13 / 48
第一章 ここは私の知らない世界
第13話 空
しおりを挟む
「こちら、お客様はどれくらい入られてますか?」
カフェのように人の出入りが多ければついで買いのようなものも狙えるけれど、洋服屋ではいまいちだろうか。そう思いながら何気なく聞いた。
委託販売させてほしいとか、そういうお願いすらしてない段階で我ながら図々しいが。捕らぬ狸の皮算用ってやつです。完璧に。
「この店、まだ知名度が低いのが問題なのよね。オープンしたてで、あまりここに店があるのすら知られていなくて……」
「あぁ、そうなんですね……」
ガラス張りにして外から中が見えるようなら中がブティックってわかりそうなものでも、木製のドアで看板だけで店の種類を判別するしかできない。
それに同業他社は既にこの街にあるだろうから、新しい洋服屋が開かれていても、今のままでいいと思う人は興味がわかないだろう。
新しい物が好きな人を、こちらの店に誘導するなら、意外性を打ち出すのがいいのでは、と思うのだが。
「それなら空から宣伝すればよくないですか?」
あ、いけね。
来る時から空が広いなぁと思っていたから、ついつい、思考が引っ張られてしまった。
しかし、私のアイディアに彼女の興味は引っかかったようだ。
「空?」
「高い塔を作るのは時間がかかっても、天然ガス取れる土地ですからね、ここ。店の二階か屋根から気球を高く飛ばして、垂れ幕でもすればよくないですか? 目立つと思いますよ。それとも恥ずかしいとか、やっちゃいけない法律とかあります?」
アドバルーンとかいうんじゃなかったっけ?
一度、都内のデパートでパンダ頭を飛ばしてるの見たことあったけど。
この世界でもレストランのような飲食を扱っている店が、普通に街の中にある。
それなら屋敷の厨房で見たようなガス管は存在しているのではないだろうか。
店の奥からも熱気を感じるから、ガスを利用している可能性もあるし。きっと布を伸ばすアイロンのような道具を熱するのにガスを使っているんじゃないかなぁ。
「天然ガスで大きな風船作って浮かせるのに安全性の問題ありますけれど、人間が乗ってるわけじゃないから大丈夫だろうし。火だけ気を付ければ」
問題は布とか紐とかがどれだけ軽い素材がここで手に入るか、かな。それと気密性。
ここで取れるメタンガスの純度がどれくらいかはわからないけれど……。でも、不燃性が多い重い気体はそう混じってないと思うんだよねえ、普段、勢いよく燃えてる様子を見ると。
もっとも、ここの空気の割合や気体の重さが私が知っている世界と同じだったらの話だけれどね。
でも物の燃焼の具合とか見てると似たようなもんだと思うんだよなぁ……。
「熱気球でも同じようなことができる気がしますが、可燃性の燃料を追加する手間を考えると、やはりガス気球の方が楽なんじゃないですかね」
どっちがいいかなぁ、と空を見上げながら化学式とかを考えていたら、セイラ先生が驚嘆したような顔をしていた。
「すごいわ、リリアンヌ」
「え?」
「天然ガスが空気より軽いなんて、言われてみるまで気づかなかったわ。生活に便利なものとして燃料として用いられるだけで、それが軽いことを利用するなんて思わなかった。危険だから集めることはダメと幼い頃から言われているものね」
「あー……」
ここの世界では天然ガスはそういう風に扱われる気体だったのか。
だから気球みたいなものが今まで存在してなかったのだろう。
――しまった。
生活に根差しているからこそ、ここの世界なりのルールがあって、それが化学の進歩を妨げたりはしても、それでうまくいってたはずなのに、私が邪魔してないだろうか。
余計なことを言ってしまったかもしれない。
自分のせいで爆発事故で誰か死んだら申し訳なさすぎるのだけれど。
でも、天然ガスの身近具合はこの世界の人の方が私よりはるかに上だろうし、う、うん、信じてる。私、この世界に来るまで自噴している天然ガス見たことなかったもの。この世界の人の方が扱い方はプロだろう。
いつか誰かが見つけて始めるべきことを、ここがきっかけになっちゃっただけだ。
そのまま、セイラ先生が持ってきた紙に簡単なアドバルーンの設計図みたいなものとアイディアを話し、縫製のプロ視点での私のアイディアの欠点を指摘されたり。
そんなことをしていたら、遅い時間になってしまった。
「申し訳ありません、もう帰らないと……。全然肝心なテストのお話できませんでしたね。また次回に持ち越しですか?」
「いいえ、もう充分です。むしろ私の方が得たものが多いくらいです。今日はとても有意義な時間をいただき、ありがとうございます。次回はお手紙で私が授業できる時間などについてもお知らせいたします。それと、メリュジーヌお嬢様についてもお話を伺いたいですしね」
晴れやかな笑顔なセイラ先生に送り出され、私はメリュジーヌお嬢様へのお土産と、それ以外にも必要なものをいくつか商店街で買ってから、公爵邸に戻っていった。
歩いている間にどんどんと周囲が暗くなっていく。
元々街頭などがあまりない道で、前がよく見えないのが怖い。
「どひぃぃぃ、なんでこんなに天然ガスが豊かな場所でガス灯がないのぉ」
内心叫びながら歩いていたら、不意に周囲が明るくなった。
思わず光源を確認しようと見たら、月が上っていた。
「あれ、月……? 満月? こんなに明るいもんなの?」
先ほどより明らかに周囲が見えやすい。
月明かりがここまで明るいなんて。月が記憶にあるものより大きく見える気がするのは、少し心細かったからか、それともこの世界の月が大きいのか。
周囲が暗くなっていくのと入れ替わるように、家では灯をつけ始めているようで、ぽつ、ぽつ、と周囲の光が増えていった。
明かりがついてもそれはまだ暗く、みずほであった自分が知っているような光の渦にはほど遠いものだった。
「月は東に日は西に……しんじまっか、ひみに……」
誰かが聞いていたらなんの暗号?と思われたかもしれない。
地平線に沈む太陽と、そのタイミングで出てきていた月の形を確かめ、やはりここが自分が知ってる世界に酷似していることを確信した。同じだとは言えないけれど。
子供達に教えていた、月が南中する時間やその形の語呂合わせを呟いたら、唐突に里心がついてしまって、歩きながら大きくため息をつく。
なんでよりによって自分は、あのタイミングでこの世界に飛ばされてきたんだろう。
あの日は特別な日だったのに。
二月一日。
それは中学入試の日だ。
短くても1年、長い子にいたっては4年以上かけて育て上げた生徒という名の果実たち。
いうならば農家が収穫と出荷の直前に、仕事を取り上げられたようなものだろうか。
頑張ったのは子供達だけれど、自分だって一生懸命応援した結果が出る大事な日なのだ。
月を見上げて思う。
せめてあの子たちが合格してればいいけれど。ああ、胃が痛い。
私は帰れるかどうかわからないけれど、遠い空の下のみんなが、笑える春を迎えられていることを祈るだけだ。
カフェのように人の出入りが多ければついで買いのようなものも狙えるけれど、洋服屋ではいまいちだろうか。そう思いながら何気なく聞いた。
委託販売させてほしいとか、そういうお願いすらしてない段階で我ながら図々しいが。捕らぬ狸の皮算用ってやつです。完璧に。
「この店、まだ知名度が低いのが問題なのよね。オープンしたてで、あまりここに店があるのすら知られていなくて……」
「あぁ、そうなんですね……」
ガラス張りにして外から中が見えるようなら中がブティックってわかりそうなものでも、木製のドアで看板だけで店の種類を判別するしかできない。
それに同業他社は既にこの街にあるだろうから、新しい洋服屋が開かれていても、今のままでいいと思う人は興味がわかないだろう。
新しい物が好きな人を、こちらの店に誘導するなら、意外性を打ち出すのがいいのでは、と思うのだが。
「それなら空から宣伝すればよくないですか?」
あ、いけね。
来る時から空が広いなぁと思っていたから、ついつい、思考が引っ張られてしまった。
しかし、私のアイディアに彼女の興味は引っかかったようだ。
「空?」
「高い塔を作るのは時間がかかっても、天然ガス取れる土地ですからね、ここ。店の二階か屋根から気球を高く飛ばして、垂れ幕でもすればよくないですか? 目立つと思いますよ。それとも恥ずかしいとか、やっちゃいけない法律とかあります?」
アドバルーンとかいうんじゃなかったっけ?
一度、都内のデパートでパンダ頭を飛ばしてるの見たことあったけど。
この世界でもレストランのような飲食を扱っている店が、普通に街の中にある。
それなら屋敷の厨房で見たようなガス管は存在しているのではないだろうか。
店の奥からも熱気を感じるから、ガスを利用している可能性もあるし。きっと布を伸ばすアイロンのような道具を熱するのにガスを使っているんじゃないかなぁ。
「天然ガスで大きな風船作って浮かせるのに安全性の問題ありますけれど、人間が乗ってるわけじゃないから大丈夫だろうし。火だけ気を付ければ」
問題は布とか紐とかがどれだけ軽い素材がここで手に入るか、かな。それと気密性。
ここで取れるメタンガスの純度がどれくらいかはわからないけれど……。でも、不燃性が多い重い気体はそう混じってないと思うんだよねえ、普段、勢いよく燃えてる様子を見ると。
もっとも、ここの空気の割合や気体の重さが私が知っている世界と同じだったらの話だけれどね。
でも物の燃焼の具合とか見てると似たようなもんだと思うんだよなぁ……。
「熱気球でも同じようなことができる気がしますが、可燃性の燃料を追加する手間を考えると、やはりガス気球の方が楽なんじゃないですかね」
どっちがいいかなぁ、と空を見上げながら化学式とかを考えていたら、セイラ先生が驚嘆したような顔をしていた。
「すごいわ、リリアンヌ」
「え?」
「天然ガスが空気より軽いなんて、言われてみるまで気づかなかったわ。生活に便利なものとして燃料として用いられるだけで、それが軽いことを利用するなんて思わなかった。危険だから集めることはダメと幼い頃から言われているものね」
「あー……」
ここの世界では天然ガスはそういう風に扱われる気体だったのか。
だから気球みたいなものが今まで存在してなかったのだろう。
――しまった。
生活に根差しているからこそ、ここの世界なりのルールがあって、それが化学の進歩を妨げたりはしても、それでうまくいってたはずなのに、私が邪魔してないだろうか。
余計なことを言ってしまったかもしれない。
自分のせいで爆発事故で誰か死んだら申し訳なさすぎるのだけれど。
でも、天然ガスの身近具合はこの世界の人の方が私よりはるかに上だろうし、う、うん、信じてる。私、この世界に来るまで自噴している天然ガス見たことなかったもの。この世界の人の方が扱い方はプロだろう。
いつか誰かが見つけて始めるべきことを、ここがきっかけになっちゃっただけだ。
そのまま、セイラ先生が持ってきた紙に簡単なアドバルーンの設計図みたいなものとアイディアを話し、縫製のプロ視点での私のアイディアの欠点を指摘されたり。
そんなことをしていたら、遅い時間になってしまった。
「申し訳ありません、もう帰らないと……。全然肝心なテストのお話できませんでしたね。また次回に持ち越しですか?」
「いいえ、もう充分です。むしろ私の方が得たものが多いくらいです。今日はとても有意義な時間をいただき、ありがとうございます。次回はお手紙で私が授業できる時間などについてもお知らせいたします。それと、メリュジーヌお嬢様についてもお話を伺いたいですしね」
晴れやかな笑顔なセイラ先生に送り出され、私はメリュジーヌお嬢様へのお土産と、それ以外にも必要なものをいくつか商店街で買ってから、公爵邸に戻っていった。
歩いている間にどんどんと周囲が暗くなっていく。
元々街頭などがあまりない道で、前がよく見えないのが怖い。
「どひぃぃぃ、なんでこんなに天然ガスが豊かな場所でガス灯がないのぉ」
内心叫びながら歩いていたら、不意に周囲が明るくなった。
思わず光源を確認しようと見たら、月が上っていた。
「あれ、月……? 満月? こんなに明るいもんなの?」
先ほどより明らかに周囲が見えやすい。
月明かりがここまで明るいなんて。月が記憶にあるものより大きく見える気がするのは、少し心細かったからか、それともこの世界の月が大きいのか。
周囲が暗くなっていくのと入れ替わるように、家では灯をつけ始めているようで、ぽつ、ぽつ、と周囲の光が増えていった。
明かりがついてもそれはまだ暗く、みずほであった自分が知っているような光の渦にはほど遠いものだった。
「月は東に日は西に……しんじまっか、ひみに……」
誰かが聞いていたらなんの暗号?と思われたかもしれない。
地平線に沈む太陽と、そのタイミングで出てきていた月の形を確かめ、やはりここが自分が知ってる世界に酷似していることを確信した。同じだとは言えないけれど。
子供達に教えていた、月が南中する時間やその形の語呂合わせを呟いたら、唐突に里心がついてしまって、歩きながら大きくため息をつく。
なんでよりによって自分は、あのタイミングでこの世界に飛ばされてきたんだろう。
あの日は特別な日だったのに。
二月一日。
それは中学入試の日だ。
短くても1年、長い子にいたっては4年以上かけて育て上げた生徒という名の果実たち。
いうならば農家が収穫と出荷の直前に、仕事を取り上げられたようなものだろうか。
頑張ったのは子供達だけれど、自分だって一生懸命応援した結果が出る大事な日なのだ。
月を見上げて思う。
せめてあの子たちが合格してればいいけれど。ああ、胃が痛い。
私は帰れるかどうかわからないけれど、遠い空の下のみんなが、笑える春を迎えられていることを祈るだけだ。
1
お気に入りに追加
1,636
あなたにおすすめの小説

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
愛されない王妃は、お飾りでいたい
夕立悠理
恋愛
──私が君を愛することは、ない。
クロアには前世の記憶がある。前世の記憶によると、ここはロマンス小説の世界でクロアは悪役令嬢だった。けれど、クロアが敗戦国の王に嫁がされたことにより、物語は終わった。
そして迎えた初夜。夫はクロアを愛せず、抱くつもりもないといった。
「イエーイ、これで自由の身だわ!!!」
クロアが喜びながらスローライフを送っていると、なんだか、夫の態度が急変し──!?
「初夜にいった言葉を忘れたんですか!?」

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう
天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。
侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。
その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。
ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる