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片想いの時間
カミングアウト5
しおりを挟む人数が多いキャンプでまさか拓也と二人きりになれるとは思わなくて嬉しかった。
一番かと聞いた時の
いいよと言ってくれた声も優しくて嬉しくて勘違いしたままでいいかもと思えた。
本当言うと皆が帰ってきたのが残念だった。
皆が戻るとやっぱりお互い違う友人と喋ってなかなか二人で話せないけれど前みたいなモヤモヤは消えていた。
「ほら、光!肉喰え!」
「えーいらないよ!肉より海老食いたい!」
「んなガリガリなんだから肉喰え!」
焼かれた肉をトングで掴んでオレの紙皿いっぱいに乗っけてきた友人に
焼かれている海老を指さして弾かれる。
こんな皿いっぱいの肉なんか喰えるわけないと返品をかますが阻止され
その攻防をしていると後ろで一人の女友達がポソッと言ってきた。
「光って小柄だよね…拓にぃの筋肉分けてあげて欲しいよね」
「気にしてること言わないで…?
そんな切実に女子に言われると傷が深くなる」
「大丈夫だ光!男は中身だ!」
「中身の前に外見がよくないと意味ないじゃん」
「まぁな、辛いよな…
外見いい男は今頃、告られてるぜ?」
その場いる全員が一瞬黙った。
そういえば、拓也がいない。
「え…マジ?いつ?」
「拓也が肉焼いてる時に
拓也と話がしたいから代わってもらえるか言われてさぁ
したら二人でキャンプ場から降りてったから」
「わぁお…青春…」
「羨ましい…」
「結構、時間経ってるよ?」
まさか…
「よからぬことしてたり…」
思わず言ってしまった言葉に皆がバッとオレを見る。
この話を聞いていたのは側で食べていた五人だったので周りの友人は気づいていなかったのが救いだ。
嫌な気持ちよりも告白出来る異性という立場が羨ましくて嫉妬が湧かない
いつかは分かってたことだし
拓也の友人での一番は自分だとわかっているだけで十分だ。
それより、自分の発言で覗きに行こうと提案が出てきたのに焦る。
「まじで?!本当にしてたらどうすんだよ!」
「しててほしいくせに~光いやらしぃなぁ」
「ちょっと見たらバレる前に戻ろう!」
そそくさと箸を置きその場を小走りに拓也達が行ったキャンプ場を降りた場所へと向かった。
降りてみたはいいものの思ったより直ぐに二人がいて皆慌てて整備もされてない草っ原に無理やり飛び込んだ。
「ぜっったいバレた!」
「最悪っ痛っ!枝引っ掻いたっ」
「でも楽しくね?」
「しっ!バレてねぇっ!いい雰囲気っぽくね?」
「こっち向かれてたらバレてたな」
キャンプ場から離れれば明かりは無く
さほど明るくない街頭がポツンある場所に拓也と女の子が座っていた。
何を話しているかは分からないが
時折笑い声が聞こえて悪い雰囲気ではないことが分かった。
それより周りの草と暑さで早く出て行きたくなる。
「談話してるだけじゃない?」
「相談だったとか?」
「もう告り終わった後じゃない?」
まだ来たばりだと言うのに
隠れている場所も場所だからか
皆自分と同じ意見のようで早く早くと展開を急いでるようだった。
それを感じたかの様に拓也が立ち上がって女の子に手を差し伸べた。
その手をとり女の子も立ち上がる。
一瞬だけチクンッと胸が痛む。
大丈夫、まだ見てられたし気にはなる。
手は直ぐに離され拓也だけがその場に残り女の子だけが戻ってくるようだった。
慌てて皆茂みから出てキャンプ場に戻る。
「早く走れ!ヤバい!ヤバイ!」
「何しに来たの俺たち!」
戻るなりさっきの定位置に座り冷めた肉を食べるふりをして帰りを待っていたが
皆息が上がっていて明らかに不自然だった。
息も落ち着かない間に先程の女の子が戻って来たが気になっていないみたいで普通にお腹が減ったと輪に入って来る。
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