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片想いの時間
カミングアウト4
しおりを挟む「キモくないけど今度から言えよ」
「いや…だって…」
うん、分かる。
普通は友人にヤキモチなんてありえねぇよ
気持ちは分かるし光にとって友人の上での話だから
でも、どちらにしろ
俺達の仲は球技大会から特殊なものになってるのは確実だと思う
「ぶっちゃけさ?
あの日から俺達って普通の友人とは違うもんになっただろ?」
「うん…」
「だから俺と光がいいなら変でもキモくてもよくないか?」
俺はズルい…
「あの時みたいになったら俺がいるからって言ってやってんだから気にしないの?分かった?
何か不安になったら呼べばいいの!分かった?」
「ありがとう…もう…本当喜ばすなよなぁっ!
優し過ぎてありえないよ?本当に!!
涙腺緩ませんなよぉっ!」
「だから、優しくないってぇの」
光が震え声で怒ったふりして肩をまた叩く。
俺は優しくなんかない
本当はズルい
俺だけが気付いて手を差し伸べた光の弱み
誰にも言えない光の弱み
だから光は俺には気を抜いて弱い部分を簡単に見せ始めていたのに気づいてた。
俺だけに安心して幼稚な甘えのようなものを出してくるのにも気づいてた。
優越感ってやつ…
光は拠り所の友人が出来たと思っているだけなのに
俺はそれをいいことに自分とは違った意味でもいいから光の特別な存在になろうとしているだけだった。
光の優しいと言う自分を裏切って
光の気持ちを裏切って本当に最低野郎だ。
でも、それでも光の一番になりたい。
「光が喜べばそれでいいんじゃない?」
愛しい気持ちを込めて頭を撫でた。
「じゃっじゃぁさ…
一番拓也が仲良いのオレって思っていいのかな?」
知らずのうちに目を細めて微笑みながら光を見つめる。
光から…
光から俺にしか見せない甘えが出てきたのが分かったからだ。
「ん…いいよ?」
「男のくせにキモくて本当ごめん…」
「だからそれは無しだって」
俺に攻撃してくる言葉。
でも、それが自分のストッパーになる。
「んじゃ…今のところ…一番…?」
「一番ってなんだよ?二番もないから」
「だって他にも友達いるだろ?地元とか…」
「そーだな、全部の友達含めて一番だな」
「そっか…同級生とかよりもってことは
彼女になるよりスゲェな…」
彼女なんかより特別だと思っているよ
好きではない愛しいと思えるのは初めてだったんだ
見てて分かったんだ。
こいつは
笑ってはしゃいで誤魔化して
何かと戦ってきてるんだって
だから
もう少ししたらその部分を見せてくれるんじゃないかって
光の揺るぎない特別になりたい
ただそれだけ
「あれ?
半年くらいしか一緒にいないオレが一位ってさ?
拓也って実はそんなに友達いないとか?」
「テメェ…最下位にするからな…
最下位はそこのうんこ花火片付けてこい」
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