貴族法なんて知らない奥様だろうから、その話を握りつぶして自分の長子であるドロテアを王太子妃にしようとして、必死にドロテアに教育を施そうとしているのではないだろうか。
……ありうる。
どうやら気球の作成に取り組んでいるようだ。こういうアイディアがあればすぐに行動に移そうとする人は好きだ。やはり軽くて気密性の高い布を探すのに相当難航しているようだ。
口出しならできても、自分の手を使ってお手伝いをするのが難しくもどかしいが。
授業はやはり、銀の鹿と小さじ亭の控室でするのが、周囲の目を気にせずによさそうだと書かれている。店が休みの日と、私の休みを合わせての授業日の提案は正直ありがたかったが、それよりも。
「授業料無料?」
それどころか、彼女の方から気球のアイディアに対する対価までくれるそうな。正直ありがたい。
さて、お返事を、と張り切るが実は問題がある。
前回手紙を書いた時は便せんもインクもペンも拝借したものだった。何度もそんなわけにいかないだろうから、この間の外出でペンと便せんは買った。インクは意外と高かったので買うのを断念したのだけれど。
墨の作り方だったらわかるけど、さすがにインクの作り方なんて知らない……イカスミはインクの代わりになるみたいな話はきいたけれど、この世界にあるかもわからないし、むしろあったらイカ墨パスタを食べたい。
困ったあげくに「読めりゃいいよね、読めりゃ!」と花を色々集めてすりつぶして色水を作り、それをペン先につけて書いた。
本当は紅茶でやろうとしたけれど、煮詰めてもあまり濃い色にならなかったんだよね。出し殻だったせいかな。
セイラ先生からお金貰えるとしたら、まずインクが欲しいよ。あまりたかるわけにいかないけれど。
書いた手紙を銀の鹿と小さじ亭に送ろうとしたら、シシリーの授業の日となってしまっていた。これでは本人に渡した方が早いだろうなぁ。
セイラ先生と人前ではそっけなく、そして授業が終わるのを辛抱強く待つ。
「お見送りをいたします」
「ええ、お願いね」
シシリーが頷いたのに合わせて私が立ち上がり、セイラ先生をご案内しよう。
廊下に出るなり、誰もいないのを確かめると、セイラ先生は持っていた小さなバッグから封筒を取り出し、私の方に差し出した。
私がお返事を渡す前に、もう新しいのが来てしまった……。
「この間お話していたものです。詳しいことはこちらに」
「はい。そしてこちらが私の方のものです」
まるで闇取引をしているような気分だ。後でゆっくり読もうと二人して急いで受け取ったものをしまうが。
シシリーの部屋から階段を下りていこうとすると、下から嫌な気配と物音がした。
「なんだ、確かお前、メリュジーヌの……」
目を細め、何かをもの言いたそうにこちらを見ている男の顔を見て、げっと思ったけれど顔に出さない。
「エドガー様、いらっしゃいませ」
目を伏せ、頭を下げる。
また来てるよ、この男。
よそんちなのに、なんでこんなに来るの?
婚約者の家だとはいえ、傍若無人過ぎない?
こういうところがお嬢様に嫌われてうんざりしていたんだろうな、とは思う。
だいたい公爵がこの家にあまり帰ってきていないのだに、むやみやたらに他人を上げていいのだろうか。しかも嫁入り前の娘が四人もいる家に、こんなズカズカ男が上がりこむのも非常識だし。
この家の乗っ取りでも企んでいるんじゃないか? と思ってしまう。
あら、とエドガーに気づいたセイラ先生が優雅に挨拶をする。
「エドガー様、ごきげんよう」
「セイラ嬢か、久しぶりだな」
領内に住む貴族ということで、お互いが顔見知りらしいらしい。
こうしてみると、セイラ嬢の方がエドガーより背が高い。
「お父様やお兄様はお元気でいらっしゃいますか?」
「ええ、そのようですね。最近はあまり顔を合わせていないですが」
「エドガー様はどのような御用向きでこちらに?」
「ちょっと婚約者殿に会いにな」
「婚約者とおっしゃるとメリュジーヌお嬢様でしょうか?」
「あ、いや、エルヴィラ嬢だよ」
なぜか少し得意げに言っているエドガーに、後ろからライダーキックをかましてやりたくてたまらない。
そんなエドガーの声に、セイラ先生は眉をひそめている。
「あら、私ったら勘違いしていたようですね。てっきりそうだと」
そう言って、エドガーに「それでは失礼いたしますね」と別れの挨拶を切り出した。それに続いて私も頭を下げて、エドガーとすれ違って玄関まで歩いていった。
何かを考えこんでいるようなセイラ先生の様子に、思わず「どうなさいました?」と声をかけてしまったが、本当に大丈夫だろうか。
あ、すみません、とセイラ先生は微笑むが、やはりその顔が納得いかないというような顔をしている。
「果たして、あのお二人の結婚って公爵様がお認めになっているのかしら」
「どういうことでしょう?」
困ったような顔をして、この家に失礼なことを申し上げますが、リリアンヌだから言うのです、内緒ですよ、と真剣な顔をして囁かれた。
「王都からこちらに引っ越してくる時にこの領地について少し調べたのですが、この公爵領って元々先々代の王女が降嫁なさったのが祖ですよね。そしてそこでお生まれになったのが、今は亡きメルローゼ公爵令嬢」
「そうですよ、メリュジーヌお嬢様のお母様ですね」
どうしたんだろう?と思いながらも、セイラ先生のいうことを頷きながら認める。
「そしてこの国の貴族法では、女の子しかその家に生まれてなかった場合、代襲制度というのがあって、他所の貴族の男子を婿として家に入れ、その人が爵位を継ぐことができます」
要するに入り婿ってことだよね? この家もそうなんだし珍しくないことだろう。女の子は爵位を継げないんだから。継げてたらリリアンヌだって男爵位を返上しないで自分で継いでただろうしさ。
「しかし公爵家というのは、王家と繋がりがある血を持っていることが優先されるんです。この帝国中でも貴重である王家の血を保全する役割もありますから。公爵家の場合は婿は代襲ではなく後見人というだけで、あくまでも公爵様は王家の血を引く方その人なんです」
なんかこんがらがってきたけど……。
「え、じゃあ、公爵に限っては女性公爵もありうるんですか?」
そういうと、セイラ先生は、はい、と大きく頷いた。
「公爵であったのは亡くなったメルローゼ様であり、今、公爵相続人となるのはそのお子様であるメリュジーヌお嬢様だけなのですよ。未成年の間はその親族があくまでも代理人として領地を守っているだけで。もし相続する前に相続人になにかがあったら即、領地は王家に返上されます。それくらい血が優先されるんですよ。
なのに、実家の伯爵家を継ぐわけでもない次男のエドガー様が、この公爵家の跡継ぎであるメリュジーヌお嬢様とではなくあくまでも一貴族の娘になるエルヴィラ様と結婚なさるのはどういうことかなぁ、と」
前、私が思った変だなぁと思ったことは、やはり他の人から見ても変なことだったようだ。
ただしそれは、公爵家しか通じないものだったけれど。侯爵家以下ではやはり入り婿が爵位継いだ途端に偉そうになったりするんだろうかね。
しかしエドガーは何を勘違いしてエルヴィラの方がいいと思ったのだろう。やはり、この貴族法で公爵が特別というのを知らないのでは、と思う。無知とは恐ろしい。
「当家の旦那様には、伯爵領もありますから、それをエルヴィラお嬢様が継がれるのでは?」
「ドロテア様が継がれて婿を取られるのではなくて?」
「そういえば、ドロテア様は王太子妃になるとかいう噂がありましたが」
あ、やばい、メイドなのについつい家の中のことを話し過ぎてる。
まぁいいや。知らないことを知る好奇心の方が抑えられないし、忠義なんか最初からないしね。
しかし、セイラ先生も私のメイドとしての行動の異常さに気づいていないのか、真剣な顔をして首を振っている。
「それはありえませんよ。側妃は公爵位を持つ方から順に候補となりますから」
「え? 公爵令嬢なのにドロテア様ではダメなのですか?」
「ええ、絶対に無理です。この家で公爵令嬢であり、将来公爵の可能性があるのはメリュジーヌ様だけです。正式な場所ではこの家の方は、公爵様を除いて誰もこの家の家名を名乗れないですしね」
要するに、例え現公爵(あくまでも後見人だけど)の娘として認知されて育っていたとしても、王家の血をまるっきり引いていない人間は公爵家の者として認められないのか。
自分が知らないところに意外な法律があるとは。
しかし、メリュジーヌお嬢様がよく「この家から離れられない」と言っていたのはこのことだろうか、と思う。
母親との思い出があって愛着があったこの家から離れたくない、という意味だと思っていたけれど、公爵家の唯一の相続人だということをメリュジーヌ様は知っていたのかもしれない。
「それともし王太子殿下が正妃様と結婚されて、次に側妃の話が出たら、ほぼメリュジーヌ様がなると思われますよ。もう王宮では内定しているのではないでしょうか。お話とか来てないのですか?」
「ええ!?」
そんな話、全然知らないぞ。むしろ来てたら困るんだけれど!
「ここ二十年ほど、国内の公爵家に女性はメリュジーヌ様を除いて生まれてないのです。有名な話でしたが……」
知らないうちに私は青ざめていたかもしれない。
もしかしたら公爵様、奥様辺りにはその話が来ているのかもしれない。
しかし貴族法なんて知らない奥様だろうから、その話を握りつぶして自分の長子であるドロテアを王太子妃にしようとして、必死にドロテアに教育を施そうとしているのではないだろうか。
……ありうる。
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