Deep Heart

輝拓

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片想いの時間

近くて遠い2

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最後に奈緒は
何かあったら電話するんだよ?と笑って別れた。

奈緒に言ったら何故かスッキリ素直でいようと思った。
花火をするんだったら
そのまま夜まで拓也といたい 

頼めばきっと拓也は頷いてくれる事を知っているんだから素直にいたいと言おうと決めていた。
 



「お邪魔します」

「おー…何もないけどなぁ」

先に入って靴を立ったまま脱いでいる拓也の背中の隙間から待てなくて覗き見る。

「1Kだからそんな凄かないよ?」


それを察してか拓也が言うが
オレからしたら好きな人の私生活のプライベートの空間に入れるなんて凄く嬉しくて早く見たいもんだ。

自分にとっては念願の訪問

部屋に入るとやっぱり見渡してしまう

とってもシンプルで必要最低限しかない部屋は拓也らしいなぁと思ったけど
狭い部屋にそんな物おけないからと拓也に言われてそれもそうかと思う。
座ってみたはいいものの
やらしい話プライベートの空間にいるとなんだか緊張する。


「昨日シャワー浴びてないから俺入るけどお前もだろ?先入んない?」

「えっいいの?」

「下着はあきらめろ
部屋着は貸してやっから」

部屋着…それって…そうだよね


「洗濯するからキャンプの洗いもの出しといて?」

「お母さん?」

「一人暮らし舐めんな?ほら、入って来い」


いそいそ入ってみてはいいものの
思っても見なかったこの緊張…

浴室にあるソープや髭剃りなんか見ただけでドキドキして
シャンプーなんかした時には同じ香りになるし
しまいには拓也の部屋着を借りるとか
柔軟剤の良い香りに混じって拓也の香りがするような気がして
服の大きさを実感してこんなにデカイのかぁとうっとりして
初っ端からいやらしい気持ち全開になってしまった自分


「あはははっピョン吉じゃねぇか!」


そんなオレの心境を知らない拓也は大笑いして入れ替わりに浴室に入っていった。
洗濯機の回る音と拓也のシャワーの音だけがする部屋
友人で男なんだからありえないのに
今だに手を握られてたことを引きずっているせいで
何か期待してしまう自分

でも、奈緒に話せたおかげで
その気持ちを好きなんだから当たり前じゃんと思えるだけでも楽になる。

「飯なんか食いたいのある?」

上がった拓也もラフな格好していて
なんだかそれさえもカッコ良く見えて恋って凄いと思う。

「買いに行く?食いに行く?」

「ダルいしナポリタン作るからそれでいい?」

「本当に?!まさかの手料理!?」

「何もないからケチャップパスタだからな?
お前、彼女のアパートに初めてきた彼氏みたいだな」

「さほど変わらないかも…来たかったし」  

「……」

「な…何…?」

「そんなに俺好き?」


ブワァっと顔が熱くなった。
素直もいいところ
そりゃそうだ
一番がいいとか家来たかったとか告白してるようなもんだ。

何も言えないままでいても
拓也はそのまま気にもしないで料理を始める。


ここで初めて思った。
拓也はどう思っているのだろう
バレて恋愛感情持たれてるか探ってきてるのか?
自分に嫌悪感は全くないのか…



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